オレの相棒(あいぼう) 第19回
昭和2年(1927年)4月4日
午後3:30ごろ
”ガン!”
ジャアマ
「ぎゃああ!!」
観客
「きゃあああ~~~!!」
ジョンの長く太い牙が、
ジャアマの胸にあてられたまま、
柵の外へと勢いよく押し出した。
夢の舞台から転げ落ちたジャアマ。
ジョンの牙で胸を突き刺されたと思い、
「もはやこれまで」と観念して
胸のあたりをさわっていみた。
―― 出血していない。
ジョンは、あんぱんを蹴られたことにより
怒りはしたが、最後の一線は越えず、
ちゃんと手加減をしていたのだ。
ジャアマの胸を突き刺したわけではなく、
彼としたら、軽く押しただけだったのかもしれない・・・
観客が、ざわついている。
ショーの様子を見ていた
ゾウの飼育員が、ジョンとトンキーのそばに、
駆けつけるべく走って来る。
ジャアマ「うわぁ!」
ほっとしたあと、
ジャアマは、ゾウ室を飛び出して行った。
―― ジョンの瞳には、
背中を向けて夢舞台から逃げていく、
ジャアマの頼りない背中が映っていた。
猛獣に対して「背中を向ける」ことは致命的な自殺行為となる。
野生において背中を見せることは、
すなわち「無防備な獲物の出現」を意味するからである。
(猛獣使いの心得より)
駆け付けた飼育員の機転により
ジョンとトンキーの曲芸は、
挨拶、お辞儀、客席の前を通るなど、
基本的な動作のみであったが、
なんとか終わらせることができた。
ジャアマは、同僚(恐らく、飼育員仲間)に付き添われ、
上野動物園近くのH病院(個人病院の可能性が高い)で診察を受けた。
院長の診断の結果は ――
「右第六肋骨 骨折(みぎ だいろく ろっこつ こっせつ)
右胸前面打撲傷(みぎ きょう ぜんめん だぼくしょう)」
なお、福田三郎氏の『実録上野動物園』では「打撲傷」とあり、
『上野動物園百年史』には「打撲症」と記されている。
今回は、福田の著書を中心に書いてるので、
「打撲傷」を採用した。
院長
「3週間ほど通院してください。
そうすれば傷は治りますよ。大丈夫。」
こういって慰めてくれた。
福田をはじめ、上野動物園の仲間たちも
ジャアマの傷が軽かったので、
みな喜んだのだが・・・
ジョンが手加減をしたので
ジャアマの肉体のダメージは軽かったが、
精神と猛獣使いとしての自信は砕かれ、
こちらの方が深刻であった。
―― この日から、ジャアマは別人のようになってしまった。
しばらく時間が経過し、精神的には落ち着いて来たが、
ひびの入ったプライドは、元に戻ることはなかった。
大好きな酒も飲まなくなり、ため息ばかりついて、
ゾウに対しては、以前のように振る舞わなくなった。
―― 特にジョンに対しては、如実にそれが現れた。
ケガの後からジャアマは、
ジョンやトンキーのいる柵の中に入らなくなった。
柵の外から、ジョンたちに接するようになった。
ジャアマ
「ジョ・・ジョン。
甘いもの・・・持ってきたぞ。」
ケガの前はポケットに
ジャガイモやニンジンを入れていたのだが、
今は、あんぱんや菓子を常に用意していて、
ジョンのご機嫌をいつも取っている。
―― かみ合わない。
ジャアマもジョンも感じていた。
かつては絶妙にかみ合っていた
精密機械の歯車のようなお互いの心が、
どうしてもかみ合わないのだ。
ジョンもトンキーも、
ジャアマが柵のそばに行くと寄って来る。
鼻をポケットに入れて来て
目を細めてい懐かしそうにするのだが・・・
ジャアマ
「ジョン・・・ほらっ、
キャラメルに、
・・・それと大福だ。」
キャラメルに大福と、
ポケットの中にたくさん詰め込んだ
甘い物を、ジョンに次々与える。
・・・しかし、かみ合わないのだ。
猛獣使いと猛獣の関係はシビアな世界だ。
猛獣の中に潜む ”野生”に、
鋭い視線を送るだけで、
おのれが ”支配者” だと叩きこむ必要がある。
―― あの日、もし相手がライオンだったら。
檻の中で背を向けたジャアマは、
支配者から獲物に転落して喰われていた。
ジョンは瞳に映る
背を向けて逃げるジャアマの姿に
何を思ったのだろうか・・・
”ガンッ!”
