法人の清算をした記録
前置き
なんでもそうなんだけど「終わるとき」どうやるかという話は世間にあまり転がっていない気がする.というか法人の整理なんて自力でやるものではあまりない.が,規模も規模なのでできるところを自分でやってみたのでライフログとして残しておこうかなと.
そもそもの話
形式上「社長」と名乗れる過去がありました.まあ自分1人だけで従業員ゼロの個人規模,ロクな営業(特に売り込みとか広報とか)もできずズルズルとマイナスだけ積み上がっていくだけではあり,ここ数年は書類上存在しているだけだった会社をようやく畳むに至ったということで.
やりたい事業があって起業したというよりは,亡くなった父のやっていたことを代替わりみたいな格好で何となく引き継いで,成り行きでこうなってしまった.というのがそもそもの問題で撤退ラインをちゃんとしていなかったのもよくなかった.
返すアテの無い借入はしないという信念だか見栄だかを持って対外的な借金はしなかったので,ザックリ1200万くらいの自己資金(ある程度の貯金と父から相続した預金)を溶かすだけで済んだとも言える.
解散から清算までの流れ
0.司法書士に相談
設立の時にお世話になった司法書士の先生に「解散の手続きを依頼したい」と連絡をして相談打合せ.
必要な作業は主に「登記」と「税務申告」の2つ.
登記はだいぶややこしそうだったので丸投げになったが,税務は直近2年くらい自力でe-tax使った申告をしていたのもあり(税理士に依頼するカネをケチって)税務署に相談しながら自力でどうにかした.原義的には自己申告だからね(ホントにぃ?)
1.解散を決議する(司法書士)
株式会社にしたので,1人だろうが株主総会というものを開いて解散を決議した記録がいる.定型文もあるようなのでここはお任せ.
この時点で「取締役」ではなくなり「清算人」となる.個人会社なので
2.解散の登記をする(司法書士)
法務局で解散登記をし,官報に解散公告を掲載してもらう手続き.自分のケースでは掲載まで1ヶ月弱.
ちなみに官報公告掲載日がこのあとでやる清算事業年度の最短日程と関係する.清算結了は債権者への催告から2ヶ月以上経過しないといけないのである.
3.解散年度の確定申告をする(自力)
解散を決議したら,解散日までの事業年度で確定申告をやる(1敗).基本的に通常の確定申告と同じ手順で,税務署(国税)と県税,市税それぞれあてに申告書を作成する.基本的には国税用の申告書を作って県税と市税に展開する.収支マイナスなので法人住民税の均等割だけ.
自分はウダウダやった結果,事業年度の最終日を解散の日にしたが,解散日=期末になるのでこの事業年度は1年間にならないケースもある.というかそっちの方が普通かも.
リースが残っていたり減価償却していない法人名義資産とかがあると面倒っぽいけど解散時点では現金と役員(=自分)借入金だけになっていたのでかなりシンプル.
当該年度中に会社名義の支払(法人ドメインとかネット回線契約とか)を全部整理しておいた.ドメイン解約すると連絡がつかなくなるので,事前に仕事関係のお世話になった人あてのgmailアカウントを準備しておいて通知をしたりも.ほとんど連絡を取っていないとはいえ,知ーらないって人脈リセットとかのパターンは避けたかった.
4.解散の異動届をする(自力)
所轄税務署(国税)と県税事務所,市税事務所それぞれに解散の異動届をする.県税と市税は添付書類として登記事項証明書の写しも送る.なんで一括でできないんだシステム連結して共通でできるようにしろ(愚痴).
ちなみに確定申告と前後してもいいというか,届けるだけなので解散登記完了したらまずこっちをやった方がよさげ.清算の時はそのようにした.
5.最終の決算資料を作成する(自力)
会社の財産目録と最後の決算資料を作る手順.解散時(=2で作成した)貸借対照表(と損益計算書)がベースになる.
他所への借金があったり会社名義の資産が残っていたりするとこれの整理が大変っぽい.これをやらないと清算結了できないので利害関係者が多いと時間が掛かる.そして清算手続きも分類上は事業年度なので時間を掛けすぎると法人税(特に都道府県と市町村の住民税)がどんどん増えていく.最短2ヶ月なのでその分は納めないといけない.
6.清算結了の登記をする(司法書士)
残余財産が確定したら清算事務の決算報告を行って報告書を承認し,登記を行う.これも定型の文面があるようなのでお任せで実施.この時点で司法書士の領分は終了になる.
7.清算結了の異動届をする(自力)
前後してもいいけど多分こっちの方が先に整理できるので,解散の時と同様に清算結了の異動届を国税,市税,県税にそれぞれする.な(以下同文).
8.清算結了の確定申告をする(自力)
バランスシートをきれいになにもないですよ状態にする手順.ここのやり方がまあ探してもなかなか見つからないのこと.Web検索したりMS365 Copilot使ったりして土台を作りつつ,税務署に税務相談.
税務署で担当してくれた方もそんなに遭遇する業務ではないようなので市販の書籍を交えて頑張って説明してくれた.マジ感謝.書名もメモっとけばよかったなぁ.e-taxでここまでは頑張って作ってみたんですけどみたいなポーズで埋まってない草稿状態の打ち出しを持って行ってどこに何を書くのかメモりながらやるのが一番速かった.
役員借入金をチャラにしようとすると債務免除益(e-taxの勘定科目だと債務勘定整理益)という帳簿上の収益が発生し,欠損金処理を適切にしないと"実際にはカネが無いのに法人所得税を納めなければいけない"可能性があるので要注意.
あと,今回の自分のケースでは関係無いけど役員借入金つまり会社に対する債権が残った状態でうっかりあの世に行ってしまうと帳簿上は財産扱いになって相続税の対象になる罠もあるらしいので,ややこしくなる前にどうにかするのがいいですかねぇ.このあたりは繰越欠損との兼ね合いもあるので本来は税理士マター.
で,いくら掛かったのか
登記については司法書士へ全部お願いして登記費用9万程度+書類作成報酬16万程度でやっていただきました.
税務は自分で書類作成と申告をやったので書類作成費はゼロ(厳密には自分の人件費),納税額は愛知県と名古屋市への均等割が解散年度12ヶ月+清算年度2ヶ月分を合わせて6万弱.名古屋市は減免措置があったけど,申請忘れると+3万くらい持っていかれるので注意.減免の有無は自治体によって違うんじゃーないかな,知らんけど.
というわけで,ミニマムな法人をミニマムな規模で終わらせるには30万ちょっとでした.あくまで自力でナントカできたレベルの話なので,誰の参考にもならんと思いますが.基本はメカトロ系技術屋で会計や税務の専門家ではないですからね私.
あとがき
税務がどんどん複雑化して売上にならない手間ばかり増えていく昨今,個人や零細規模で事業続けられてるみなさんはすごいですわ.
社会に出て20年弱,道なき道を遠回りしてきた結果,会計なんてめんどくさいから技術屋がやるもんじゃないよー会社勤めしてそういうのは事務や営業に全部任せて技術だけやるのが気楽だよーの境地に戻ってきました.戻れてるかのかな,まだよくわからない.
今の所属先は一応申請すれば副業(個人事業主的なヤツ)許可も出るらしいけど.プラモ関係でなんかできたらおもろいかもなー.
でもまあ,もし個人で何かやるとするなら,次は定年後(≒20年後くらい)とかかな…
以上~
