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shoji_nagisa
ひとつの凪 2
ひとつの凪 2
静かな風が、街路灯の明かりを揺らした。
その揺れは、誰かに気づかれるためのものではなく、ただそこにある光が、夜の重みに少しだけ身を任せただけのこと。
足元に落ちる影が、心なしか濃さを変えた。
昼間の喧騒も、誰かの記憶の残滓も、今はもう遠い。ここには、ただ「今、この瞬間の密度」だけが漂っている。
あなたは、手の中にあった小石を、そっと道端の土の上へ置いた。
小石が土に触れたその一瞬だけ、小さな音がしたような気がした。けれど、それは音というよりも、世界と世界が優しく挨拶を交わした、気配に近い。
遠くで、誰かが窓を閉める音が聞こえる。
日常の断片が、ひとつ、またひとつと静寂の中に収まっていく。
もう、何も語らなくていい。
ただ、こうして呼吸をしているだけで、世界は調和を保ち続けている。