ジャアマ
「くそぉ!」
ジャアマが、バケツを蹴っ飛ばした。
超一流の猛獣使いに戻れないおのれに、
毎日、イライラしていた。
かつてのように太い声で
叱ってみたりもした。
優しくしても、厳しくしても
やはりダメであった。
ジャアマの気持ちや態度の変化を、
ジョンは感じとっていたのかもしれない。
柵の外から、両ポケットに
手を突っ込んだまま、
柵の中の、ジョンやトンキーを、
長い時間、ジャアマの瞳は追っている。
上野動物園の同僚たちは、
この姿を、日に何度も目にしている。
どう声をかけていいのかもわからず、
ジャアマを気の毒に思ったまま、
目を伏せて、通り過ぎる。
―― 人間、つまづいたら何度でも立ち上がればいい
確かにそうなのかも知れないし、それが美徳だ。
人間、そうあらねばならぬとみな思う。
しかし、世の中の人間すべてが、
つまづいたら、立ち上がれるとは限らないのだ。
つまづいたら起き上がりたいと思っても、
つまづいたまま、起き上がれない人間もいるのだ。
―― 起き上がるのを諦めたわけでもない。
でも、どんなにもがいても、もがいても、
起き上がれないままなのだ。
かつては、ジャアマの姿をジョンやトンキーの瞳が追っていた。
ただ今は、ジャアマの瞳が、ジョンやトンキーの姿を追っている。
アメリカ、シンガポール、サイゴン、フランス、ロシア・・・
オレは世界中を股にかけて活躍してきた、
超一流の猛獣使いなんだ・・・
このまま・・・つまづいたままでたまるか・・・
ジャアマの傷だらけになった
猛獣使いとしてのプライドが、
ジョンとトンキーの一挙手一投足を、
血眼になって追っている。
何時間も・・・毎日・・・毎日・・・
福田たちは、
時折、ジャアマに慰めの声をかける。
「ジャアマ、気長にいこう。
焦らないで、ゆっくり時間をかけて。」
ジャアマは、頼りなく右手をあげるだけで、
ジョンやトンキーから、決して視線をそらさなかった。
ジャアマの身体の傷は、もうすっかり治ったが、
心の傷は、なかなか戻らなかった。
超一流の猛獣使い ――
ジャアマにとっては、それがすべてなのだから。
―― ある日のことだ。
ジャアマと仲の良い同僚がたまりかねて、
ゾウ室の隅にいて考え込む
ジャアマに声をかけた。
同僚
「おい!ジャアマ!
柵の中に入ってみたらどうだ。
ジョンやトンキーだって、
お前さんと遊びたがってるぞ。
何かあったら、すぐ助けてやるから、
そんなに考え込まないで、やってみようぜ。」
ジャアマは力ない声で、こう答えた。
ジャアマ
「ダメだ・・・ダメなんだよ・・・」
頭を抱え込むジャアマに、
同僚はジャアマの肩を叩き、
明るい声で、こう言った。
同僚
「オレとSとで外に隠れて
いつでも助けに行けるようにするからさ、
閉園後、いつもみたいにやってみなよ。
ひょっとすると、ジョンと
やり直せるかもしれないぜ。
バイサップ・ジャアマ!
