⑤1人のしょうがいしゃヘルパーが、不倫されたけど個別支援計画の要領で家族再生した話
不倫発覚後も、淡々と毎日は続いていた。
職場に行けば、相変わらず人手不足で現場を守りながらスキマ時間に事務もある。昼休憩も、利用者さんを視野に入れながら弁当をかっ込む。
家に帰れば、相変わらず子どもたちの宿題は終わらず、夕飯を作りながら質問攻めに答える。
感情の波が押し寄せてくるのは、仕事が終わって保育園へ向かう道中と、子どもたちが寝静まった後だった。
日中を全力で駆け抜けているのに、夜になっても眠れない。
頭痛と吐き気が襲う。「ドラマの主人公みたいに、倒れた私のところに救世主が現れれば…」と思う。けれど、皮肉なことにまだ動けるし仕事と育児は終わらない。そもそも救世主になるはずの旦那が不倫反省中なのだ。つまりこの苦境はどこまでも続く。また目眩がする。
「あ、私、いま猛烈に支援が必要なタイミングだ」
頑なに「まだイケる」と踏ん張る「母親の私」に、「ヘルパーの私」が静かに声をかけた。
「ちょっと、話を聞かせて?」
温かいお茶を飲みながら、自分の本心と向き合う。
「私は、どうしたい?」
答えは、すぐに出た。
「私と、大切な家族で幸せに過ごす」
その「大切な家族」に夫を含めるかどうか。それは、ゆっくり決めればいい。
このとき「夫を更生させること」をゴールに据えなかった判断は、今でも自分を誇りに思う。
不倫の再発 = 本人の気質 × 環境
「環境調整」だけで結果を100%コントロールすることなんてできない。そんな不確実なものに、自分の人生すべてを賭けるのはリスクが大きすぎる。
私が彼を好きで、一緒にいたいと思える間は、私の意思で納得できるまで「環境調整」を試みる。ただそれだけだ。そこに夫が付いてくるなら、家族として共に幸せになればいい。
そう整理がついた瞬間、視界にパッと光が差した。
──あ、これ、個別支援計画の方向性が見えてきたときの感覚だ。
支援対象者:私
サービス管理責任者:私
ということは、次にやるべきことは決まっている。
次回:
アセスメント開始。「サレ妻」の私が『家族の幸せ』をゴールに置くまでの覚悟
