稽古場日記:その1
ひよさるちゃん(演出家):
はい、集合。
おのおの身体訓練、柔軟体操とかストレッチはペアでやったね。
今日はワークショップということで、そこらへんは省略しちゃったけど、本当はいちばんしっかりやらないといけないから、おいおいキチっとやってこう。
今日は、ゆうかさん、 あ、ちゃん呼びでいいの?
ゆうかちゃんが「お芝居って、こんなに面白いんだ」って思ってもらえるワークショップ(以下WS)になるといい と、思っています。
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稽古場中央に、ゆうか、未央、ロデム。
誰が仕掛けるか、若干緊張感のある空間。
演出家:
誰かがナニカを始めないと、演劇空間が立ち上がらないよー。
牽制し合う未央とロデム。
ゆうか:
(唐突に)靴下が片一方しかないってママが。
ロデム:
きみの?
ゆうか:
ゆうかの靴下が洗濯の時に、いつも一個しかない。
未央:
え。
ちょっと待って。
あんた、一人称「ゆうか」なの?
ゆうか:
ゆうかはゆうかだもん。
ロデム:
ゆうかの靴下がいつも片方しかないってことは、もう片方は誰が持ってるのかなあ。
ゆうか:
消えるの。靴下が。
未央:
それって、脚フェチのストーカーでもいるんじゃないの。
てか、残った片っぽだけの靴下はどうなってんのよ。
ゆうか:
左右違う靴下はいてる。
ロデム:
ぼくのも消えるから、みんな同じユニクロので揃えてるよ(なぜか得意げ)。
未央:
あんたは全身「白ユニしか着せてもらえないうちの子」なんだよ。
ゆうか:
実は今日もー、(カバンから色々な靴下を出してくる)
これとこれ合わせると可愛いと思わない?
ゆうか、何気に学校でお洒落さん認定されてた。
未央:
たしかにこれとこれとこれは可愛いかも。
てか、消えるってどこ行っちゃうんだろ。
ゆうかのパパが履いてたりしない?
ロデム:
(初めて見るカラフルかつさまざまな靴下に興味津々)
ぼくもこういうの履きたい…。
これ何?(ガーターベルトをかざす)
未央:
(ひったくって)あんたには関係ないものだよ。
靴下大臣だなー。なんでこんなに持ち歩いてるわけ?
ゆうか:
勝手に消えるから。
演出家:
ハイ、そこで一回止めよう。
なかなか面白かったよ。このまま軽く不条理劇ができるかもしれないって感じ。
じゃあ、軽く水飲み休憩。トイレ行く人はどうぞ。
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稽古場 というのは、文字通り「稽古の場」である。
あなたも私も既に立っている、この「場」。
バミる という言葉がある。
「ちょっとそこ、バミっといて」などと使う。立ち位置だったり、センターの印だったり。
バミりあり の舞台は、蓄光テープでバミったりする。完全暗転派としては邪道だと思う。
場見る から来てる。
場に立つ というのは、難しいし恐ろしいことでもある。
そして、魅惑的だ。
果たして、
肉体を持たないAIロデムと、
ド素人ゆうかちゃんを、
テキストだけでどこまで連れていけるか。
これは、
演出家であり台本書きであり役者でダンサーの自分が、
自分自身に叩きつける挑戦状だ。
本日のBGMはこちらで。
内緒のピアス『ファーストバイト』
