私はずっと、同じ壁を登っていた
10年前のFacebookの投稿が出てきた。
2016年。
第7回日本オープンスラックライン選手権。
私は6連覇がかかる大会で3位だった。
今読むと驚く。
当時の私は、
自分で思っていた以上に苦しんでいた。
怪我が治らない。
練習ができない。
体調も崩し続ける。
勝ちたい気持ちはあるのに、
頑張ることすらできない。
どんな気持ちで大会に向かっていたのかも
思い出せなくなっていた。
当時、
スラックラインを始めて7年。
世界ランキング1位にもなった。
日本一も何度も獲った。
でも、
その時の私は「勝てる自分」を失っていた。
そして何より苦しかったのは、
「もう誰も私が勝つことなんて望んでいない」
と思い込んでいたことだった。
でも違った。
大会直前になって、
「ゆきみが勝つ姿を見たい」
そう言ってくれる人がいた。
私はその言葉に救われた。
そして、
「勝てるかどうかは分からない。
でも、やることをやろう」
とやっと思えた。
今読み返して思う。
あの頃の私は、
勝てなくなったことが苦しかったんじゃない。
勝てなくなった自分に価値がない
と思っていた。
それが苦しかったんだ。
10年前の投稿を読んでいて、
もう一つ思い出したことがある。
先日亡くなったAndyのことだ。
海外大会に出ていた頃。
私は試合で負けた。
しかも、
自分の中では納得できないこともあった。
悔しかった。
機嫌も悪かった。
今思えば、かなり扱いづらい選手だったと思う。
そんな私にAndyが言った。
「それもSlacklifeだよ。」
その時は正直、意味がよく分からなかった。
競技なんだから勝ちたい。
負けたら悔しい。
そんなの当たり前じゃないかと思っていた。
もちろん競技として考えれば、
悔しさを次に活かすことは大切だ。
でも今なら少し分かる気がする。
Andyが伝えたかったのは、
勝つことだけが人生じゃない
ということだったんじゃないか。
思い通りにならないこと。
失敗すること。
悔しくて機嫌が悪くなること。
遠回りすること。
迷うこと。
立ち止まること。
完璧じゃないこと。
そういう全部を含めて人生なんだと。
それもSlacklifeなんだと。

Andyが亡くなったこのタイミングで、
10年前の投稿を読み返し、
その言葉を思い出したことには
意味がある気がしている。
あれから10年経った。
結婚した。
子どもが生まれた。
競技から離れた時期もあった。
復帰もした。
大会も主催するようになった。
星読みも始めた。
挑戦をサポートする仕事も始めた。
でも面白いことに、
今も私は似たような壁の前に立っている。
今度は競技じゃない。
ビジネスだ。
売上が安定しない。
何を軸にしていくのか迷う。
周りが先に進んで見える。
本当にこの道でいいのか分からなくなる。
そんな時がある。
でも10年前の投稿を読んで気づいた。
私はずっと同じ壁を登っている。
競技の壁。
子育ての壁。
仕事の壁。
お金の壁。
表現の壁。
形は違う。
でも本質はずっと同じだった。
結果が出るから価値があるんじゃない。
勝つから価値があるんじゃない。
うまくいくから価値があるんじゃない。
挑戦するから価値がある。
もっと言うと、
挑戦している人の姿に、人は勇気をもらう。
私は長い間、
世界一になった話に価値があると思っていた。
でも違った。
最近、人から言われる言葉はいつも似ている。
「安心した」
「勇気が出た」
「自分もやってみようと思った」
それは優勝した話をした時じゃない。
失敗した話。
迷った話。
悔しかった話。
泣いた話。
止まった話。
それでも前を向こうとした話。
そんな話をした時に届いている。
私はずっと武勇伝を探していた。
でも本当に人の心を動かしていたのは、
人間伝だった。
最近よく考える。
私は何をしたいんだろう。
何を仕事にしたいんだろう。
何を残したいんだろう。
そんなことを何度も考えてきた。
でも振り返ると、
やっていることは昔から変わっていなかった。
スラックラインを教えること。
大会を主催すること。
星を読むこと。
挑戦について発信すること。
全部バラバラに見えていた。
でも本当は全部同じだった。
私は挑戦する人を増やしたい。
挑戦できる人を増やしたい。
挑戦してもいいと思える人を増やしたい。
挑戦する場所を作りたい。
挑戦する仲間を増やしたい。
だからYUKIMI CUPを続けている。
だから星読みをしている。
だから発信をしている。
全部繋がっていた。
10年前の私は、
「自分らしいスラックライフを探したい」
と書いていた。
10年経った今も、まだ探している途中だ。
でも一つだけ分かったことがある。
結果を失った時、本当の挑戦が始まる。
そしてその挑戦は、誰かの希望になる。
勝った日も。
負けた日も。
迷った日も。
立ち止まった日も。
全部ひっくるめて人生。
全部ひっくるめてSlacklife。
だから私はこれからも、
完璧じゃないまま進んでいこうと思う。
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ゆきみ
