#1016 映画論39|アキレスと亀
久しぶりに映画論行きましょう。
今回紹介するのは2008年に公開された映画「アキレスと亀」ですね。
本作は、「TAKESHI'」「監督・ばんざい!」と並んで「芸術3部作」と呼ばれており、テーマは画家という感じで、正に芸術3部作のラストに相応しい作品ですね。
役者というものを壊した「TAKESHIS'」、監督というものを壊した「監督・ばんざい!」と比較すると、このアキレスと亀は「芸術」を壊す作品なんですけど、一番ストーリー性があって、分かりやすくては入ってきやすい作品ですね。
アキレスと亀とは?

主人公の倉持真知寿は幼少期から絵を描くのが大好きで、大人になっても絵を描き続ける生粋のアーティストであり、生粋の「キ」です。
とにかく芸術に狂うという姿を体現しております。
そんな感じでこの物語は3部構成になっているのですが、幼少期から追って紹介しましょう。
幼少期(吉岡澪皇)

真知寿は資産家である裕福な父親の下で生まれたのですが、子供にフランスの画家アンリ・マティスと同じ読みの「真知寿」という名前をつけるだけあって、父親は芸術が大好きで、そんな過程で育った真知寿も絵が大好きな子供として成長します。
しかし!
幸せは長く続かず、父親は事業を失敗して自殺し、田舎の父の弟に預けられる事になりました。
そこでは叔父さんに冷たくあしらわれるのですが、家の雑用などをしながら、その合間で絵を描き続けます。
青年期(柳ユーレイ)

そして青年になった真知寿は、新聞配達で生計を立てるんですけど、新聞を配り終わっていないのに絵を描いて、「まだ届いてねーぞ」と怒られるダメ青年だったりするんですが、我流に限界を感じ、もっともっと勉強したいと思って新聞配達を辞めて、工場に働いて美術系の専門学校に通います。
この工場で嫁と出会い、学校で仲間と出会い、この時期が一番幸せだったように感じます。
中年期(北野武)

そして更に時間が経つのですが、真知寿の絵は全然売れずにいました。
若いころならまだ許されてたのですしょうが、いい年して焦りからかどんどんおかしい方向に進み、だんだん周りからも狂人扱いされ、実の娘にも拒絶され、最後まで付き添ってくれた妻からも拒絶され、孤独になった真知寿は・・・という話で、とにかく深いです。
芸術家の苦悩を感じる、そんな作品ですね。
アキレスと亀 印象に残るキャラクター
10位 中尾 彬

中尾彬は物語の序盤に登場します。
主人公の真知寿の父親役で、事業に成功した芸術を愛するクソ金持ち野郎として出てくるんですが、事業が失敗して一文無しになり・・・悲しいラストを迎えます。
アウトレイジビヨンド然り、あまり北野映画では良い目に合わないケースが多いですね笑
9位 寺島 進

北野映画の常連、寺島進です。
北野映画といえば寺島進、寺島進といえば北野映画だったりします。
今作でも前作、前々作同様チンピラとして登場するんですが、マジで端役です笑
もっと出してあげて欲しかったですね笑
8位 六平 直政

六平さんも北野映画の常連ですが、今回は新聞販売所の良きオヤジとして登場し、配達中に絵を描くというアホ真知寿に対しても怒ることもなく、とても優しいキャラクターとして登場します。
その強面とのギャップが溜まらないですね。
7位 大杉 連

北野映画の常連、大杉連です。
北野映画といえば大杉連、大杉連といえば北野映画だったりします。
本作では真知寿を引き取る叔父さんとして登場するんですけど、口が悪いオヤジでありつつ、「口は悪いけど実は根はいい奴なんだろう」と思わせておいて、結局そんないい奴じゃなかったという役ですね笑
6位 吉岡 澪皇

主人公の真知寿の幼少期の主人公です。
没落貴族的な感じで、少年ながらなかなか難しい役だと思いましたが、環境が変わっても良い感じでボンボンさをキープしながら、それでも絵を愛する子供として好演しております。
生まれ育ったバスの中を出て田舎に向かう時は、ちょっとウルっと来ますね。
5位 麻生 久美子

青年時代の真知寿の職場の同僚でありますが、真知寿に対して謎に好意を持ちます。なんでだったんですかね?笑
とにかく可愛らしいキャラクターですね。
4位 徳永 えり

そして中年時代の真知寿の娘として生まれてしまった悲運な娘です。
とにかくこの子は可哀そうすぎますね・・・ただただ可哀想です。
可哀想としか言えないくらい、最初から最後まで可哀想な役でした。
3位 柳 憂怜

そして青年期の真知寿を演じるのが、柳ユーレイですね。
3-4×10月の主役と言い、たけしには役者として結構評価されていたんですね。
まぁ幼少期とのギャップはありながらも、苦労してこんな感じになったんだな・・・と思わなくもない、とにかく幸薄い感じがアーティストっぽくはありましたね。
2位 樋口 可南子

そして真知寿の最大の理解者であるのが、嫁の樋口可南子です。
芸術を追求して明らかに常軌を逸した真知寿に対して、一緒に付き合うというできた奥さんです。
一緒に看板落書きしたり、変な格好して自転車乗ったり、ボビーに殴られたりと・・・ですが、途中で急に我に返ります笑
「私は何をやってたんだ・・・」という感じだったんでしょう笑
ただ、ラストシーンは非常に良かったですね。
1位 ビートたけし

そして最後は中年時代の真知寿です。
これまでのたけし映画の中で、最もたけしの性格が攻撃的ではないですね。
娘にデカい口を叩かれても、全く反論できない辺りが非常に弱く、それこそ3-4×10月の上原のような会話の通じない狂人とかに比べたら対人関係は優しい男なんですけど、一番頭おかしいのはこの真知寿だったりします。
幼少期、青年期はまだまともなんですが、認められな過ぎてアヴァンギャルドに走り、周りが見えなくなり、マジで理念に狂う様はまさに芸術家。
こういう紙一重の天才はたくさんいたんだろうなと思ってしまいます。
まとめ
そんな感じで久々にストーリー性のある北野映画だったりするんですが、それでもなかなかエグく、登場人物があまり誰も幸せにならない作品だったりするんですが、色々考えさせられる内容だったりします。
是非、美大に通う人には見て欲しい作品ですね。
さて、そんな感じで一心不乱に、ひたすら北野映画を紹介し続けてきたこの映画論、ついに2010年代に突入ですが、この時代といえば「アウトレイジ」三部作ですね。僕の中でもかなりアウトレイジは思い入れがあります。
なので、そのままアウトレイジの紹介に入るか、それとも一旦別の映画を挟むかはまだ僕の中でも決めていないですが・・・
とにかく引き続き、次回の映画論をお楽しみに!
