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iPhoneの原価率、まさかの8割。もう"儲からない商品"になっていました

iPhoneの部品代が、販売価格の「8割」まで来ました。

「この値段で、利益ってどこに残るんですか?」

現場で見積もりを眺めながら、思わず口に出た一言です。

半導体材料に10年以上携わる現場から、今日は「値上げの本当の理由」をお話しします。

いちばん驚いたのは、値上げの理由が「Appleの強気」でも「円安」でもなかったことです。あの世界一儲かるスマホが、原価に押されて"儲けにくい商品"に変わりつつある。今日はその中身を、やさしく分解していきます。

この記事でわかること

第1章|iPhoneの部品原価が、1年で「8割」になりました

数字で話します。

  • iPhone17に載っているメモリー(DRAM+ストレージ)の調達価格:約60ドル → 約200ドル(3.3倍)

  • メモリーだけで、1台あたり約2万2000円のコスト増

  • その結果、販売価格に占める部品総額の割合は、推定62% → 80%へ

「原価率8割」。これがどれだけ異常か、少しだけ想像してみてください。

ふつう、モノを売る商売は、部品や仕入れの原価があって、そこに組み立て・輸送・広告・お店・開発費・保証と、たくさんの費用が乗ります。それを全部払って、最後にようやく利益が残る。

その一番の元手である部品代が、売値の8割を食べてしまったら、残りの2割で他の全部を払わないといけません。

これはもう、利益がほとんど残らない水準です。

iPhoneは、世界でいちばん儲かるスマホでした。それが今、"儲けにくい商品"に変わりつつあります

第2章|"値上げ=強気なApple"は、むしろ逆です

「Appleは強いから、強気に値上げしている」 「どうせ円安のせいでしょ」

そう思っている人が多いと思います。でも、実態はむしろです。

アメリカでのiPhone標準モデルは、税抜き799ドルで6年間ずっと据え置き。円安の国・日本だけの話ではありません。ドルの本国でも、原価が利益を圧迫しているんです。

原価率が8割まで来た製品を値上げするのは、「強気」ではありません。「そうしないと商売が成り立たない」からです。

そして象徴的なことがあります。Appleは6月にiPadとMacを2〜3割値上げしたとき、その理由を「メモリー半導体メーカーにある」とはっきり名指ししました。

強気の企業は、ふつう値上げの理由を他社のせいにしません。これは、追い込まれているサインなんです。

第3章|iPad・Macはもう値上げ済み。iPhoneだけ"後回し"にはできません

そして今、順番が回ってきています。

  • 6月25日、AppleはiPadとMacを2〜3割値上げ(実施済み)

  • iPhoneには"駆け込み需要"。7月初旬の10日間で、家電量販店などの販売数量が前年同期比4割増

  • 中古iPhoneの取引単価も14%上昇。「値上げ前に買っておこう」という動き

  • 標準モデルのiPhone18は、発売を2027年春に先送りするという報道も

なぜiPhoneだけ後回しにできないのか。原価率の上昇は、iPadにもMacにもiPhoneにも同時に効いているからです。1つだけ据え置けば、その1つが「利益を出さない箱」になってしまう。

香港の調査会社は、2026年のスマホ出荷が前年比14%減と予想しています。値段が上がって、台数も減る。メーカーにとって、いちばん苦しい形です。

第4章|現場から見えていること(値引きが消える「臨界点」の話)

ここからは、半導体材料に10年以上携わり、営業として3年、毎日見積もりと向き合ってきた現場の話をします。

営業は、いつも「原価率」を見ています。

原価率が上がると、商売には決まった順番で変化が起きます。

  1. まず、「値引き」ができなくなる

  2. 次に、「価格の据え置き」も苦しくなる

  3. 最後に、「値上げ」しか手が残らなくなる

この3段階には、明確な"臨界点"があります。原価率がある線を超えた瞬間、値引きの余地がスッと消えるんです。

私の会社でも、数年前まではお客さまから「もう少し安く」と言われる側でした。それが今は、こちらから「値上げをお願いします」と頭を下げる側に回りました。立場が、静かに逆転したんです。

Appleは今、まさにこの臨界点に立っています。
世界でいちばん値引き体力のあった会社が、原価率8割に押されて「値上げしか残っていない」場所まで来た。

ニュースで読むと遠い話に見えますが、私が毎日見積書で見ている景色と、地続きなんです。

第5章|これ、iPhoneだけの話ではありません

これ、遠い話ではありません。

メモリーは、iPhoneだけでなく、パソコン・テレビ・ゲーム機・車・エアコン、ありとあらゆる製品に入っています。だから、同じ原価率の上昇に、身の回りのモノが全部さらされます。

そして、ここが大事な視点です。

原価率が上がると、メーカーは値札を上げきれない分、「カタチ」を変えてきます。

  • 基本ストレージがこっそり減る

  • 付属品(充電器・ケーブル)が箱から消える

  • 同じ値段でも、中身のグレードが下がる

値上げは、価格ではなく"カタチ"を変えてやってきます。だから「安くなるまで待とう」は、これからは効きにくい。待っている間に、同じ値段のまま中身が痩せていくからです。

第6章|ここだけ押さえておけばOK!

今日はここだけ押さえておけば大丈夫です。

iPhoneの値上げは、Appleが強気になったからでも、円安"だけ"のせいでもありません。部品原価が売値の8割まで来て、"儲けにくい商品"になったから。その大元は、AIがメモリーという半導体を世界中で奪い合っていることです。

そして、この状況は少なくとも2027〜2028年ごろまで、大きくは変わりにくい。値段が据え置かれても、中身が痩せる可能性がある。

この一点を知っているだけで、次の買い替えの"納得感"が変わります。知らないまま「そのうち安くなる」と待ち続けると、気づかないうちに、損な側に回ってしまうかもしれません。


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