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希望ヶ丘の希望

駅前のロータリーを
一台の送迎車が静かに走り去っていく。

夕暮れに溶ける街の中で
テールランプの赤だけが妙に浮いて見えた。


​改札を抜ける人の流れは絶えない。
仕事を終えた人
買い物袋を提げた人
笑いながら歩く学生たち。

その慌ただしい流れから避けるように
私は駅のペデストリアンデッキに立ち尽くしていた。



今日、母を施設へ預けた。


介護の限界は超えていた。
医師と相談し、家族で何度も話し合い
納得して下したはずの決断だった。


だから、間違っていない。

そう何度言い聞かせても
胸の奥だけは頑なに頷いてくれない。


施設を出るとき、玄関で小さく振り返った母の背中。
あのときの光景が赤いテールランプよりも鋭く胸に残っている。



ふいに冷たい風が頬をかすめた。

街路樹が静かに揺れ
言葉にならない痛みをなぞるように通り過ぎていく。


季節は何事もなかったように進み
街もいつもと変わらない顔をしている。

変わってしまったのは、私たちだけなのだろうか。


それでも
幼い頃に握りしめてくれた母の手を
私から振り払ってしまったような
拭えない罪悪感が喉の奥につかえる。



街はゆっくりと深い群青色へ沈んでいく。


ここは相鉄線 希望ヶ丘駅。

この選択は
私たちの希望の始まりなのだろうか。




横浜の各地に残された、感情の残響を描く物語


不倫・浮気、独身偽装についての真面目なコラム


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