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『夜の公園、自販機だけ妙に人生へ協力的』

『夜の公園、自販機だけ妙に人生へ協力的』
夜十一時半。
公園。
誰もいない。
ブランコ。
滑り台。
昼間は子どもの声があった場所が、
今は風の音だけになっている。
青年はベンチへ座る。
特に理由はない。
帰る途中、
なんとなく寄った。
そういう夜がある。
街灯は少し暗い。
でも自販機だけ、
やたら明るい。
赤。
青。
白。
深夜の自販機って、
「まだ人類やってます」 みたいな顔で光ってる。
青年は温かいお茶を買う。
ガコン。
取り出し口から湯気。
冬の夜の自販機、
優しさが雑で好きだ。
ベンチへ戻る。
缶を握る。
熱い。
それだけで、 少し人間へ戻る。
遠くで犬が鳴く。
車が通る。
また静かになる。
夜の公園って、
寂しい場所というより、
“感情を置いて帰れる場所” に近い。
青年は空を見る。
星はあまり見えない。
でも暗い。
ちゃんと暗い。
最近、
明るい場所ばかりだった気がする。
スマホ。
仕事。
通知。
会話。
全部、 頭の中へ入り続けてくる。
でも夜の公園だけ、
何も要求してこない。
それがありがたい。
青年はお茶を飲む。
少し冷めてきた。
ベンチから立ち上がる。
帰る。
たぶん明日も普通に来る。
仕事して、
返事して、
疲れる。
でも時々こうやって、
“何も起きない場所”へ寄り道しないと、
人間は静かに擦り減る。

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