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読書感想文「横浜駅SF」柞刈湯葉|自己増殖を続ける横浜駅

自己増殖を続ける横浜駅


日本は本州の99%が横浜駅になってしまった世界。
JR北日本、JR福岡の2社は各々防衛戦を続けているーー。

設定だけ聞くとかなりトンデモSFだけど、ちゃんと本格SFで面白い。
作者が生物学研究者の経歴を持つこともあってか、開業から100年以上もずっと工事を続け、永遠に完成せず、循環しながら増殖していく横浜駅を、ひとつの生物のように捉える世界観がとても上手い(*‘∀‘)


現実の横浜駅は、絶え間ない再開発と改修工事から
「日本のサグラダ・ファミリア」
なんて言われたりもする。

けれど本作が面白いのは、単に「いつまでも完成しない巨大建築」という発想に留まらないところだと思う。
サグラダ・ファミリアが“いつか完成へ向かう建築物”だとすれば、こちらの横浜駅はむしろ、絶えず増改築を繰り返しながら自己を維持し、拡大していく生命体めいている。

作者が「散逸構造」からアイディアを得たそうだけど、なるほどなあと思う。


秩序を保ちながら拡大し続ける、という発想が今作の異様な説得力になっていた。

巨大構造物・横浜駅が日本を覆い尽くし、エキナカにこそ人の生活がある。

そしてSuicaを持たざる者は人にあらず。
自動改札ロボが人類を監視し、管理するディストピア。

見知った単語がただのパロディではなく、ちゃんと世界観の中で生かされているのが抜群に面白かった。

富士山山頂まで続くエスカレーターや、多層な巨大構造物の描写にもクラクラしちゃう。
ロードムービーものでもあるのに、ずっと横浜駅を移動するカオスさよ( ´∀` )

しかも、荒唐無稽なアイディアの一発ネタでは終わらず、ちゃんとディストピアとしての不気味さもあるのが良かった。
Suicaを持つ者/持たざる者で人間の側が線引きされ、管理されていく世界は、笑えるようで笑えない。
便利なインフラに全面的に依存した先にある怖さ、みたいなものもじわっとあった。


私も自己増殖(?)する積読している本を、春から少しでも崩していこうと思って読み出したら、あまりに面白くて一気読みしてしまいました。
読書って楽しい!!と思える作品でした。(´∀`*)ウフフ

映像化はかなり難しそうだけど、だからこそ観てみたい気もする。
『8番出口』通路だけではないエキナカ編みたいになりそう。

と思ったら漫画化されているんですね。
描写が気になるぅ!


今作の外伝『横浜駅SF 全国編』も読みます💓
明かされていない設定が補われるのかな、と楽しみ!



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