お前さんは、世界を股にかけてきた
超一流の猛獣使いだ。
取り戻せよ、自分を。やろう!」
ジャアマは、
よれよれのシャツの襟(えり)を正し、
大きくうなずいた。
福田の著書には
Sと記述してあるが、
恐らくは、以前にも紹介した
ゾウ担当の飼育員、
菅谷 吉一郎(すがや きいちろう)
のことだと思う。
―― 閉園後。
鮮やかな夕焼けを背にして
身なりを整えたジャアマが、
ムチを持って立っている。
同僚
「ジャアマ。かっこいいぞ。
ゾウ室の中には、
オレとSも入ろうか?」
ジャアマは、首を横に振る。
ジャアマ
「いや、ここからは、
オレひとりで行かないとダメなんだ。
―― ジョンがオレを、
再び支配者として認めるかどうか。
あいつは、オレの一挙手一投足
すべてを見ている・・・」
ゾウ室に足を踏み入れたジャアマに
いつものような観客の拍手喝采はなく、
夕焼けとオレンジ色に染まった雲を観客に、
少し強めの風の拍手喝采で、
ジャアマとジョンだけの曲芸ショーが始まった。
―― トンキーは、静かに見ていた。
彼女は、ジャアマとジョンをどのように見ていたのだろうか。
そして、彼女の中でジャアマは、
どのように変化していったのだろうか・・・
落ち着いた足取りでジョンのそばに行くジャアマ。
ジョンは、静かに座っていて動かなかった。
ジャアマは、いつもしていたように、
ジョンの長い鼻を撫(な)で
ほおずりをすると、
ジョンは、目を細めた。
―― これなら大丈夫だ!
ジャアマは、心の中でそう叫ぶと、
ポケットの中のあんぱんを、
ジョンに与えた。
その後はいつも通りに、
ジャアマが、ジョンの長く太い牙にぶらさがり、
ぐるっとでんぐり返しをして、
誰もいない観客席に向かってお辞儀をした。
ジャアマは、胸を張り、背筋をピンと伸ばして、
誰もいない観客席を見渡す。
しかし、ジャアマの瞳には、
いつものように満員の観客席から、
自分とジョンに向かって、
拍手喝采が送られている光景が、
鮮やかに映っている。
ジャアマ
「よし!見せてやれ!
ジョン!お前の天才ぶりを。」
”バシッ!”
ジャアマのムチが、
久しぶりに地面を叩いた。
ムチの音を合図に、
いつも通り、曲芸ショーは開始された。
「らんぐい渡り」「碁盤乗り」
いつも通り上手にできた。
次は、「シーソー乗り」だ。
―― 額にじっとりと汗が浮く
あの日の光景が、
どうしてもよみがえってきてしまう。
「恐怖」という名の魔物に、
何度も取り込まれそうになった。
( オレは、バイサップ・ジャアマ。
超一流の猛獣使い。
―― おのれの恐怖なんか、
簡単に制してみせる。)
真っ白いYシャツの袖口で
額の汗をぬぐうと、
別のポケットに入っていた
あんぱんを何度もつかむ。
( あんぱんなんかに・・・
たった1個のあんぱんなんかに。
―― オレの人生狂わされてたまるか!)
ジャアマの瞳に輝きが戻る。
ジョンはシーソーに素直に乗った。
まずは、4本の足でバランスを取る。
「いいぞ、落ち着けジョン。」
何度も、何度も声をかけるジャアマ。
かつてのように、お互いの呼吸が合って来た。
「―― 今だ!ジョン!」
久しぶりに、イライラした大声でなく、
太く大地に響くような
あのジャアマの声で、
ジョンにタイミングを指示した。
いつものように、絶妙のバランスで、
天才ジョンは、後ろ足2本で立っている。
前足は、2本とも高く持ち上げ、
鼻を頭上へ掲げ、堂々とポーズをとっている。
夕焼けに照らされたジョンの
神々しい姿に見慣れていたジャアマも、
思わず気持ちが高ぶってしまうほど、
この日のジョンは美しかった。
(ジョンにも、トンキーにも、
まだまだ教え込みたい芸がある。
こいつらと一緒に、
日本のお客さんを、もっと驚かせたい。
だから頼む!
オレにもう一度、チャンスをくれ!
