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reiarrive
すいか
ボン、ボン。
低く響く音が、
食べ頃だと教えてくれる。
包丁を入れると、
バリッ、パリパリ。
まな板の上で、
夏だけの小気味よい音が鳴る。
瞬間、青くみずみずしい香りが
鼻を抜ける。
白地にピンクの小さな花柄の
浴衣を着た幼い私が、
誰かの膝元で、
スイカを食べている。
初物を切ると、
五感を通して、原風景がよみがえる。
母は、差しで測ったように、
スイカを縦に四等分し、
さらに、それを二、三センチ幅に
切り分けていた。
子どもは真ん中を、
母は、いつも端を食べていた。
「あなたを一番、大事に想ってる」
母の無意識の〇縛のように感じる、言葉
何百回、浴びただろう。
その度に「育ててもらった」という、
親への罪悪感が顔を出し、
「それだけではなかった」親の理不尽さを、
意識の外へと押しやる。
そのモヤモヤとした正体が、
怒りであったのだと
す~っと、認められたときから、
しがみ付いていた何モノかが、
するんと解けて、消え去って行った🍃
親の記憶は、もう裁く必要もない、
怒りでも、許しでもない。
あるがままの事実が
そこに在るだけ
スイカを切って、
切る音がして、
香りがする。
思い出が、浮かぶ。
「父の膝だった。」
「母は端を食べていた。」
ただ、それだけ。
心は、凪いでいる。
