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平沼橋 数え唄

平沼橋の灯りを追いながら歩いていた。帷子川 かたびらがわの水面が、思ったより冷たくひかっていた。  


ふらつく影がガードを抜けるたび、壁にのびた黒がほどけていった。  


見知らぬ顔が夜風にまぎれるように、ガラスの中の輪郭も、気づけば少し揺れていた。  


酔えないまま噛んだフィルターの苦みが、冷えきった舌に広がった。  


ごまかすみたいに笑って「何やってんだ」と、聞かれたくない声でつぶやいた。  


路地裏の赤錆の雨が肩に落ちて、少しだけ背筋が冷えたが、人生こんなもんだとやり過ごす。  


泣けない声を川面に置くように、喉の奥の震えだけが逃げていった。  


破れた夢はポケットの短い振動になり、戻らなきゃいけない場所を思い出させる。  


凍えた指で始発を待ちながら、誰もいないホームの冷気をただ深く吸い込んだ。  


遠ざかる街が朝焼けに変わる車窓の向こうで
淡い光が長い夜をそっと閉じていった。



何者にもなれない男の数え唄。





横浜の各地に残された、感情の残響を描く物語


不倫・浮気、独身偽装についての真面目なコラム


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