少年サッカーコーチ2年目【13】エースの退団


いつかその日が来るんだろうなと漠然と思ってはいた。息子と1番仲が良く、この選手がいたから息子もサッカーを自然と楽しめるようになっていった。そしてその選手の父親であるMコーチも私にとってはとても大きな存在であった。保育園時代からの家族ぐるみの仲でもある。

Mコーチについては以前のこの記事を添付する。


さて、エースの話に戻そう。

この選手は、最初からエースであった。その彼の活躍で試合に勝てた事も何度もある。サッカーだけでなく、パルクール、縄跳び、けん玉も見事な腕前で、とにかく運動神経が良いので何でも出来る。皆が憧れる存在であった。

このチームで6年間一緒に出来たらな、そんな風に思っていた。

しかし、私は薄々
いや、そんなもんじゃない
ヒシヒシと、確実に感じていた




彼がサッカーに夢中な事を。


チームの皆もそれぞれにサッカーが好きなのだろうとは思う。

別に好きじゃなかったけど、今はまぁ好きかな、ぐらいの選手もいるだろうし、サッカーがスポーツの中で1番好きだよ、とは言うものの私がテレビでサッカーを観ていても特に興味を示さない息子のような選手もいるし、サッカーゲームも好き!テレビで試合もよく見る!と言う選手もいる。

いろんな好きがあってどれも良いのだ。

こと、エースの彼についてはその皆のサッカー好きの総量を1人で越す程のものを感じる。


彼のお陰で、息子も一緒に平日のサッカースクールにも通う事になった。息子は週1だが、彼は週2。


しかし、それでも彼にとってはサッカーをする時間が足りないのだ。それぐらい、彼はサッカーに熱中しているし、サッカーを欲していた。


6年間このチームで一緒に出来たらと思っていた私は、ついに、いつしかそれでは駄目なんだろうなと感じるようになった。



教えられる事はまだまだある
これから教えたい事も山ほどある


しかし、それは私の独りよがりである



チームの中心となる選手というのは、自らボールを奪い、運び、相手をかわし、自らゴールする事が出来る。パスを通す事も出来る。チームメイトもその選手にボールを集める。試合中でボールを触る回数も時間も、誰よりも多いのだ。まるで自ら成長する機会を作り出しているかのようだ。自ずと他の選手達との差は縮まるばかりか、寧ろ広がっていく。


そんな彼にも自分ではどうする事も出来ないプレーがある。

それは、

自分がパスを出して、そのパスが自分の意図したように自分に返ってくる、というプレーだ。

残念ながら、今のチームメイトの実力と理解では、例えばワンツーだったり、一度落として開いたところでまたもらう、などのプレーは出来ない


あと1年後、いやこの1年のうちにそういったプレーが出来る選手が2人くらいはこのチームから現れるはずだ。



あと、もう少し




あと、もう少し待ってくれ



しかし、その思いも私の勝手な我儘である。


彼には、早く次の景色を見てもらう必要がある。
そう感じざるを得ないのだ。




家でもサッカー、外でもサッカー、練習でも試合でも、帰ってからもサッカー。ゲームもサッカー。彼は毎日毎日ボールに、サッカーに触れている。


同じ2年生に0-15で負けたあの日、
1番ショックを受けていたのも彼であった


負傷して一時的に交代した後も、いつもの彼なら大丈夫、出たい!と言ってくる。


しかし、あの日


初めて彼から試合に出る気持ちが消えたのを感じた。


それから彼は沢山悩み、考えた。


今のチームは好きだ
友達も一緒だし楽しくて大好きだ


でも、
もっと上手くなりたい。


2年生というまだまだ小さな体で、
彼なりの大きな決断をした。


先日の地域カップ戦を最後に、
Mコーチと共に彼はこのチームを去った。

でも、
ありがとう


息子が今日までサッカーを続けてこられたのも君がいてくれたから


本当にありがとう


これからの君のサッカー人生をとてもとても楽しみにしているよ


いちファンとして。


そしてありがとう、Mコーチ


感謝を込めて。



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