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Samba do Avião──飛行機が苦手な人が、空港に名を残す

リオ・デ・ジャネイロの国際空港には、ある音楽家の名前がついています。その人は、飛行機に乗るのが得意ではありませんでした。

空港まで歩いていく

1960年代、アントニオ・カルロス・ジョビンはイパネマの自宅から、しばしばサントス・ドゥモン空港まで歩いていったと伝えられています。

目的は、海外の新聞や雑誌を買うこと。当時、外国の出版物が手に入る場所は限られていました。

グアナバラ湾に沿って歩き、空港に着くと、そこで飛行機を眺める。妹エレナ・ジョビンによる評伝には、そんな彼の姿が記されています。

けれど彼は、飛行機に乗ること自体は苦手でした。1962年にニューヨークのカーネギー・ホールで公演を行った際には、飛行機が落ちないと誓ってくれと友人に頼んだ、という話も残っています。

怖いのに、惹かれる

怖いと感じているものに、同時に強く惹かれる。

その気持ちから生まれたのが「サンバ・ド・アヴィアォン」でした。地上から見上げる大きな機体の美しさと、そこに乗って空へ向かうことへの憧れ。両方が同じ人のなかに同居しています。

そして1999年、リオ・デ・ジャネイロの国際空港は、法律によって彼の名を冠することになりました。現在の正式名称は、アントニオ・カルロス・ジョビン国際空港です。

飛ぶことを恐れた人の名が、国の玄関口に掲げられている。そういう巡り合わせになりました。

帰ってくる喜び

歌が描くのは、空からリオへ降りていく高揚感です。

海岸線が見えてくる。街が近づいてくる。もうすぐ着く、という胸の高鳴り。

旅立ちではなく、帰還を歌っている点がこの曲の特徴です。故郷を離れた人が戻ってくるときの気持ちが、明るい旋律にまっすぐ乗せられています。

この曲を聴く

エンディングでの坂本龍一さんの素敵なアレンジに鳥肌が立ちます...。

今すぐ旅立ちたくなるnaomi and goroさんのバージョンを。

連載で紹介した曲は、こちらのプレイリストにまとめています。

次回は、現代のジャズ奏者たちが今も選び続けている一曲を取り上げます。

#ボサノヴァ #ブラジル音楽 #音楽 #トムジョビン #リオデジャネイロ

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