“お風呂はナシよ”大作戦の行方#108
こんばんは。
7月9日、韓国政府は北朝鮮住民6人を北朝鮮に送還したと伝えました。
今日はそのことについて少し触れていきたいと思います。
今年の3月と5月に壊れた漁船で漂流していた北朝鮮国民6人(4人と2人は別々の場所で発見)が韓国政府に保護されました。
韓国政府は彼らを保護している間、何度も亡命を勧めたものの、彼らは頑として受け入れることはありませんでした。
それだけではありません。
「資本主義の敵国である韓国の水を使いたくない」と言って、お風呂もシャワーも拒否しました。
そして、テレビを含む各メディアも完全にシャットダウンした状態で過ごしたのです。
当然ですが、時間の経過とともに彼らが発する悪臭はレベルアップしていきます。というか、海上を漂流する生活だったので、元からそれなりに仕上がっていたことでしょう。
面談やその他もろもろで関わらざるを得ない韓国統一部の人々は、とても辛い思いをしたそうです😂
いっそのこと食事も拒否してハンガーストライキでも起こせば、”死んでも帰りたいんだ”という覚悟が伝わりますし、事は早く進んだと思います…が、そこは違いました。
「元気な姿で尊敬する金正恩将軍様のところに戻りたい」と言いながら、食事とおやつはキレイに食べたとのこと。おやつもキレイに、ね。
我慢できなかったのか、結局しばらくしてからシャワーは始めたそうです😳
韓国の水を使わないことにこだわっていたのは、どれだけ頭を捻っても意味がわかりませんが、結果として北朝鮮に送還されているから良い作戦だったのかもしれません。
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)も介入して、漁師たちの意思を何度も確認しましたが、結果は変わらず。
韓国政府は彼らを北朝鮮に帰すと決めました。
北朝鮮とコンタクトを取ろうとした韓国でしたが、とある経緯で両国間のホットラインはすべて遮断されてしまっています。
メディアを通じて何度もメッセージを送ったものの、北朝鮮側からの応答は一向にありませんでした。
その間、韓国も大きな政治的な混乱を経て新しい大統領を選出しました。李在明大統領は彼らを北朝鮮に帰すと宣言することになります。
結局、北朝鮮と連絡が取れない状態が続き、彼らを帰す上で乗ってきた漁船を活用する方法が選ばれ、UNHCRを通じて時間と場所を伝えました。
漂着した2隻のうち1隻は修理不能だったため承諾を得て処分、残りの1隻に6人全員を乗せて韓国海軍の護衛を受けながら、帰路につきました。
東海上の指定した地点にたどり着いたところ、北朝鮮の小さな軍艦が待っていたそうです。
こういった経緯で、彼らは無事に(?)北朝鮮に帰ることができました。
私は今まで、北朝鮮で暮らすほとんどの人は”チャンスがあれば北朝鮮から逃れたいと思っている“はずだとnoteで何度も主張してきました。
この考えは今も変わっていません。
ただ、かくも恐ろしいのは、北朝鮮が行ってきたマインドコントロールです。生まれてから死ぬまで、一度も途切れることなく刷り込まれてきた洗脳が、いかに強力かを物語っているエピソードのように感じます。
日本で生まれ育っても、北朝鮮総連の活動に人生を捧げる人がいるのですから。他の世界を知らない北朝鮮住民がそこから抜け出すのは、難しいことかもしれません。
少し話が逸れますが、北朝鮮の最高総合大学である金日成総合大学で「チュチェ思想(主体思想)」を研究する博士課程の留学生を募集しており、何と奨学金まで出すといいます。

英語が読める方はぜひ読んで頂きたいのですが、その支給額は何と年間1475ドル(約14万円)だそうです。
この金額を多いと感じるか少ないと感じるかは人それぞれですが、定期的に停電が訪れエレベーターが止まっている、水洗トイレもない寄宿舎での暮らしや、(ジャングルとは違う意味で)命懸けのスリリングな日常を体験をしたい人がいたら、検討してみてください(はっきり言っておすすめはできません💦)。
