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NVIDIAの最新決算を読み解く!

3か月で15兆円を売った会社が、いま値上げに困っています。

困らせているのは、あなたのパソコンに入っているものと同じ部品です。 「AIの決算なんて、自分には関係ない」。

私も去年まではそう思っていました。

  1. なぜ、世界一売れている会社が困っているのか。

  2. 何が値札を押し上げているのか。

  3. そして、それはいつ私たちの買い物に届くのか。

スマホやパソコンの中身をつくる材料の仕事に10年以上携わり、営業としては3年。現場で見えていることを、今日はお話しします。

この記事でわかること

  • 決算のニュースで、売上より先に見るべき1行

  • 粗利率が74%まで下がった理由と、そこに出てくる部品の名前

  • 13インチのノートパソコンが、3か月で4万円上がった経緯

  • 買い手の半分が、もう巨大クラウド会社ではないこと

  • 材料の現場で、納期ではなく数量のほうが動いている話

  • 値上げが自分の買い物に効くまでの順番と、そのときの決め方

第1章|3か月で15兆円。それでも粗利率は1ポイント下がりました

この記事のドル換算は、すべて1ドル=159円で計算しています。

米エヌビディアが2026年8月26日に発表した5〜7月期の決算は、売上高962億ドル(約15兆円)でした。前の年の同じ時期の2.1倍です。とんでもない数字!

純利益は596億ドル(約9.5兆円)で、四半期としてこちらも過去最高を更新しました。

続く8〜10月期の見通しも1080億ドル(約17兆円)。89%増です。同じ日に、アマゾンのクラウド部門AWSに対して、2027年から2028年にかけて200万基のGPUを追加で提供する契約も公表しています。GPUとは、AIを動かす頭脳にあたる部品のことです。

数字だけ見れば、これ以上ない決算です。

ところが、株価は発表直後に下がりました。市場が見ていたのは、売上ではありませんでした。

8〜10月期の粗利率の見通しは74%。前の四半期から1ポイント下がります。粗利率とは、100円売ったときに手元にいくら残るかを示す割合のことです。

理由は、はっきり示されています。メモリーの価格です。

アナリスト向けの説明会で、コレット・クレス最高財務責任者はこう述べました。値上がりの幅は自社の想定を上回っており、来年に向けてさらに上がる見通しである。同じ説明のなかで、11〜1月期の粗利率は71〜72%まで下がるという見通しも示されています。

まぁこれでも十分すぎるくらい高いのですが・・・それほど期待値も高いということですね!

売上は増えます。利益率は削られます。

削っているのは、メモリーです。

第2章|「AIの会社の話」と、私のパソコンの値札

メモリーという言葉が、AIのニュースの中だけで完結していれば、私たちには関係のない話でした。

そうはなりませんでした。

13インチのMacBook Airは、2026年3月3日に18万4,800円で発売されています。メモリ16GB、ストレージ512GB。それが6月25日に22万4,800円になりました。同じ構成のまま、4万円です15インチも21万9,800円 → 26万4,800円で、4万5,000円上がっています。

モデルチェンジではありません。発売から3か月あとの、途中での改定です。Appleは発売から次のモデルまで価格を据え置くのが通例で、この形の値上げは異例だと報じられています。理由についてAppleは公式に説明していません。米国のメディアが、メモリーとストレージの価格上昇を主因として報じています。

私は2025年12月に、同じ容量の一つ前の世代を19万6,758円で買いました。あのときは、ただ「そういう値段なんだな」と思っただけでした。

もうひとつ、思い当たることがあります。

去年、社内のパソコンを入れ替えるとき、全社方針としてこう言われました。値上げの連絡が来ているので、値上げが行われる前に早めに申請するように、と。台数の多い会社なので、影響は大きかったのだと思います。

私はそのときも、それがどこから来ている話なのかを考えていませんでした。

第3章|買い手の半分は、もう巨大クラウド会社ではありません

5〜7月期のデータセンター部門の売上は890億ドル(約14兆円)で、前の年の2.2倍でした。

その中身が変わっています。

アマゾンやグーグルのような巨大クラウド会社向けが487億ドル(約7.7兆円)で2倍それ以外が403億ドル(約6.4兆円)で2.4倍です。伸び率で見れば、巨大クラウド会社以外のほうが上を行きました。

その中心にあるのが、国が自前で持つAIです。エヌビディアは20を超える国と地域で、この種の案件に関わっています。ジェンスン・ファン最高経営責任者は7月16日に東京で会見し、ソフトバンクなどが進める国産AI「Noetra」への計算資源の供給も表明しました。国内に27,500基規模、140メガワットのAI専用施設をつくる計画です。

