モカはあまり抜けないのに、ちくわは春と秋にごっそり|犬と猫の抜け毛・換毛期のちがいと、毎日のケア
うちには、愛犬モカ(トイプードル)と、元保護猫のちくわ(キジトラ)がいます。同じ部屋で、同じ空気を吸って暮らしているのに、抜け毛の量がまるで違うことに気づいたのは、いっしょに暮らし始めてしばらく経ってからでした。
モカをブラッシングしても、驚くほど毛が舞いません。抜け毛自体が少ないぶん、代わりに毛はどんどん伸びていくので、定期的にトリミングに連れていくのがわたしの役目です。
一方のちくわは、春と秋になると触れただけでふわっと毛がつきます。ソファにも、洋服にも、気づけば毛だらけ。同じ家にいる二匹なのに、抜け方はまるで正反対なのです。
「うちの子は毛がすごく抜けるのに、よそのお家はそうでもないみたい」という相談は、売り場にいたころもよく受けました。今日は、そんな「なぜこんなに違うのか」を、モカとちくわを例にやさしく整理してみたいと思います。
なぜ毛は抜けるの?|換毛期と毛周期のしくみ
犬や猫の毛には、「毛周期」と呼ばれるサイクルがあります。毛がぐんぐん伸びる時期、伸びが落ち着く時期、そして役目を終えて自然に抜け落ちる時期を、順番に繰り返しているイメージです。
この毛周期が、季節によってまとまって切り替わるタイミングが「換毛期」です。春は冬用の厚い毛から夏用の薄い毛へ、秋は夏用の毛から冬に備えた毛へと生え替わります。だからこそ、春と秋にごっそり抜けるように感じるのですね。
換毛期の抜け方には個体差があり、室内飼いで一年中エアコンの効いた環境にいると、季節の変化がゆるやかになる子もいます。うちのちくわは、それでも毎年しっかり春と秋に抜けるタイプです。
ダブルコートとシングルコート|抜ける子と、あまり抜けない子の違い
犬や猫の毛質は、大きく「ダブルコート」と「シングルコート」に分けて考えるとわかりやすいです。
ダブルコートは、表面のかための毛(オーバーコート)と、その下にあるふわふわの綿毛のような毛(アンダーコート)の二重構造になっている毛質のことです。柴犬やコーギーなどの犬種、そして多くの猫がこのタイプで、換毛期にはこのアンダーコートがまとめて抜け替わります。ちくわの「ごっそり」は、まさにこのアンダーコートの生え替わりなのです。
シングルコートは、このアンダーコートがない(もしくはとても少ない)毛質です。抜け毛は少なめですが、毛が伸び続けるという特徴があります。トイプードルはシングルコートの代表格で、モカが定期的にトリミングに通っているのは、この毛質によるものです。
どちらが優れているという話ではなく、単純に「毛の生え替わり方」の違いです。同じ家にいても、モカとちくわのように毛質そのものが違えば、抜け方が正反対になるのは自然なことなのだと、暮らしてみて実感しました。
ブラッシングが、いちばんの近道|頻度・ブラシの種類・シャンプー前のひと手間
抜け毛と上手につきあう方法は、結局のところブラッシングに尽きると、わたしは思っています。

頻度の目安としては、換毛期は毎日から一日おき、それ以外の時期は週に数回程度が一般的です。抜け毛が気になる時期ほど、こまめにブラッシングしてあげると、部屋に落ちる毛の量もぐっと減ります。
ブラシにはいくつか種類があります。
スリッカーブラシ:細い針金状のピンで、アンダーコートまでしっかりかき出す
ラバーブラシ:ゴム製の突起でマッサージするように抜け毛をキャッチする
コーム:仕上げにもつれをチェックする
うちでは換毛期はスリッカーブラシ、それ以外の時期はラバーブラシで軽く、という使い分けをしています。
元同僚のトリマーから聞いた話では、シャンプー前にひと手間ブラッシングをして毛のもつれをほどいておくと、汚れが落ちやすく、乾かす時間も短くなるそうです。もつれたまま濡らすと、余計にほどけにくくなってしまうのだとか。

犬と猫では、ブラッシングへの慣れ方も違いました。モカは元々人が大好きで、ブラシを見せるとむしろ寄ってくるくらいですが、ちくわは最初、体に触れられること自体を嫌がりました。
無理に長く続けず、数十秒だけ触れて終わる、というところから少しずつ時間を延ばしていったのを覚えています。慎重な子ほど、短い時間からゆっくり慣らしてあげることが大切だと思います。
抜け毛と上手につきあう、暮らしの工夫

ブラッシングだけでは防ぎきれない抜け毛もあります。粘着クリーナーやコロコロを部屋のあちこちに置いておくと、気づいたときにさっと使えて便利です。空気清浄機を回したり、こまめに換気をしたりするのも、抜け毛やほこりがこもりにくくなる工夫のひとつです。
「フードやサプリを変えれば毛づやが良くなりますか」と聞かれることもありますが、これはわたしからは言い切れません。食事が体調全体に影響することはあっても、特定の食材やサプリで毛の抜け方そのものが大きく変わるかどうかは、その子の体質にもよります。毛づやや抜け方が気になるときは、まずかかりつけの動物病院さんに相談してみるのがいちばん確実です。
猫の場合、換毛期はグルーミング(毛づくろい)で普段より多くの毛を飲み込みやすくなります。飲み込んだ毛は自然に排出されることが多いですが、吐く回数がいつもより増えたり、食欲が落ちたりする様子が続くようなら、早めに獣医さんに診てもらうと安心です。

ただの換毛期じゃないかも|気にかけたい抜け方のこと
換毛期の抜け毛は自然な生理現象ですが、なかには注意したい抜け方もあります。
左右対称に毛が薄くなっている
しきりにかゆがる
皮膚が赤くなっている
フケが目立つ
同じ場所をずっと舐め続けている
こうした様子があるときは、換毛期とは違う原因がかくれていることがあります。皮膚のトラブルやアレルギー、ホルモンの病気などが関係している場合もあるためです。
わたしは獣医ではないので、原因を断定することはできません。ただ、「なんとなくいつもと違う」と感じたときは、様子を見すぎずに、早めにかかりつけの動物病院さんに相談することをおすすめします。
まとめ|その子の毛と、長くつきあっていくために
モカとちくわを見ていて思うのは、抜け毛の量やタイミングは、その子のもともとの毛質が土台になっているということです。多く抜ける子も、あまり抜けない子も、それぞれに合ったケアの仕方があります。
換毛期にはブラッシングの頻度を少し増やす。慎重な子には短い時間から慣らす。掃除や換気で暮らしの中の工夫を重ねる。そして、いつもと違う抜け方に気づいたら、動物病院さんに相談する。
その子の毛とゆっくり付き合っていくことも、暮らしを心地よくする準備のひとつだと、わたしは思っています。あなたの犬や猫は、どちらのタイプでしょうか。
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ハルカ|元ペットショップ店員
かつてペットショップで犬猫の売り場を担当していた元スタッフ。いまは愛犬モカ(トイプードル)と、元保護猫のちくわと暮らしています。
犬と猫との毎日の楽しさや、暮らしの小さな工夫を綴っています。ときどき、使ってよかった道具の話も。あなたとその子の毎日が、少し心地よくなりますように。
