⑦【アセスメント】1人のしょうがいしゃヘルパーが、不倫されたけど個別支援計画の要領で家族再生した話
利用者の意向:私と家族が幸せになる。子どもたちの成長をサポートしたい
私の意向を明らかにしたら、次はそれに向けた長期目標の設定だ。
支援者の私は質問した。
「子どもたちが自信をもってやりたいことに挑戦し、成長するために必要なことってなんだと思う?」
私は即答した。
「そりゃ、親に愛されてるって実感をもつことでしょう。育児書にも、ネットにも、一番最初にそう書いてある。」
「確かに。ちなみに親って、母親のあなたのことだけでいい?父親も入る?」
私は固まった。
父親。それは不倫夫のこと。
私は、妻としてまだ夫を許せてない。
でもまだ好きだから歩み寄りたいとは思ってる。
でも、その結果どうなるかはまだ分からない。
今回の件で、私は決めていたことがある。
それは、夫への気持ちに素直になること。
ずっと許せなかったり、このまま熱が冷めたら、私は今後離婚する決断もあると思っていた。何度も言うが、結果はコントロールできないから。
でも、この結果を、子ども視点から見たらどう映るだろうか。
子どもたちは父親が不倫したことを知らない。
私が頼りたかった時に、いなくて辛かったなんて想像できない。
子どもたちにとって父親は、面白くて、優しくて、ちょっと厳しいけど、頼りになる大好きな存在なのだ。
なのに、ひどい母親が父親を切り捨てた、と映るかな。
それは嫌だから、いざとなれば父親が不倫したことを話せばいいか。
いや、私は夫と離婚したら他人になれる。
でも、子どもは?
顔が似てる。歌が上手いところが父親譲り。好き嫌いが多いところも父親譲り。甘えん坊なところも、見通しが甘いところも、それぞれに彼を受け継いでいる。
縁を切っても、消せない事実はそこに有る。
子どもが自分の中に「父親」を実感したとき。もし私が彼を「悪」として切り捨てていたら、子どもはどう感じるだろうか。
「ひどい父親の血をひいた自分」を誇れるはずがない。
そして、母親にいつか欠点のある自分も切り捨てられると怯えるのではないか。
なにより私自身、夫を受け入れられないまま子育てをするのはとても危険だ。
もう一度、私が掲げた意向を読み返す。
【意向:私と家族が幸せになる。子どもたちの成長をサポートしたい】
……。
私にできるのだろうか。
怖気づく私に、支援者の私が微笑んだ。
「思い出して。あなた、仕事で目の前の人を無条件に『受容』する方法を知ってるでしょう。」
そうだ。
ならば、そのために達成すべき長期目標は、これだ。
【長期目標:夫を『個』として尊重できるようになる】
許せなくてもいい。
結果的に、離婚したっていい。
ただ、一人の人間として、彼を尊重できる私になりたい。
私が守りたいのは、夫のプライドではなく、子どもたちの「自分自身のルーツ」への誇りだ。
私が夫を『個』として尊重できていれば――
「たとえお父さんとお母さんが離れても、あなたという存在の素晴らしさは何一つ変わらないんだよ」と、子どもたちに示せるはずだ。
それが、私が出した答えだった。
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この答えに導いてくれた、これまで出会った利用者さんたちに感謝しています。
不適切行動を繰り返してしまう「生きづらさ」を抱えながらも、なお懸命に、尊く生きる姿を見せてくれたあなたたち。
「行動そのものは受け入れられなくても、その存在自体は受け入れることができる」
現場であなたたちと積み重ねてきたこの経験が、私に未来へ進む力をくれました。
次回
短期目標を立てるため、夫に対するドロドロしたモヤモヤを一つずつ洗い出した話
