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ショート) 茄子と青春の旅立ち

茄子のヘタの部分だけを
バッグに詰め込んで家出した息子。
あれから8年
息子がどうしているかよりも
あのヘタの部分をどうしたのかが気になる。

ヘタを悪用していないだろうか。
そればかりが気になり
私は思い切って息子の部屋に入ってみた。
出ていった8年前とは変わっている…
6年前に私が模様替えをしたからである。

模様替えをしたのは失敗だった。
もう少し北欧風にすれば良かった。
北欧のナス料理といえば
オバジンという名前の料理が
有名だそうである。

私はそこに何か重要な手がかりが
あるような気がした。
しかし、オバジンという名前が
オバサンになった自分に
当てはまるというだけで
大した意味はなかった。

旦那に「私がオバジンになっても〜」と
替え歌を歌って聴かせていると、旦那が
『あのね、
息子はきみのそんな感情の起伏に
蓋をしたかったんだよ。
だから、蓋になるように
帽子に似た茄子のヘタばかりを
集めていたんだ。
そろそろ分かってあげようよ』と
諭すように伝えてきた。

実のところ、息子の住所は知っている。
7年前、おそらく那須郡那須町に
引っ越したのだろうと思い
小包を送ろうとした所
知り合いの郵便局員から
「息子さんは
少し離れたアパートに住んでいますよ」と
教えられたからだ。

私は「個人情報を簡単に教えやがって!
ありがとうポストメン!」と
憤慨と感謝を同時に伝えた。

あぁ!そういう事か
私のそんな所が悪かったのか。
茄子のヘタは、私の変化を願う想い。
そして、それを持ち去ったのは
私への諦めという事なのだ。

よし!ここは
愛と青春の旅立ちの主人公のように
サプライズで息子の前に飛び出し
彼を抱きしめてあげよう!
息子を茄子から解放してあげよう!


実行にうつした私は
何故だか今、警察署にいる。
「あのね、お母さん
8年振りに会う息子さん家のアパートの前で
『愛と青春の旅立ち!
茄子と息子の旅立ち!』なんて
大声をあげ続けたら
そりゃ息子さんも通報しますよ」
と怒られた。

フタやヘタどころか
ブタバコ行きになった。
とりあえず私の感情は
格子の中でフタがされそうだ。

ごめん茄子い(テヘッ)

母より

















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