プレゼント下手な僕だから
母の日のプレゼントは、必ず妻と一緒に選ぶ。なぜなら僕はプレゼント選びが超絶下手だからだ。
これまで妻からも「お願いだから勝手に余計なプレゼントを買ってこないで」と散々言われてきた。ラスベガスで買った、ペンギンマークのスタジャンなんて最高にイカしてたのに、一度も袖を通してもらえなかった。
そんな自分に気付いたのは、小学一年のとき。初めての母の日のプレゼントだった。
自分の全財産(伊藤博文数枚)を握りしめて、幼い僕は駅前の西友に向かった。
そして、一階のアクセサリー売り場に直行する。
オシャレが大好きな母だから、プレゼントはやはりアクセサリーだと思ったのだ。
散々悩んだ挙句、僕はゴールドのメッシュブレスレットを選んだ。
お金が余ったので、隣の雑貨売り場も覗いてみる。するとピンクのリボン付きのプレゼントボックスを模した可愛らしい陶器の小物入れを見つけた。
僕は、これだ!と閃いた。これにさっきのブレスレットを入れて、渡そう。
お母さんのわあと華やぐ笑顔が目に浮かんだ。
そして、母の日当日。
ドキドキしながら、自分の人生で初めてのプレゼントを母に渡した。
しかし、予想とは真逆な反応が返ってきた。
何を言われたのかは、思い出せない。
でも、泣きたくなるほど悲しかったことだけは覚えている。泣かなかったけど。
そして、この日を境に、僕は少しお兄ちゃんになった。
今、振り返ると、母の気持ちも分かるような気がする。
だから、今年も妻と一緒に有楽町までプレゼントを買いに出かけた。
「これとかいいんじゃない?」という僕の提案は、いつも通り却下され、最終的に妻が選んだものは、確かに間違いなさそうだった。
これなら、きっと母も笑ってくれるだろう。
ちなみに、あのゴールドのブレスレットを着けた母の姿の記憶はない。でも、リボンのアクセサリーボックスは、僕が家を出るまで、ずっと鏡台の傍に置いてあった。

