化学物質の法規制について雑でいいかげんに書き散らしてみよう(19)酸欠はなぜ起きる?

前回、一酸化炭素中毒の発生状況についてはあまり説明しなかったので、共通部分の多い酸欠とまとめて今回取り上げる。ところで、酸欠則のフルネーム「酸素欠乏症等防止規則」の「等」って・・・何だ?
これは、酸欠則では「酸素欠乏症」と「硫化水素中毒」をまとめて「酸素欠乏症等」として扱っていることによるもの。以下のような状態のことを酸素欠乏症等と呼んでいる。

・空気中の酸素濃度が18%未満である状態
もしくは
・空気中の硫化水素濃度が10ppmを超える状態

酸素欠乏危険作業主任者の講習を受ける人が割と苦労するのが「18%未満」と「10ppmを超える」。要は酸欠則の文面上では、「基準値ちょうどは酸欠状態ではない」という定義なので、作業可能なのは「酸素濃度18%以上」かつ「硫化水素濃度10ppm以下」となる(だからといってギリギリの状態で実際に作業するのさすがにはマズいと思うけど)。

ここでようやく本題。
「酸素欠乏症等」の原因の代表的なものは下の絵の通り。

このほかに、還元性地層との接触(要は鉄分など酸素と結合しやすいものを含んでおり、空気の遮断された状態にあった土砂が掘削などで外気にさらされると空気中の酸素分を奪っちまうので酸欠状態になるということ)や、雨水・廃水・汚水等も酸素欠乏症等の原因となる。
いずれも井戸、ピット、タンク、サイロなどのような風通しの悪いところが危ない。
詳しく知りたい方は労働安全衛生法施行令別表第6「酸素欠乏危険場所」を参照のこと。

このうちで硫化水素中毒をともなうことが多いのが、動植物の腐敗や雨水・廃水・汚水などが原因の場合。前回取り上げた一酸化炭素中毒をともなうことが多いのが、図でいうと右上に描いてある、換気の不十分な状態で内燃機関や火気を使用した場合。ちなみに練炭はコンクリートの養生をするときなどに使うらしい。

ついでに酸欠による労働災害の典型的なケースも図で示しておく。

酸素欠乏危険場所で作業をする前には、酸素(と硫化水素)の濃度を測定することになっているが、酸欠空気や硫化水素がある場合には一呼吸でも昏倒することもあるので、状況に応じた保護具の着用と監視人の配置が必要となる。二次災害が非常に多いのも酸欠・硫化水素中毒・一酸化炭素中毒の特徴なので、救助の際には細心の注意が必要。

最後に換気についても簡単に触れておく。
・送気式の場合、清浄な空気を送っているかどうかに注意。汚染された空気や酸素濃度の低い空気を送気しないように。
・換気が不十分なところができないように注意。
ご安全に!