イマドキ農業の最前線@北朝鮮#112
こんにちは。
毎日、毎日、暑いですね。
こんなに暑い日々を過ごしていると、エアコンがない北朝鮮でどのように過ごしていたか不思議に思えてきます。
北朝鮮は緯度が高いので、夏は涼しいのではないかと思う人がいるかもしれませんが、そういうわけでもありません。
今も忘れられないのが、1994年7月8日です。気温が何度だったか定かではないのですが、ものすごく暑かったのを昨日のことのように思い出せます。
もう30年も前のことのに、私がこんなことを書くのはなぜだと思いますか?
その日は金日成の命日でした。
大きすぎる悲しみに襲われたから覚えているのではありません。
偉大なる将軍様が亡くなったら、忠誠を誓う民はどのように過ごすのか。
分身である銅像の前に集まり、延々と大泣きしながら悼むのです。
厚い忠誠心があれば季節や天候は関係ありません😎
その日は真夏の晴天の下、屋外でひたすら悲しみに暮れる”ふり”を続けるハメになりました。忘れたくても忘れられない夏の思い出です。
そう広くない場所に大勢の人が密集していたこともあり、余計に暑く感じたような気がします。
(北朝鮮の)常識的に考えて、水分補給をしたり日陰で休憩したりすることは許されません。
真夏の屋外で延々と立ち尽くしていれば、当然のようにやってくるのが熱中症。
倒れる人が続出します。
そこまで行って、初めて日陰に移動することができるのです。
そんな育ちをしてきた私は、先日Yahoo!ニュースの記事を読んで目を疑いました。
今年の猛暑は北朝鮮にも及んでいるようで、どこもかしこも暑いようです。
記事の中に「熱中症の被害が相次いでいることから、一部では作業時間の短縮が指示されることもある」と書いてあるではありませんか‼️
びっくり。
だって北朝鮮は、”汗かいて寝れば治る”の国ですから。
この話が本当なら、北朝鮮に”熱中症予防”という概念が広まっているということになります。でも、きっと国家記念行事に向けた練習とかは、人が倒れようが、死のうが、関係なくやるんだろうなー…😑
記事を読みながらあれこれ思い返していたら、学生時代に「農村動員」と呼ばれる強制労働をさせられた記憶が蘇ってきました。
何のことかというと、1〜2ヶ月の間、自分の食料と簡単な着替えだけ持って、辺境の農村に動員(連行)されるイベントです。
農村動員の期間中は、朝6:00起床→7:00食事→8:00田植え開始、というスケジュールで生活します。
日本にも農業体験はありますよね。近所の大きめの公園で、田植え体験をしてきたであろう子どもの集団を目にしたことがあります。
みんなワイワイ楽しそうで、泥んこになった服にホースで勢いよく水をかけられたりして、キャーキャー叫ぶ子どもたちの姿が印象に残りました。大人になっても楽しい思い出として、胸に刻まれることでしょう。
北朝鮮の「農村動員」がそういうものでないのは、説明するまでもなく想像がつくことと思われます。
数人くらいでグループになるのですが、グループ単位と個人単位の両方でノルマが設定されており、それが終わらないと他のメンバーから批判の対象になります。昼休みまで休憩らしい休憩はほとんどありません。
全て手作業で行われる田植えは、中腰の姿勢がとてもしんどいのです。ひ弱だった私はとても耐えられず、水が張ってある田んぼに座りこんでひと息つきながら、何とか作業をしていました。
日本では、”無農薬栽培”や”機械を入れない手仕事”は、それがブランディングや品質の向上に繋がって付加価値を生むから行われる、という認識が存在していると思います。やった分だけ返ってくるもの。
そういった理由もなしに、農薬も耕作機械も使えないというのは…
ただの罰ゲームじゃないでしょうか。
先ほどご紹介した記事に「国境地域では牛も機械もほとんど見られず」という記載があり、それは20年以上の昔、実際に農村に送り込まれた私のイメージと完全に合致します。
日本で暮らしていると、水耕栽培の工場で作られる野菜があったり、センサーでビニールハウスを管理して遠隔操作で水撒きしたり、ドローンを用いたりと、近未来だなと思う事例を目にします。
全部が全部そうでなくとも、耕作機械は一般的に普及しているし、高騰しているとしても燃料も手に入りますよね?(このあたりは詳しくないので、想像で書いています)
北朝鮮の多くの田畑には、機械を入れられず、農業の担い手も不足しているため、中学生とか高校生が(教育の一環ではなく)純粋に”労働力”として投入されているのです。
若くて何の経験もない、素人の集団です。しかも、農民は誰一人、何一つ指導などしません。品質管理が存在しない。なぜなら自己所有の農地ではない(国のものだ)から。
豊作でも凶作でも、自分に返ってくるものは変わりません。(というか、得られるものは何もありません)ノルマさえ片付けて、処罰されなければ良いという姿勢で仕事をしています。
収穫量が少しでも増えるように創意工夫を凝らすとか、品種改良を実現して病害虫に強い農作物を作り出すとか、そんなモチベーションが湧いてくるはずないですよね。飢饉が起こるのは当然かも。
サボっていても、がんばっていても、自分が得られるものが同じならサボるのが自然です。
国家の上層部が決めたことが絶対で、個々人の発想や能力が活かされないなら、イノベーションは起こり得ないでしょう。
私が言うまでもないことなのでしょうが、社会主義が資本主義に敗れた原因は、そのあたりにあるのだと思います。
北朝鮮における農業の最前線は、オール手仕事・学生動員・強制無農薬(人糞肥料)栽培です。
”20年前と変化なし”というのが総括かもしれません。
最近、ホームセンターのコー◯ンで、備蓄米が個数制限なく販売されているのを発見、3000円を切るお値段でした。

我が家も1つ購入したので、味見するのが楽しみです。
普段の生活に追われていると忘れてしまいますが、民意とかそのときの状況に、政治がきちんと応えてくれるのは、素晴らしいことです。
現体制を支持しているという意味ではありません。民意や世相が反映される、その”仕組み”を大切にしていきたいと常々思っています。
いろいろな記事で書いていますが、各々の意識でその権利を守っていきましょう。
では、また。
