人権の話を聞いて、昔のタクシーを思い出した
娘へ
今日、父ちゃんは地域の人権について考える集まりに行ってきました。
人権とか差別とか言われると、正直、父ちゃんも普段からそんなことを考えて暮らしているわけではありません。大事なのは分かるけど、ちょっと難しくて、自分の生活とは少し離れた話のように感じることもあります。
でも今日、大学の先生の話を聞いていて、昔のことを少し思い出しました。
父ちゃんが韓国に留学していたとき、タクシーの運転手さんが、父ちゃんが韓国語を分からないと思ったのか、日本の昔の植民地支配のことを話しながら、「やっぱり日本人は悪い」というようなことを言ったことがありました。
昔の日本が韓国にしたことは、きちんと考えないといけないことです。でも、そのとき父ちゃんは少しびっくりしました。
「この人は父ちゃんのことを何も知らないのに、日本人というだけで、もう父ちゃんがどんな人か決まっているんだな」と感じたからです。
逆に、日本に帰ってから散髪屋さんで、アメリカ帰りらしい人が「アメリカの散髪屋は下手だし、社会的な地位も低い」みたいな話をしているのを横で聞いたことがあります。
その人はたぶん、日本の散髪屋さんを褒めたかっただけなんだと思います。でも父ちゃんは、聞いていてなんとなく嫌な感じがしました。
考えてみると、人はけっこう簡単に、
「日本人だから」
「外国人だから」
「男だから、女だから」
「この地域の人だから」
と、ひとまとめにしてしまうんだと思います。
もちろん父ちゃんだって、知らないうちに誰かをそう見てしまっていることがあると思います。
今日の話で少し分かったのは、人権というのは、ただ「人に優しくしましょう」という話ではないということでした。
誰でも最初から、自分のことを大切にしてもらったり、自分の意見を言ったり、不当に決めつけられたり差別されたりしない権利を持っている。
そして、もしその権利が守られなかったときには、「かわいそうだから助けてあげる」だけではなく、きちんと相談したり、直したりできる仕組みも必要なんだそうです。
父ちゃんは、それを聞いて、なるほどなと思いました。
人を決めつけないようにしよう、と気をつけることも大事。
でも、それだけではなくて、誰かが困ったときにちゃんと声を出せて、その声を聞いてもらえることも大事なんやなと思いました。
だから、あなたにも「偏見を持ったらあかん」と言いたいわけではありません。
父ちゃんもたぶん間違えるし、あなたもこれからいろんな人に会って、いろんなことを思うと思います。
そんなときに、
「この人のことを、本当にその人自身を見て考えているかな」
「○○だから、というだけで決めつけてないかな」
と、ときどき考えられたらいいなと思います。
それと、自分が嫌だと思ったときや、何かおかしいと思ったときは、ちゃんと自分の声も大事にしてください。
「どうして私はこうしないといけないの?」
「どうしてこの人だけ違うの?」
と、おかしいと思ったことには「どうして?」と聞いていいんだと思います。
父ちゃんも、あなたが「どうして?」と言ったときに、「大人が決めたから」とか「みんなそうしているから」だけで終わらせず、ちゃんと話を聞けるようにしたいと思います。
人権っていうのは、すごく難しい言葉に見えるけど、
自分の声を大切にすること。
相手の声も同じように大切にすること。
そして、おかしいと思ったときに「どうして?」と考えること。
案外、そんなところから始まるのかもしれません。
父ちゃんも、まだ勉強中です。
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