見出し画像

『サブスク、一回も観てないのに解約できない』

『サブスク、一回も観てないのに解約できない』

月末。
クレカの通知。
「¥1,280」
青年は止まる。
……これ何だっけ。
確認する。
動画サブスク。
しかも、
二ヶ月くらい開いてない。
終わってる。
でも解約してない。
なぜか。
理由は分かってる。
“いつか観る気がしてる”から。
人は時々、
使ってるサービスじゃなく、
“未来の理想の自分”へ金を払っている。
「休日に映画とか観る生活」
「ちゃんとドラマ追える余裕」
「文化的な夜」
全部、 まだ来てない。
でも解約すると、
その可能性まで消える気がする。
青年はソファへ座る。
スマホ。
「解約はこちら」。
押せる。
でも押した瞬間、
なんか負けな気がする。
何に?
知らない。
たぶん、
“余裕ある大人になれてない自分”に。
しかもサブスクって、
絶妙に安い。
「まあ、  コンビニ二回分か……」
ここが危険。
人間は、 小さい出費ほど長く引きずる。
青年はアプリを開く。
おすすめ作品。
「あなたへのおすすめ」。
いや、 まず観てない。
でも予告だけちょっと見る。
面白そう。
保存。
閉じる。
結局観ない。
最悪。
でもその時、
ふと思う。
大人になると、
増えていくのは“所有物”じゃない。
「まだこうなれるかもしれない」を、
保留した箱のほうだ。
青年はスマホを伏せる。
解約しない。
今月も。
たぶん来月も。

いいなと思ったら応援しよう!