ハガティー vs 与座優貴—「格闘技をMBAで読む:KO率・戦術・試合感を数値化する」

——ONEバンタム級キックボクシング世界タイトルマッチ
完全予想レポート
2026年4月29日(水)有明アリーナ / ONE SAMURAI 1
試合の基本データ

出典:ONEバンタム級キックボクシング世界タイトルマッチ、
ジョナサン・ハガティー vs 与座優貴、4月29日ONE SAMURAI.1公式発表
分析①:ハガティーという選手
英国出身のハガティーは8歳から空手とセミコンタクトキックボクシングを始め、ファイターである父親から格闘技の手ほどきを受けた。12歳で
ムエタイアマチュア試合に出場し始め、英国だけでなくヨーロッパでも
タイトルを獲得した。
2019年1月からONEに参戦すると、5月の2戦目でサムエーを破り
ONEフライ級ムエタイ世界王者に就き、その後2023年4月にはノンオーをKOしてONEバンタム級ムエタイ世界王座も獲得。
11月にキックボクシング同級王座も統一した。
2024年9月、スーパーレックに49秒KOで敗れてムエタイ王座は手放したが、2025年2月にウェイ・ルイを破りキック王座の初防衛に成功した。

ファイトスタイルの核心:
ハガティーは「待って、仕留める」タイプだ。相手に先に動かせて
カウンターを合わせる。右ストレートの精度と威力が際立つ。
KO率67%(16KO/24勝)という数字が示す通り、
一発で試合を終わらせる力を持っている。
ただし今回、致命的な変数がある。
怪我の治療のため戦列を離れ、今回が約1年2カ月ぶりの試合となる。
1年以上のブランクは試合感を鈍らせる。カウンタースタイルの選手ほど、この影響は大きい。なぜなら「相手の動きを読む感覚」こそがカウンター型の生命線であり、その感覚は試合の場でしか磨かれないからだ。
分析②:与座優貴という選手
6歳から極真空手を始め、2016年全日本ウエイト制軽量級優勝、
2017年極真会館世界ウエイト制軽量級優勝を果たした。
2019年3月にキックボクシングに転向し、
K-1 WORLD GPライト級王座を獲得した。

ファイトスタイルの核心:
与座はスイッチを繰り返しながら圧力をかけていくスタイル。
カーフキック、左ミドル(三日月を含む)、前蹴りを組み合わせ、
相手の足元から崩していく。
スーパーレック戦がその典型だ。与座の左ローでスーパーレックがラウンド3度目の転倒となり、場内が大きく沸いた。判定は3-0で与座が勝利。
与座はスーパーレックについて「足の骨を折れる蹴りを持った同士の戦い。足折れても構わない。この勝利のために」と語っていた。
この言葉が、与座の本質を表している。勝つために壊れることを厭わない。 極真空手で20年かけて養われた「痛みを力に変える精神」だ。
分析③:スタイル上の衝突点
この試合の核心は、「待つ者」と「前に出る者」の構造的な衝突だ。
与座が仕掛けるもの:
スイッチで角度を変え、ハガティーのカウンターの照準をずらす
カーフキックで足元を崩し、ハガティーのスタンスを不安定にする
前蹴りで距離を詰め、ハガティーの「待つ間合い」を消す
ハガティーが狙うもの:
与座の前進に右ストレートのカウンターを合わせる
距離を保ち、与座のカーフキックが届かない位置から組み立てる
5Rの長丁場で与座のスタミナを削る
最大の焦点は「スイッチへの対応」だ。

