「薬をもらいに」から「会いに」。かかりつけ薬剤師として感じたこと
これまでAIとの向き合い方について書いてきたが、今回は少し違う話をしたいと思う。薬剤師として10年働く中で、印象に残っている患者さんとの関わりについてだ。
毎月、会いに来てくれる夫婦
かかりつけ薬剤師として、ある90代のご夫婦と、もう長い間関わらせていただいている。
最初のきっかけは、薬の管理が難しくなってきた、というご相談だった。
・飲み忘れが増えてきた
・薬の種類が多く、何をいつ飲めばいいか分かりにくい
・気づけば残薬(飲み残した薬)が溜まっている
そこで提案したのが「一包化」だった。複数の薬を、飲むタイミングごとに1つの袋にまとめる方法だ。一包化にしたことで、飲み忘れは目に見えて減った。
一度きりでは終わらない関わり
ただ、一包化を提案して終わり、ではなかった。
その後も、残薬の状況を確認したり、体調の変化に合わせて薬の飲み方を見直したり、継続的なやり取りが続いていった。毎月顔を合わせるうちに、薬の話だけでなく、ちょっとした世間話をする時間も増えていった。
「薬をもらいに」から「会いに」へ
最初の頃、ご夫婦は明らかに「薬をもらうために」薬局に来ていた。それが自然なことだと思う。
でも、関わりを重ねるうちに、だんだんと空気が変わっていくのを感じた。世間話をしながら、「今日も来たよ」と声をかけてくださる。薬のやり取りが目的というより、**顔を見に来てくれている**、そんな瞬間が増えていった。
「薬をもらいに来る」場所から
「私に会いに来る」場所へ
この変化に気づいた時、薬剤師という仕事の意味を、少し違う角度から捉え直せた気がした。
かかりつけ薬剤師という仕事の手応え
薬を正しく届けることは、もちろん薬剤師としての大切な役割だ。でも、それだけでは測れない価値が、この仕事にはあると感じている。
継続的に関わり続けることで、単発の対応では気づけない変化に気づける。そして何より、「この人がいるから安心して薬局に来られる」と思ってもらえること自体が、薬の効果とはまた別の意味で、その人の生活を支えているのではないかと思う。
おわりに
AIとの対話について書いてきたこのnoteだけれど、今回のような、人と人との積み重ねでしか生まれない関わりも、やはり大切にしていきたいと改めて思った。
これからも、目の前の患者さんと、丁寧に向き合っていきたい。
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