誘いや依頼を断られると嬉しいなと思う
これは僕が年下(の異性)と関わる機会が多かったからこその感覚だと思うのだが、僕には割と昔から「誘いや依頼を断られると嬉しい」という感覚がある。特に書店員時代は学生バイトが多く、彼らと仕事やプライベートで関わる中で徐々にそういう感覚が積み上がっていったんだろうなと思う。
「断られると嬉しい」と意識するようになったきっかけは、20代の頃に「女性は基本的にはっきりNOと言わない」と学んだことにある。僕は当時、「たくさんの女子の中に男が僕だけ」という飲み会に結構呼ばれたのだが(「男扱いしなくて大丈夫な雰囲気」を出すのは結構得意だったので)、そういう場面で女子たちがよく男の悪口をボロクソに言っていたのだ。しかも、その文句を言っている相手とは表向き割と仲良さそうに振る舞っていた。それで僕は、「そうか、表向きの振る舞いだけ見てたら間違うな」と強く実感させられたのである。
決して女性に限る話ではないだろうが、「年上と年下が関わる」というような「権力勾配があるだろう状況下」においては、下の立場にいる側はなかなか「本当のこと」を口にするのが難しい。特に、「相手の誘い・依頼を断る」みたいな状況はハードルが高いだろう。よく言われる話だと思うが、特に女性が男性からの誘いを断ろうとする時に、「今忙しいから、予定が分かったらこっちから連絡するね」みたいに伝えるやり方がある。実際には女性は断っている(NOの意味を伝えている)のだが、直接的にNOと言わないことによって気まずさを回避できるし、何なら男は「断られていること」に気づかなかったりもするだろう(女性としては「察してくれ」って感じだろうが)。
みたいなことが、年下と関わる中で少しずつ理解できるようになり、そしてそれによって「断られたら嬉しい」という感覚が生まれることになった。直接的にNOと伝えることは難しいからこそ、「直接NOと言ってくれること」には価値があるなと感じるのだ。
というか逆に言うなら、「直接NOと言ってくれるからこそ、その人のYESにより価値が出る」とも言えるだろう。僕はそんな風に考えている。相手から一度もNOと言われたことがないと、「NOと言えないからYESと言っている」のか「本当にYES」なのかを判断するのが難しい。で、僕は安全のために、「NOと言えないからYESと言っている」という可能性を常に残しておくことになる。一方で、「この人はちゃんとNOと言ってくれるんだな」と感じられると、「NOと言えないからYESと言っている」という可能性をほぼ消しても大丈夫だろうなと思えるので、それで「嬉しい」という感覚になるというわけだ。
で、そんな風に考えているから、僕は「断りやすい雰囲気」を出すことは結構意識している。一番気をつけているのは、例えば飲みに誘うような場合に、「気が向いたら飲みに行きましょう」みたいには言わないようにしていること。何故なら、この誘いを断ったら「気が向かなかった」ということになってしまうからだ。それでは断りにくいだろう。だから「忙しくなかったら~」みたいに言うようにしてる。
というような感じで僕は常に、「『NOと言える余地がある』と相手が感じられるか?」みたいな意識を強く持つようにしている。「NOと言える余地」がない誘い・依頼はほぼ脅迫みたいなものだと思うからだ。まあ、そうやって自分なりに「NOと言いやすい雰囲気」を整えているつもりでも、「そもそもあなたにNOと言いにくい」みたいなこともあるだろうし、だから油断は出来ないのだけど。あと、「NOと言われること」は嬉しいんだけど、「一度誘いを断られた後、次誘っても大丈夫かどうか」の判断はなかなか難しくて、その点に結構悩むことも多い。
まあそんなわけで、「NOと言われたら嬉しいよね」という話。世の中的には「断られたら傷つく」みたいなタイプの人も多いんじゃないかという気がするけど、こういう理屈を自分の中に持っておくと意識を大分変えられるんじゃないかなと思う。いやホント、「断られない」方が怖いって。
いいなと思ったら応援しよう!
サポートいただけると励みになります!