―― ジョン!」
「ジョン、前だ!」「ジョン、後ろだ!」と、
声を張り上げながら、
込み上げる気持ちを、
その声に託(たく)した。
シーソー乗りは無事終わった。
ジョンの前足2本が、巨大な青竹踏みに戻ると、
ジャアマの指示に従って、
ジョンは、シーソーをゆっくり降りた。
―― 勝手にシーソーを降りてしまったあの日から、
初めてジョンは、ジャアマの指示に従って、
シーソーを降りたのだ。
ジャアマは、ジョンの長い鼻を撫でて、
「よくやったな。ジョン。」
「ありがとう、ジョン。」
と何度も何度も言い、
ジョンの鼻にほおずりをした。
ジャアマは、自らの猛獣使いとしての
復活を確信した。
ジャアマ
「さあ!ジョン。
ショーの最後は、
日の丸旗(ひのまるばた)を持って、
お客さんにご挨拶しないとな。
―― まってろよ。
日の丸旗持ってくるからな。」
ジャアマが、日の丸旗を取りに
鼻から手を放して、
体の向きを変えた・・・
―― その時だった!
ジョンが、少し頭を下げたと思うと、
あの太く長い牙を、
ジャアマめがけ突きかけて来た!
ジャアマ
「ぎゃああ!!」
あの日の光景がよみがえり、
恐怖で後ずさりをした時に、
何かにつまずいて、
転んだジャアマは、
そのまま柵の外へと出てしまった。
”ガシャ~~~ン!!”
ジャアマが転んで柵の外に出たことで、
ジョンは、体を柵にぶつけてしまい、
大きな音が、ゾウ室に鳴り響いた。
同僚とS
「ジャアマ!大丈夫か!」
柵の外に転がっていたジャアマを、
両脇から抱えて、ゾウ室から
3人は逃げるように出て行った。
ジョンは柵の中から、
逃げて行く3人の背中を見つめている。
トンキーは、立ち上がって、
ジョンと同じように見ていた。
”ガシャ~~~ン!!”
2人に抱えられながら、ジャアマの脳裏で、
先ほど、ジョンが柵にぶつかった大きな音が、
何回も何回も繰り返された。
ジャアマには、ジョンが、
自分の猛獣使いとしての、
何もかもを打ち砕く音に聞こえた。
”バン!”
ゾウ室を出たジャアマは、
左手に持ってたムチを
床に強く叩きつけると、
そのままゾウ舎を出て行ってしまった。
同僚とSは、
無言のまま顔を見合わせると、
ジャアマの背中を追って駈け出した。
―― この日から、ジャアマは
ゾウ室にあまり行かなくなった。
柵の中に入ったのも、この日が最後であった。
同僚もSも、ジャアマにゾウのことで、
何か言うのをやめた。
ジャアマは、最近、
やめていた酒を飲むようになったが、
同僚たちの誰も止めようと
することはなかった。
―― 猛獣使いをやめよう。
ジャアマが、そう決断するまでに
時間はかからなかった。
仲の良い同僚やSは、
かける言葉が見つからず、
何も言えなかった。
―― ジャアマは、
夜道を歩いている。
遠くから威勢のいい声が聞こえる。
ジャアマは、声の方向へ足早に向かう。
”バシッ!バシッ!”
何かを叩く音もする。
ようやく、声の主を見つけた。
たくさんの人だかりだ。
威勢のいい露天商の中年男が、
ハリセンのようなもので
目の前に広げたバナナを叩きながら、
流れるように口上を張っている。
「さぁさぁ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい!
聞いて極楽、見れば地獄、
買わなきゃ損するバナナの叩き売りだぁ!
生まれは台湾、阿里山(ありさん)の麓(ふもと)!
遠い海を渡って、門司の港へやって来た!
青い衣のウブな娘が、いつの間にやら黄色くなって、
食べ頃! 剥(む)き頃! 冷やし頃だぁ!
さぁ、この一房、いくらで買う!?
最初は景気よくいくぞ!
十銭! 二十銭! 三十銭!
まだまだ高いか!
それなら、もっと下げるぞ!
