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ただのラッキーセブン【エッセイ】

心地よい目覚めで迎えた土曜日の朝。
いつもなら直ぐに朝食を済ませるのだが、昨夜お米を切らしてしまって食べられるものがない(というよりお米がないと気が済まないだけだが)。
朝食を済ます前に買い物に行かねばならないとは、せっかくの土曜の朝がせわしない。

現在朝9時。お米を買って帰って来て炊飯をして食べるとなると、10時過ぎでブランチになってしまう。
いつも朝はご飯派の僕だが今日はブランチからなのでご飯派もパン派も関係ない。好きなパン屋に行ってそのままスーパーで買い物をしに出かけた。


何のパンを選ぶかはパン屋に着いてから決めるスタイルな僕は、店に着いたら店内を一周して全てのパンに挨拶した。

よく食べる明太子フランスパンが丁度焼き立てのタイミングだったので、明太子フランスパンと食べたことのないハニートーストを購入した。

焼き立ての明太子フランスパンを直ぐに食べようとすると、様子がおかしい。
焼き立てと謳っていたはずが、僕の指先よりもずっと冷たかった。
焼き立てのポップは明太子フランスパンについてると思ったが、もしかしたら隣のガーリックトーストのポップだったのかもしれない。
せっかく食べたことのないパンを2つ食べる計画を1つに変更してまで選んだというのに。
とは言え、温かいうどんを頼んだはずが冷たいうどんが来た時のように『あの、これ冷えてるんですけど』とは言えず、僕は冷たい明太子フランスパンを頬張った。

そんなしょっぱさを味わった後、スーパーで買い物を済ませる。お米を買うのでいつもよりも少し合計金額が高くついたのだが、なんと購入金額が7,777円。

ラッキーセブンだ!しかも7が3つじゃなくて4つも並んでいる!

朝食用の白米を切らしたり焼き立てのパンが焼き立てじゃなかったりと、ラッキーな日とは今の所程遠い調子だが、それまでのことはどうでもいいと思わせる力が、7,777円という印字にはあった。

帰って来て家で自分の時間を過ごしてから、予約していた美容院に向かった。毛量が多くなったので減らしてもらおうとしか考えていなかったので、髪型は『毛量減らして後ろちょっと切るくらいで』というおおよそ適当な注文をした。
美容師はその場で客の言語力から髪型を想定して整えてみせるのだから、改めて凄い技術職だと思わされた。
切ってくれた美容師さんは僕の予想以上にカッコいい髪型にしてくれた。正直安いから通ってるだけで、出来はそんなに評価していない店だったのだが、今日は過去一の出来栄えだ。


夜は久しぶりに会う友達と居酒屋に行った。
久しぶりに会う相手なので、僕が髪を切ったのかどうかも分からないので、僕の髪型が過去一の出来栄えであることは何一つ話題にならなかった。ただただお互いの近況や懐かしい思い出話を延々と話していた。
僕はどんな仲良い友達に対しても、久しぶりに会うとかなり余所余所しくなってしまうのだが、今日は気分が良いからか、最初から最後まで和気藹々楽しく話せた。
その友達は僕が今まで出会った中でも優しいの塊の様な男で、話の節々でいい友達を持ったなあと思わされた。
実際お互いに『君は最高な友達だ』と男同士で口説き合っちゃうのだから、本当に心の底から良い友達に出会えたと思う。思わず別れた後の帰りの電車で少し泣きそうになると同時に、臭いことを言っていた自分に少し笑ってしまった。
今日は間違いなく最高に幸せな一日だった。


思えばスーパーで合計金額7,777円を奇跡的に生み出してから一日が好転した。
『ラッキーセブンの力か?』とも思ったが、髪型の出来栄えが過去一を更新したのは美容師さんの腕前だし、友達との食事が楽しかったのは友達が本当に最高な友達だっただけだ。
7,777円はそれまでちょっとツイテなかった僕の気持ちを切り替えさせてくれたに過ぎない。『今日は良いことあるかも!』と思わせてくれただけだが、それがあったから僕はいつもより心が弾んで、自分が満足できるように一日を終えられたのかもしれない。



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