なぜ日本の上下関係は、何十年経ってもなくならないのか
「日本は昔から上下関係を重視する文化だから」
よくこう説明されます。
でも、それだけでは説明がつきません。
戦後から何十年も経っています。
社会も、教育も、法律も大きく変わりました。
それなのに、なぜ「先生には逆らわない」「上司には反論しない」「目上の人を立てる」という感覚は残っているのでしょうか。
答えは意外と単純です。
上下関係の根本は「伝統」ではなく、「インセンティブ」です。
つまり、
従ったほうが得で、逆らったほうが損をする。
だから残ります。
上の人に従えば、怒られにくい。
組織から浮きにくい。
評価を落としにくい。
人間関係も壊れにくい。
逆に、正面から反論すれば、
「生意気だ」
「協調性がない」
「面倒な人だ」
と思われる可能性があります。
だったら、多くの人は黙って従います。
しかも、その行動は次の世代に引き継がれます。
親が子どもに、
「先生の言うことを聞きなさい」
と教える。
学校では、
「先生に逆らわない」
ことを覚える。
会社では、
「上司の指示に従う」
ことを覚える。
そして、その子どもが大人になり、今度は自分が同じことを次の世代に教える。
こうして上下関係は再生産されます。
つまり、
文化だから残っているのではなく、その文化に従うことが合理的だから残っている。
ここが本質です。
だから、いくら「上下関係なんて古い」と言っても、それだけではなくなりません。
人々が、
「上に従うより、合理的に議論したほうが得だ」
と思える環境にならなければ、構造そのものは変わらないからです。
そして、これは「民主主義」とも関係します。
民主主義とは、上下関係をなくすことではありません。
先生は先生。
上司は上司。
政治家は政治家。
それぞれの立場はあります。
しかし、
「立場が上だから正しい」
とは限らない。
だからこそ、
「なぜですか?」
「その根拠は何ですか?」
「私は違うと思います」
と言えることが重要になります。
上下関係があっても、思考まで上下関係に支配されない。
それが、本当の意味での民主的な人間関係なのではないでしょうか。
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