持ってけ泥棒!
持ってけぇぇぇーーーっ!」
「バナナの叩き売り」は、
明治38年ごろ(1905年ごろ)、
日本統治下にあった台湾から
大量にバナナが輸入されるようになった。
当時、バナナは高級品だったので、
船で輸送中に熟してしまうことも多かった。
九州の玄関口でもある門司港では、
熟してしまったバナナをムダにせず売ろうとして、
露天商が客を楽しませながら売ったのが始まりである。
戦争とともに、バナナの叩き売りも姿を消したが、
昭和51年(1976年)に復活して、
2017年4月には、
日本遺産の無形文化財に認定されている。
ジャアマは、バナナの叩き売りになろうかと、
流れるような口上を聞きながら思った。
そういえば、同僚の知人に、
奇術師がいて、
奇術師になろうとして、
その人物に会いに行ったこともあった。
幸いにも、バナナの叩き売りにも、
奇術師にもならなくて済んだ。
ある親切な人が、当時、蒲田にあった映画会社に、
俳優として雇ってもらえるよう世話をしてくれたのだ。
蒲田にあった映画会社とは、
日本映画界の黄金期を創り上げた、
松竹キネマ蒲田撮影所
【大正9年(1917)から昭和11年(1936)】
のことだと思う。
昭和2年6月30日
99年前のあじさいの頃。
ジャアマは、映画俳優として
第2の人生を歩むべく
上野動物園を旅立って行ったのであった。
それから2、3か月して ――
仲の良かった同僚が、
蒲田にジャアマを訪ねた。
新しい住まいに引っ越したとのことで、
住所を頼りに歩いていると、
酒屋で酒を飲んでいるジャアマを見かけた。
ジャアマは、同僚に驚くと、
コップを持ったまま、
酒屋から出て来て、再会を喜び合った。
ジャアマは、うれしそうに、
蒲田の撮影所を案内してくれた。
その後、同僚は映画館で、
悪党の親分になったジャアマ。
消防自動車に乗って活躍しているジャアマの、
2本の出演映画を観ている。
スクリーンの中とはいえ、
ジャアマにまた逢えてよかったと、
その活躍をわがことのように喜んでいた。
―― それから数か月後
仲の良かった同僚のところへ、
突如、ジャアマが死んだとの連絡が来た。
急いで蒲田に行くも、
すべてが片付いた後であった。
住んでいた家には、
「空き家」の札があるだけで、
ジャアマの亡き骸(なきがら)はなかった。
同僚が、近所の家を訪ねて聞くと、
脚気(かっけ)で苦しんで死んだ。
と言うこと以外は、なにもわからなかった。
彼の人生を狂わせたのが、
たった一個のあんぱん。
しかも、悪意があるわけでなく、
善意のあんぱんであったということが、
ジャアマのことを書く
私の胸を強く締め付けて離さない。
恐らくは、今、上野動物園で
働いている人間の誰もが、
バイサップジャアマの名を知らぬであろう。
―― しかし、99年前の今頃の時期まで、
超一流の猛獣使いは、実際に上野動物園にいたのだ。
今、生きている人間の誰も見たことのない
ジャアマとジョンの曲芸ショーを、
こうして99年後によみがえらせることで、
そして、これを読んでくださる
アナタの脳裏に焼き付けることができたことで、
お互いに不運だった、ジャアマとジョンの
供養に少しでもなればと思う。
さらば!
超一流の猛獣使い
バイサップジャアマよ!
永遠なれ!