与座はキックボクシングでのスタイルについて
「サウスポーで距離を取って、自分の得意な蹴りを当てていくスタイル
だったが、K-1ルールでは空手時代のスタイルをやっていける」と
語っていた。
サウスポーベースでスイッチを繰り返す与座に対し、ハガティーが
「どの構えの時に打つか」を試合中に読み切れるかが鍵になる。
1年以上のブランクで「読む感覚」が鈍っていれば、スイッチに対応できずに足元を崩される展開が待っている。
分析④:数字で見る勝敗のカギ
ハガティーの勝利方程式:
カウンター精度 × 距離管理 × 試合感(ブランク△)= 出力
与座の勝利方程式:
前進圧力 × カーフ蓄積ダメージ × スタミナ = 出力ブランクの影響を数値化して考える:
一般的に1年以上の試合空白がある選手は、
復帰後1〜2戦で「試合感の取り戻し」に要する傾向がある。
特にカウンタースタイルは
実戦の「間」でしか維持できない感覚に依存する。
ハガティーの最大リスクはここだ。
逆に与座はスーパーレック戦(2025年11月)で判定3-0の完勝を収めて
おり、わずか5ヶ月前に世界トップレベルの実戦を経験している。
試合感という点では与座が圧倒的に有利だ。
分析⑤:批判的視点——与座の「穴」はどこか
与座に不利な要素も正直に挙げる。
①ONEでの5R経験の差 与座のONE戦績は3勝。いずれも3R制。
今回は初の5R制タイトルマッチだ。ハガティーは5Rの長丁場を複数回
経験した王者だ。ペース配分の経験値に大きな差がある。
②カウンターの精度 与座が前に出続ける限り、ハガティーの右ストレートは常に脅威だ。スーパーレック戦では前進しながらも被弾を最小限に抑えたが、ハガティーのカウンターはスーパーレックより遥かに重い。
③ハガティーの「怪我明けの覚悟」 1年以上のブランクがある選手は、
むしろ「絶対に負けられない」という精神的な張りで初戦をこなすことが
多い。試合勘の鈍さをモチベーションで補う可能性がある。
試合予想
勝者予想:与座優貴 / 判定または中盤のKO
理由は3つ。
①試合感の差が最大の決定要因 1年2ヶ月のブランクは、どんな王者でも最初の数ラウンドに影響する。その「鈍った序盤」に与座が前圧力とカーフで
主導権を握れれば、流れは変わらない。

②カーフキックの蓄積が5Rに効く 与座のカーフキックは「一発で倒す」
武器ではなく「5Rかけて足を壊す」武器だ。
スーパーレック戦でも3Rで効果が明確になった。
5R制はむしろ与座のカーフにとって、より多くの
「投資回収の時間」を与える。
③スイッチが試合を複雑にする ハガティーのカウンターはタイミングと
角度の読みが命だ。スイッチを繰り返す与座に対して
その読みが定まらなければ、カウンターは機能しない。
ただし——
ハガティーの右ストレートが1発でも与座の顎にクリーンに入れば、試合は一瞬で終わる。与座が前に出続ける限り、その可能性は常にゼロではない。

これはカウンターの「一発」と、カーフの「蓄積」どちらが
先に決定打を生むかの戦いだ。
まとめ

〔引用・出典〕
ONE SAMURAI 1 公式発表(2026年3月)
ゴング格闘技「与座優貴の世界王座挑戦決定」(2026年3月)
MMAPLANET「ジョナサン・ハガティー」記事各種
MMAPLANET「ONE173展望 バンタム級」(2025年11月)
ゴング格闘技「与座がスーパーレックとの蹴り合いで日本人初勝利」(2025年11月)
VASILEUS GYM 公式レポート(2025年11月)
格闘技の勝敗は、感覚ではなく「どの要素がどれだけ影響するか」
で決まる。
本レポートでは、その影響度を“指数”として整理している。
ここでいう指数とは、
勝敗に関わる要素を分解し、比較できる形にした評価指標のことだ。
本分析で使用している主な評価軸は4つ。
① 打撃破壊力指数
→ KO率を基に「一撃で試合を終わらせる力」を評価
(例:ハガティーは67%で高評価)
② 試合感指数
→ 最終試合からの期間で「実戦感覚の維持度」を評価
(長期ブランクはマイナス)
③ 戦術適合指数
→ スタイルの相性を評価
(カウンター型 vs 前圧型などの噛み合わせ)
④ 持久・ラウンド適応指数
→ 3Rか5Rかによるスタミナ・経験値の影響を評価
これらを掛け合わせることで、
「どちらがどの構造で優位に立つか」を定量的に可視化している。
MBAで扱うアナリティクスも同様に、
複雑な現象を分解し、評価軸ごとに比較することで意思決定を行う。
つまり本レポートは、
格闘技を“感覚”ではなく“構造と指数”で読む試みである。
その結果として導かれたのが——
ハガティー40% vs 与座60%という勝率構造だ。
なぜこの差が生まれたのか。
そのロジックを、ここから分解していく。



