294話 オイルマネー・コード 2話 弁当 The Oil Money Code — Bento LaLaLaさん企画 参加作品 【オイルマネーコード編】波打際スケッチ Sketches of the Shoreline ~AIと創る青春物語~
維吹(いぶき)は、スマホの画面に表示されたAI:AIONの画面を見つめた。
さっき撮ったばかりの夕方の弁当棚の写真がアップロードされている。
AIONが自動でタグ付けを始めている。
棚の充足率:昼間より+32%
客数推定:通常範囲
配送遅延:なし
競合店舗の割引:ありと推定する
淡々とした文字列が、画面の下から上へ流れていく。

「今日も、理由は一つじゃないな……」
維吹は小さくつぶやいた。
AIONは、彼の声を拾ったわけではないが、まるで応えるように解析結果を表示する。
「夕方の余剰は、以下の三要因の複合です。」
1.需要予測アルゴリズムの夕方バイアス
2.配送遅延に伴う補填発注の誤差
3.近隣スーパーの夕方割引による需要吸収
まあ、近隣のスーパーが売れ残りを防ぐために
20%値引きのシールを貼る時間がある。
確かに、そちらを買うはずだ・・・・
が・・・それほど大きな違いにはならないはず・・・
維吹は画面を見ながら眉をひそめた。
AIONは、一行だけ付け加えた。

「三要因のうち、第一要因に人為的な操作の痕跡があります。」
「ん? 三要因のうち、第一要因に人為的な操作の痕跡があります?」
「人為的?」
遠くの方で、合唱部が練習している歌声が聞こえる。

「需要予測に人為的とは・・・」
維吹は思わず声を出した。
コンビニの在庫管理なんて、ただのアルバイトと店長の判断で決まるものだと思うが・・・
その人為的な操作とは何を意味しているのか。
AIONは、淡々と続ける。
「この店舗の在庫AIは、チェーン本部の需要予測モデルを参照しています。
そのモデルが、夕方の需要を過大評価するように設計されています。」
「設計って……ミスじゃなくて?」
「はい。誤差ではなく、意図的な補正です。」
維吹は、コンビニから出るとガラス越しに弁当棚を見た。
蛍光灯型LEDの白い光が、夕方の橙色に溶けている。
その光の中で、余った弁当が静かに並んでいるのが見える。
「なんでそんなことするんだよ……」
自分でも気づかないほど小さな声だった。
AIONはその問いに答えるように、さらに解析を進める。
「この補正は、地域の消費データを夕方に膨らませる効果があります。」
「消費データは、電力需要、物流、政策モデルにも連動しています。」
「つまり……弁当が余ることで、他のデータもズレる?」
「はい。小さなズレですが、社会システムは連動しています。
この地域の未来予測モデルに、微細な誤差が生じています。」
維吹は、胸の奥がざわつくのを感じた。
ただのコンビニ弁当の余りが、未来予測モデルに影響するなんて、
あるだろうか?

「……誰がそんなことを?」
AIONは一瞬だけ処理を止めた。
画面の光が、微かに明滅する。
「現時点では特定できません。
ただし、この補正は単一店舗の判断ではありません。
上位モデルの設計者によるものです。」
「上位モデル……?」
「国家レベルの政策モデルと連動しています。」

「・・・国家?」
維吹は、息を飲んだ。
七里ガ浜の小さなコンビニの弁当が、
国家の未来予測モデルにつながっている。
そんな話、誰が信じるのだ?
だが、AIONは嘘をつかないようにしてある。
予測が外れた理由を学習する
――その思想だけは、維吹が自分の手で組み込んだものだ。
「……もう少し調べてみるか。」
駐車場から歩道に出た。
江の島がみえる海から風が来る。

夕暮れの光が、彼の横顔を淡く照らしている。
その光の中でも
世界の歪みは、まだ息を潜めているようだった。

LaLaLaさん企画 オイルマネー・コード 参加作品
【お題】小説原案&プロットを使って小説書いてみて!

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もっと文章は長かったのですが・・・・
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削りました♪

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「ママさん、何曜日に来るの?」

「え・・・」
「ママさんは、アルカサル(王城)での会議があるからって・・・・」

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