―― 時は流れて、昭和6年9月13日
ジャアマが去った後、
上野動物園では、次なる猛獣使いを探していたが、
なかなか見つからず困っていた。
そこで、当時、上野動物園に出入りしていた
動物商の上田金三郎に相談したところ、
サーカスにいる人で、訓練の上手な猛獣使いを紹介され、
ジャアマの後釜として雇い入れることになった。
もちろん、ジョンとトンキーが、
大変危険だと言うことは、
事前に伝えたが、
そのことも承知の上でやって来た。
石川代次郎
30歳くらいの猛獣使いの男は、
この日、ゾウたちを見にやって来た。
挨拶を済ませ、ゾウ舎を見ることに・・・
古賀忠道(のちの園長)が
石川をゾウ舎まで案内している。
ゾウ室に入ると、柵の外から
ジョンやトンキーの説明をしていた。
自信に満ちあふれていた。
と、誰もが石川の第一印象をそう語る。
石川が、ジョンから目を離さないまま、
古賀が説明し終わると口を開いた。
石川
「前任者のジャアマさんは、
素晴らしい猛獣使いだったと聞いています。」
古賀は、これを聞くと、
安心した表情になった。
石川は、壁にかけてあった
ジャアマが使っていたムチをいじりながら・・・
石川
「でも・・・優し過ぎましたね。
その結果、ジョンをつけ上がらせてしまった。」
”バシッバシッ!”
ジャアマのムチが、
久しぶりに床を叩いた。
その懐かしい音に、
ジョンとトンキーは、
石川を柵の中から見ている。
古賀
「い・・石川くん・・・」
古賀が汗をふきながら、
石川を不安そうに見る。
石川
「猛獣相手に、人間の情は不要です。
誰が主人であるか ――
これを徹底的に叩きこんで、
服従させなければいけません。」
古賀が返答に困っていると、
石川は右手の指を3本立てて、
古賀の前にサッと出した。
石川
「―― 3日。
それくらいあれば充分でしょう。
この石川代次郎が、
ジョンもトンキーも従わせて、
上野動物園に、ゾウの曲芸ショーを
復活させてみせますよ。
古賀さん、石川にすべてお任せください。」
ジャアマも確かに自信に満ちあふれた人であった。
しかし、目の前の石川から感じられる自信は、
ジャアマのそれとは別のものを感じ、
戸惑う古賀であった。
古賀
「石川くん・・そんなに急がなくてもいいから、
とにかく安全第一でやってくれたまえよ。」
柵の中から、ジョンがじっと、
石川を見ていた・・・
<第20回へつづく・・・>
今回のお話は、
以下の2冊の書籍と、
2つのウエブサイト様から、
引用と参考にさせていただいています。
心より感謝申し上げます。
(『実録上野動物園』 福田三郎(著) 講談社)
『戦 時 猛 獣 処 分』 の 真 相 に 迫 る
~戦争にまつわる 70 年前の動物園の悲話と実像~
森 徹士 様(もり動物クリニック院長・鳥取県獣医師会)
『上野動物園百年史』
東京ズーネット様
そして、『獣たちが語る戦争の記憶』同様に、
猛獣殺処分を世に広めた先駆者・三上右近先生のnoteからも、
三上先生の温かいご厚意に甘えさせていただき、
今後も引き続き、引用と参考にさせていただきます。
連載再開にあたり、改めて三上右近先生に深く感謝申し上げます。
「読者のみなさまへ」
本作品は、
実話を基にしていますが、
会話など脚色を加えてあります。
また、いつもと違い、
連載形式なので、
その都度で、明記する時もありますが、
作品の内容を、順番にお知り頂きたいので、
最終回に、参考文献や参考サイト様など、
まとめて明記したいと思っております。
ご了承下さいませ。
(※2026年4月、連載再開につき追記)
連載再開につき見直しましたら、
その時は載せていなくても、
後の記事で、参考&引用サイト様を載せていたので、
ほぼ、今まで明記してきたと思います。
また見直してみて、漏れているサイト様などありましたら
追記で明記していこうと思います。
第15回より、その都度、引用&参考サイト様を
忘れないためにも、こまめに明記していこうと思っています。
作中で明記出来なかったものがあれば、巻末で明記します。
<参考サイト様に心より感謝申し上げます。>
クロスロードふくおか様
作中の「バナナの叩き売り」の説明は、
こちらを参考にさせていただきました。感謝。
