51歳のおっさん、ドラクエ40周年のホイミスライムシャンプーが欲しい。転売より、欲しい人に届いてほしい話
結論から言うと、僕はまだ諦めていない。
ドラゴンクエスト40周年コラボの、ホイミスライム仕様シャンプー&トリートメントが欲しいのである。
欲しい。
めちゃくちゃ欲しい。
51歳のおっさんが、風呂場でホイミスライムに見守られながら髪を洗う。
冷静に考えたら、なかなかの光景である。
でも、欲しいものは欲しい。
昭和49年生まれの僕は、バチバチのファミリーコンピュータ世代だ。
誕生日プレゼントで、親に頼み込んで買ってもらったファミコン。あの箱を開けた時の嬉しさは、今でも覚えている。
ベースボール、テニス、ドンキーコング、マリオブラザーズ。そこからスーパーマリオブラザーズへ。
そして、ドラゴンクエストである。
あれはもう、小学生にとって麻薬のようなものだった。
友達の家に集まっては、「はがねのつるぎ買えた?」「メタルスライム倒した?」「その“ふっかつのじゅもん”合ってる?」と大騒ぎ。
今の子どもたちには伝わりにくいかもしれないが、あの頃はセーブデータなんて便利なものはなかった。
ノートに必死で書いた“ふっかつのじゅもん”を一文字でも間違えたら、何十時間もの冒険が消える。
ゲーム機ではなく、鉛筆とノートに人生を預けていた時代である。
そんなドラゴンクエストが40周年。
ロート製薬のキングスライム目薬は、何とか買えた。
目薬一本でテンションが上がる51歳。
我ながら単純である。
そして次々と出てくる40周年コラボ。
吉野家のモンスターフィギュア。
さまざまな企業の商品。
そして今回の、エイトザタラソのホイミスライムシャンプー&トリートメント、さらにボディソープ。


「ホイミ級の潤いチャージ」
この言葉だけで、心が動く。
正直、51歳の髪にはホイミでは少し足りないかもしれない。
ベホイミ。いや、ベホマ級の潤いが必要な日もある。
それでも、ホイミスライムが風呂場にいるだけで、少し疲れが取れそうな気がする。
発売日は7月1日。
しかし、平日だった。
しかも月初。入職者対応もある。
採用・入職の仕事をしている僕が、その日に休むわけにはいかない。
「すみません。本日は入職者対応より、ホイミスライムのシャンプーを優先します」
そんなことを言えるほど、僕は勇者ではない。
ECサイトに張り付く時間もない。仕事を終え、帰り道にスギ薬局、ドン・キホーテなどを回った。
結果。
惨敗。
棚にあるのは、見慣れたシャンプーたち。
ホイミスライムの姿は、どこにもない。
Xを見ても、「買えた!」という喜びの声がある一方で、「17店舗回ってもなかった」という同じ冒険者の嘆きも流れてくる。
分かる。
欲しい人が探して、歩いて、見つからなくて落ち込む。
この時点で、ただのシャンプーではない。
小学生の頃、ゲーム屋さんでドラクエの新作を探した時の感覚が戻ってくる。
「次の店ならあるかもしれん」
「ここになければ、あのドラッグストアへ」
「もう一軒だけ寄って帰ろう」
気が付けば、人はドラッグストアを何軒も回る。
そして、ふと某フリマサイトを見る。
定価を大きく超える価格で並ぶ商品。
6,000円。
10,000円超え。
中には15,000円近いものまである。
いや、シャンプーやで?
毎日使ったら減る、消耗品やで?
もちろん、事情があって手放す人まで一括りに責めるつもりはない。二重に買ってしまった人や、贈る予定が変わった人もいるだろう。
ただ、発売直後に何個も確保して、欲しい人が何軒も店を回っている横で、定価の何倍もの値段を付ける。
それを見ると、やっぱり少し悲しくなる。
本来なら、「ドラクエ40周年や!」「ホイミスライム可愛いな!」「風呂場がスライムだらけになるやん!」と、みんなで楽しめるはずのコラボである。
それが、在庫と相場をにらむゲームになってしまう。
誰かが得をする仕組みより、ちゃんと欲しい人の手に届く仕組みであってほしい。
僕が欲しいのは、プレミア価格のシャンプーではない。
仕事で疲れた日の夜、風呂場に置かれたホイミスライムを見て、
「今日も何とか乗り切ったな」
と思える、あの小さなご褒美である。
だから僕は、定価を大きく超える商品には手を出さない。
買えなかった悔しさよりも、「そこまでして買ったんか、自分」と、あとで自分にツッコミを入れる方が嫌だからだ。
ホイミスライムよ。
どうか、51歳のおっさんの髪と心に、ホイミをかけておくれ。
そして今日も18時。
仕事を終えた僕は、定時というルーラで現実世界へ戻り、ドラッグストアという街を求めて冒険に出る。
目的はただ一つ。
ホイミスライムを、仲間にするためである。