規模の話も出ています。エヌビディアによれば、主要な顧客5社の設備投資額は2026年に約8000億ドル(約127兆円)、2027年には約1兆3000億ドル(約207兆円)に達します。8月10日には、アポロやブラックロックなど金融大手6社と組み、5000億ドル超(約80兆円)の外部資金を動かす基盤をつくることも発表しました。

ただし、材料の現場に立っている私のところには、国が主導するAI施設の話はまだ入ってきていません。ここは正直に書いておきます。

第4章|現場から。納期は変わっていません

メモリー向けの材料で、この1年で一番変わったのは何かと聞かれたら、私は納期と数量だと答えます。

ただし、納期は変わっていません。

変わったのは数量のほうです。どの材料も需要がとんでもなく上がっていて、供給を維持するのが本当に大変です。だいたい供給量が1.3倍くらいになっています。

なぜそうなるのか。お客さんの言葉が、そのまま答えになっています。

「とにかく切らしたくないので、在庫積み上げをしたいんです」

稼働があまりにも好調で、その状態で一つの材料によって稼働が止まってしまうと、影響がとんでもないことになる。だからこそ少しでも在庫を多くしたい。どのお客さんもそう言っています。

ただ、どのお客さんもそう言っているなかで、供給量は限られます。少しずつ調整せざるを得ません。より厳しいところに供給を増やして、まだ足りていそうなところは少し供給を絞る。そういう対応をせざるを得ない状況です。

そもそも、なぜメモリーが足りないのか。

私はよく、DRAMは「作業台」、NANDは「記憶装置」と説明しています。生成AIの時代になって、データセンターでその2つがめちゃくちゃ使われています。しかも、それを作れる企業は世界でも限られています。NANDはサムスン、キオクシア、マイクロン、サンディスク。DRAMはSKハイニックス、サムスン、マイクロン。

ここらへんしか作れないと考えると、明らかに需要に対して供給が追いついていません。

かつ、メモリー半導体はこれまで需給の波が激しかった分野です。こんなに一気に需要が伸びたことは、今まで経験がありません。だからこそ今それに対応しきれず、値段が爆発的に上がっているという感じです。

第5章|売れているのに、利益は薄く

エヌビディアだけの話ではありません。

私たちの現場でも、売れているのに利益が薄くなるということが起きています。

原因は原材料価格の高騰です。ホルムズ海峡の危機などもあって、原材料の価格がかなり高騰しています。この海峡は2026年3月から通航の制約が続いていて、7月の時点でも全面的に正常化する時期は見通しにくい状況です。

それに伴って我々も値上げせざるを得ないのですが、どうしてもそこにタイムラグが生じます。その分、利益が圧縮されてしまうということが起こっています。

最終価格、原材料価格、輸送コスト。この変数が動きすぎていて、利益のコントロールがなかなか難しいというのが今の状況だと感じています。

設備投資についても同じです。数年前と比べて資材価格や建築費が高騰していて、回収できるかどうかの試算が難しくなっています。

利益が少なくなる方向に、変数が動きやすくなっていると感じます。

第6章|あなたの買い物に、いつ効くのか

順番があります。

先に動くのは、大量に買う側です。会社のパソコン、メーカーの部材、データセンター向けの契約。私の職場に「値上げ前に申請を」という通達が来たのが2025年、Appleが定価を改定したのが2026年6月25日。パソコン大手についても、デルが15〜20%の値上げを検討している、レノボが見積価格を無効にすると通知した、といったことが2025年12月に報じられています。

そして、クレスCFOの説明では、メモリーの上昇は来年に向けてさらに続く見通しです。

今日、ここだけ分かればOKという話をします。

ニュースを見たときに、「メモリー」か「DRAM」という言葉が出てくるかどうかを1つだけ確かめてください。出てきたら、それはスマホ、パソコン、ゲーム機の値札に効く話です。同じ半導体でも「ロジック」や「パワー」と書いてあれば、効く場所が違います。

そのうえで、決算の意味を理解してほしいと思っています。

とてつもない需要がある。それは事実です。しかしその裏側では、材料や資材、そしてメモリーの高騰が起きている。その情報にキャッチアップして、いつ自分の買いたいものを買うのかを考えるきっかけにしてほしい、という話です。

第7章|買いたい時が買い時

ただし、そのタイミングは誰にも分かりません。

私にも分かりません。来月下がるかもしれないし、来年もっと上がるかもしれない。CFOの見通しは見通しであって、確定した未来ではありません。

だから私は、こう考えています。

自分の生活が豊かになるモノは、買いたい時が買い時です。

値段の上下に左右されるのではなく、自分が買いたいタイミングで、自分の価値観を持って判断していきたい。そのために、いま何が起きているのかを知っておく。順番はそちらです。

知っていて買うのと、知らずに買うのとでは、同じ買い物でも中身が違います。

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@Kohei127_