ねこま通信 2026年 6月 28日号
最後までお読みくださり、
今回もありがとうございました。
アナタは、もしかしたら、
去年の今頃、ボクが書いた
この記事を覚えているかしら。
この記事のねこま通信に、
田植えの手伝いをしたことを書きました。
アナタ覚えてるかな。
去年は暑かったので、
ねこま先生顔色が悪くなって、
途中で帰らされてしまってね。
家でひとりで、背中にシップを
貼るのに悪戦苦闘したとか、
そんなね、お話を書きました。
実は今日、2026年の6月28日、
去年の記事と同じ日曜日ですね。
実は今日、朝から雨が降っておりまして、
雨の中、田植えの手伝いをしてきました。
ずっとじゃないんですけど、
雨が降っている中で、
苗の入っているケースを渡したり、
用水路で洗ったり、
同じようなことをしておりました。
背中が悪いし、腰も悪いので、
長い時間立っていたりとかだめで、
ねこま先生は、貴族なのでね、
肉体労働というか、農作業は向かんのですな。
背中が痛くなったり、腰が痛くなったり、
用水路ですべりそうになって、
あわや、そのまま後ろに倒れたら、
本当の世界に帰ってしまうところでしたが、😅
何とかね、少し足を痛くするくらいで済みました。
今年はね、ふらふらになりながらも、
暑さが去年みたいじゃいないので、
とりあえず、区切りのいいところまで、
お手伝いができました。
リベンジ成功でございます。🙈
午後2時か3時くらいに帰って来て、
また背中も腰も痛いものですから、
腰はいいんだよね、
背中だよな、問題は。
鏡を見ながら今年も、
悪戦苦闘しながら貼りました。
今年も、きれいで優しい女の人に、
貼ってもらうことは、できませんでした。
無念でございます。🤣
102回目のプロポースの主役に、
なぜ、ボクのところにオファーがこないのか、
本当にふられ続けた男というのはですね、
負け犬のオーラが出て、あんな堂々と、
キレイな女の人とは、話せません!😂
武田鉄矢にはそれがあったのよ。
だからリアリティーがあって、
ボクたちみたいな、こうね、
モテない男どもというのが、
本気でね、あのドラマに熱狂したんでございます。
もっとね、101回目のプロポーズに、
ちゃんと思入れのある方に、
本を書いてもらったりね、
モテ続けてきた男をうならせるような、
本当の続編を作ってもらいたいものです。
なんでこんな話してるんだっけ、
あ、そうそう、思い出した。
どうも、50になると、
忘れっぽくていかんですな。😅
帰って来てからね、
この第19回、全然書き始めて
なかったのですが、
今、もうすぐ29日になってしまう
そんな時間でありますが、
なんか一気に書き上げてみたくなり、
手塚治虫先生のように
おにぎりじゃなくて、
菓子パンですが、
食事も書きながら済ませまして、
やっとね、今、書き上がりました。
もうね、田植えの疲れでおかしくなっております。😂
田植えの手伝いのリベンジ成功をね、
アナタに今日中にお伝えしたくて、
ちょっともう日付変わっちゃうんですけど、
おじさん、珍しく集中して書きました。
ということで、
精魂尽き果ててしまったので、
ねこま通信はここで終わりです。😂
その代わり、おまけコーナーで、
ねこま先生が田植えをしてる画像、
本当はね、田植え機を運転してないんですが、
そういう画像をAI先生たちと作りましたので、
そちらをご覧いただきながら、
今回はお別れです。
6月はこれで最後かと思いますので、
7月も、また続きや他に何か書きましたら、
お読みくださると、うれしいです。
―― それでは、さようなら!🐯
<おまけコーナー>





「バナナの叩き売りの歴史」
【北九州市プレス様(北九州市公式チャンネル)】

坂本猫馬が魂で描く・昭和史の忘れもの
「オレの相棒(あいぼう)」第1回から第19回まで公開中!!
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懐かしいやら、マニアックな内容やらですが、
もし、よろしければですが、サポートして頂けたら
大変、嬉しく感激です!
頂いたサポートは、あなた様にまた、楽しんで頂ける
記事を書くことで、お礼をしたいと思います。
よろしくお願いします。