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mikaruma
フィクション) ひとりでの団欒
4年ぶりの帰郷は、両親の墓参り。
実家はキレイにリフォームされ
見知らぬご家族が住んでいる。
妻も娘も仕事の都合がつかず
単身で訪れた故郷。
レンタカーの窓を流れゆく景色は
昔の風情を残しつつも
4年という年月を感じさせる
ゆっくりとしたペースで変化していた。
ロッヂ風のパン屋
有名なコーヒーチェーン店
ショッピングモール
思い出の無い風景に一抹の寂しさを憶える。
食事を摂る店を探していたら
しゃぶ葉の看板が見えた。
いつ頃になるだろうか。
最後に両親と外食した店だ。
ここにしようー
店のドアを開けると
「いらっしゃいませ!」
の心地よい声が店内に響いた。
母は柚子塩だし
父は本格すき焼きだしを好んで食べた。
ふたりでたまに食べにきていたらしい。
当時、初めてだった私は
画期的な2種類のスープと具材の豊富さに
「子供に戻ったような目をしている」と
からかわれたのを思い出した。
スープはあの時と同じ2種類を頼んだ。
母が好きだった味。
父が好きだった味。
母が肉を取り分け
父が「アイスもあるぞ」と自慢げに言う。
ー俺もう45歳だよ と笑い合った。
あの日の団欒が思い出され
ふと目頭が熱くなる。
ひとりでの食事なのに
向かいの席に両親の笑顔を感じる。
「俺は沢山幸せを貰ったよ
最後の外食も楽しかったね
また夢にでも出て来てくれよ」
小さな声は聞き取れたかな?
デザートにアイスを食べた。
帰ったら妻と娘としゃぶ葉に行こう。
娘に「アイスもあるぞ」
と言ったら何と答えるだろうか。
「ありがとうございました〜」
店員さんが去り
誰も見ていないのを確認してから
思い出に軽く手を振った。
良い団欒になった。
本当にありがとう。