話を戻して、北朝鮮住民6人を帰還させたことについて、多くの脱北者団体が強く反発しています。
何もわからずに北朝鮮に戻りたいと言った人々を、本物の地獄のようなあの国に戻すなど、人権への配慮のかけらもないと主張するのです。
私からすれば北朝鮮は生き地獄です。
夢の中ですら戻りたくないと強く思っています。
しかし、「故郷に戻る」と言い張る人々を無理やり韓国に留め置くのは、それこそ人権侵害ではないか?という見方もできるかもしれません。
ずいぶん前のことですが、看護学校の授業で信仰する宗教の教義により、輸血を拒否する人々の話を聞いたことがあります。
もっと一般的なレベルでいうと、病気の治癒が望めないとわかったとき、延命治療を受けるかどうかも人それぞれではないでしょうか。
個人の責任の範囲に収まることに関して、何が望ましいかを決める権利は当然、その個人に属すると私は思います。
“こうしてはどうか”と勧めることはできても、“こうすべきだ”と強要することはできません。
それが民主主義というものでしょう。
今回の件に関しては、漂流している漁師を保護し、亡命を勧告した時点で韓国政府は果たすべき道義を果たしたと思います。
あの国を抜け出したいと思っている人を助ける。
それで十分ではないでしょうか。
今年7月4日、韓国と北朝鮮の国境にあたる北緯38度線を一人で越えて、脱北した事例がありました。
彼は日中は動かずじっとして、夜だけ這うように進むことで20時間以上かけて韓国軍に保護されたといいます。
入浴を拒否してあの国へ戻ろうとする人がいる一方、命懸けで脱出する人がいます。個人の望みが叶わない点が、解消したい部分ではないかと思います。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、ここ数年、脱北者が激減してる状況があります。
それは、北朝鮮の国境警備が厳重になったことと、捕まったら即処刑という厳罰化が影響しています。
仮に中国までたどり着いたとしても、顔認証技術×監視カメラによる摘発の精度が高すぎて、成功率はゼロに近いといわれています。
そんな状況ですから、今は“死んでも北朝鮮を出たい”人しか行動に移すことはできません。
今後、何かのきっかけでこれらの条件が少し緩くなると、また大量の脱北者が押し寄せてくると思います。
日本と同じく人口の高齢化という課題を抱えている韓国では、他の外国人より言葉が通じる同族である脱北者が歓迎されるのでないでしょうか。
そういう日もそう遠くないと私は思います。
最後に少しだけ。
今年も日本は記録的な暑さが続いています。こういう時はエアコンがある日本で良かったと幸せを感じます。
韓国も日本と同じく猛暑に苛まれており、熱中症で病院に運ばれるケースとそれによる死亡者数が急増しているそうです。
当然、陸続きのと北朝鮮でも状況は変わりません。
エアコンは金一家とその周囲の数人しか使えませんし、庶民はエアコンの存在すら知らないのが当たり前です。
奇跡的に手に入れたとしても、慢性的な電力不足の北朝鮮では使用することはできません。冷蔵庫と同じく、単なるオブジェになってしまいます。これは扇風機も同じこと…
医療も整備されていないので、重症化した時は助からないと思った方が良いでしょう。(※平壌を除く)
…なのに。
金正恩はこんな暑さの中で大きな行事を計画しているらしく、今は訓練の真っ最中だということです。
相変わらず、気が狂っているとしか思えません。
フライパンのように熱くなったアスファルトの上で、何時間も行進やマスゲームの練習する人々のことを考えると胸が痛みます。
やりたい人はどうぞご勝手に。
やりたくない人は一日も早く解放されますように。
今日もまた、日本の空の下から祈ってみます。
ではまた。
