間の抜けた初日の出
大晦日は1時過ぎに布団に入り、日の出前に目が覚めてしまった。浮かれていたわけではないが、知らずのうちに年末年始の空気感に当てられていたようだ。普段はしない、朝散歩というものをやってみようと思った。
早起きが苦手なので、初日の出を見たことはほとんどない。記憶に残っている思い出もわずかだ。一つは中学生の頃。近所の山に登って初日の出を見た。なぜか最寄りの山や公園を避けて自転車を走らせ、バイパスの歩道から伸びている坂道を登った。自分以外に絶対に人はいないだろうと思っていたが、近隣住民らしき人が数名いて驚いた。
もう一つは大学を出たか出ないかくらいの頃。人に誘われて海からの日の出を拝んだ。山育ちの自分からはまず出てこない選択肢。車を降りてからの記憶は曖昧で、車内でのしょうもない会話ばかり、やけに鮮明に覚えている。ここいらは映画「ウォーターボーイズ」のロケ地なんだとか、声優の阿澄佳奈のラジオが面白いとかの話をしていた。

しばらく歩いているが、なかなか太陽が出てこない。建物に囲まれてしまって、明け切らない感じになっているようだ。氏神に挨拶をする。摂末社も合わせて回っているうちに、いつの間にか樹梢に朝日が当たっていた。拝殿に向かって一心に祈り続ける人。おみくじやお守りの売り場に集まる人。池と本殿をバックに写真を撮っている人。人知れずひっそりと枝をすり抜けた光が、社殿に反射してやけに眩しく輝いていた。
神社を出て歩いていると、とうとう朝日を見ることができた。日の出というにはいささか遅すぎる気もした。
新しき年の始の初春の今日降る雪のいや重け吉事
新しい年のはじめの、新春の今日を降りしきる雪のように、いっそう重なれ、良き事よ。
新年にふさわしいこの歌は、『万葉集』の最後に収められている。そんな気持ちで今年も記事を書いていけたらと思う。
【今週のおすすめ本】
『宇宙論入門 ―― 誕生から未来へ』佐藤勝彦
わかりやすい入門書として人におすすめされたものの、自分には難しかった。それでも無理やり読み切った感想としては、研究内容や専門用語の理解よりも筆者の苦労や努力、人文学的な部分でのストーリーの面白さが印象に残った。
たとえば筆者は1979年に「指数関数的膨張モデル」という名前でインフレーション理論の論文を発表している。しかしその半年後にアラン・グースという研究者が同じ内容の理論を発表し、それが「インフレーション宇宙」と命名され、一般化してしまったという(本文76ページ)。
研究者の世界でこういうことはよくあるらしく、筆者的に非常に悔しい出来事だったことが文章から滲む。「好きなことを仕事にできていいですね」と気楽に言われることも多い一方で、実際には世界中の同業者を相手にした熾烈な競争にさらされており、趣味を兼ねた優雅な仕事なんてものではないとあとがきで語られていた。
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