見出し画像

水彩の滲みに、夏の夜風を感じて。一枚の「蛍の絵」を味わう時間

こんにちは。私の画室へようこそ。

昼間のジリジリとした暑さが嘘のように、夕暮れ時を迎えると、すうっと涼しい夜風が吹き始めます。山にゆっくりと太陽が沈み、辺りがだんだんと濃い藍色に染まっていく……。そんな一瞬の、けれどどこか懐かしい夏の夜の始まりを、一枚の水彩画に仕立ててみました。

今日は、この絵に込めた想いと、水彩画ならではのこだわりを少しだけお話しさせてください。

1. 水の滲みがつむぐ、深いインディゴブルーの世界

この絵の全体を包み込んでいるのは、夜が始まったばかりの深い藍色(インディゴブルー)の世界です。

水彩画でこの静かな夜空を表現するために、あらかじめ紙を水でたっぷりと濡らしておき、そこに絵の具を置いてじわっと自然に広げる技法を使いました。

画面の真ん中を静かに流れる水路には、まだ少しだけ夕焼けの名残である淡い紫色を溶け込ませています。水と絵の具が自由に混ざり合うことで、まるで見ているだけで静かな夜風が肌をなでていくような、優しく心地よい空気感が生まれます。

2. 紙の白さを残して描く、呼吸するような蛍の光

この絵の主役は、水路のまわりにぽつり、ぽつりと浮かぶ、淡い黄緑色をした小さな蛍の光です。

水彩画で「光」を一番きれいに見せるコツは、上から明るい色を塗ることではなく、「紙の白さをあらかじめ残しておくこと」にあります。蛍が光っている場所だけ絵の具をそっと塗り残し、その真っ白な紙の上に、あとから薄く透き通るような黄緑色を重ねていきました。

このひと手間によって、蛍のまわりがぽうっと優しく明るくなり、まるで本当に呼吸を合わせるように、ゆっくりと明滅しているような柔らかい光が生まれます。水辺の草の葉や、ひたひたに張られた田んぼの水面にも、その柔らかい光がまぁるく映り込むように丁寧に描きました。

おわりに

この絵をじっくり眺めていると、ふわりと漂う草の青い匂いや、遠くで響くカエルたちの賑やかな大合唱、さらさらと流れる水の音が心に浮かんできます。

お仕事の合間や、一日の終わりにふっと息をつきたいとき。画室の壁に飾られたこの絵の前に立って、静かな夏の夜風を感じていただけたらこれ以上の幸せはありません。

私の描いた世界に目を留め、一緒にこの景色を味わってくださる大切なあなたへ。いつも温かい時間を共有してくださり、本当にありがとうございます。感謝を込めて。





いいなと思ったら応援しよう!

しまっち よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!