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インディアンジュエリーが好きな理由|お気に入りの3本と、部族とシルバースミスの話

工業製品にはない温かみがある。

均一に整った量産品とは違う、手の跡が残る不揃いさ。そしてそこに、民族の歴史と信仰が乗っている重み。インディアンジュエリーに惹かれるのは、たぶんその二つが理由です。

ただ、誤解しないでほしいのですが、全身をインディアンジュエリーで染め上げるのは好きじゃありません。私はネイティブアメリカンじゃない。リスペクトはあっても、なりきるつもりはない。あくまで自分のスタイルの中に、一点か二点、効かせる形で取り入れています。


そもそもインディアンジュエリーとは何か

インディアンジュエリーは装飾品であると同時に、文化や信仰を映し出す表現でもあります。

アメリカには「Indian Arts and Crafts Act」という法律があります。1990年に制定された連邦法で、ネイティブアメリカンの部族に登録された人物、または認定された職人が作ったものでなければ、「インディアンジュエリー」「ネイティブアメリカン製」と称して販売することはできません。違反すれば罰金や懲役の対象になる、れっきとした法律です。

つまりインディアンジュエリーとは、デザインの話ではなく、誰が作ったかという出自の話なんです。

ここで触れておきたいのが、日本でカルト的な人気を誇るGoro’s。実はGoro’sは正確には法律上のインディアンジュエリーではありません。創業者である高橋吾郎氏がインディアンジュエリーの文化に深い敬意を払いながら、日本人の手で作り上げた「ネイティブアメリカン風アクセサリー」です。本場の文化への敬意から生まれた、独自の表現として確立されたものだと理解しています。
※日本国内ではアメリカの法律は適用外です。


ブランドではなく、作家名義で売られる文化


インディアンジュエリーのもう一つの特徴は、メーカーやブランド名ではなく、作った職人個人の名前(ホールマーク)で取引されることです。

工業製品は「どのメーカーか」で語られますが、インディアンジュエリーは「誰が作ったか」で語られる。これは美容師という仕事をしている自分にとって、妙にしっくりくる感覚でもあります。


部族によって違う、技法とデザイン

部族ごとに育まれた文化や歴史の違いが、ジュエリーの技法やデザインにも色濃く表れています。

代表的な部族をいくつか挙げます。

ナバホ族 ── アメリカ最大のネイティブアメリカン部族。スタンプワーク(金属にスタンプを打ち込み模様を表現する技法)を得意とし、ターコイズを大胆に使った力強いデザインが特徴です。

ズニ族 ── インレイ(石をはめ込む技法)とニードルポイント(針先のように細かくカットした石を集める技法)を得意とし、カラフルで繊細な仕上がりが特徴です。

ホピ族 ── オーバーレイ技法(銀板を2枚重ね、上の板を切り抜いて模様を作る技法)が代表的。切り絵のような陰影のあるデザインが多いです。

サントドミンゴ族(キワ族) ── ヒシビーズ(貝や石を円盤状に削って繋いだビーズ)を得意とし、ネックレスやヒシ細工で知られています。


MY FAVORITE|お気に入りの3本

私が毎日付けているお気に入りの3本はこれです。

01. トム・ホーク(ナバホ族)|オーバーレイ3ラインバングル

オーバーレイ技法による、シンプルで重厚な3本ライン。シルバーとブラックのコントラストがモードにも寄る。

トム・ホークは、日本でのインディアンジュエリー認知に大きな役割を果たしたナバホ族アーティストの一人です。オーバーレイ技法による深く美しい直線が特徴で、シンプルながら重厚な仕上がりが持ち味。インディアンジュエリーらしい力強さがありながら、モードな服にも馴染んでくれる懐の広さが好きです。

02. ブルース・モーガン(ナバホ族)|スタンプワークバングル

細かなスタンプワークが連続するナバホの伝統技法。光の当たり方で陰影が変わる。

ブルース・モーガンはスタンプワークを得意とするナバホ族のアーティスト。幅細のラインに刻まれた幾何学模様は、見れば見るほど職人の手仕事だとわかる繊細さがあります。

03. サントドミンゴ族|ヒシネックレス

貝やホーン石等で作られたヒシビーズネックレス。ターコイズのトップを合わせています。

サントドミンゴ族の伝統的なヒシビーズに、ナンバーエイト鉱山産のターコイズをあしらったトップを組み合わせています。実はこのトップ部分、厳密にはインディアンジュエリーではなくメキシカンジュエリー。ヒシビーズ部分とトップの出自が違う、いわばミックスの一本です。


組み合わせ方の好み|モダンに着崩す

自分はメキシカンジュエリーや、Tiffanyなどその他のシルバーアクセサリーと組み合わせて使うので、わりとモダンなデザインのインディアンジュエリーを選んでいます。伝統的なターコイズ大盛りのスタイルよりも、ラインや陰影で見せるシンプルなデザインの方が、自分の他のアイテムと喧嘩しない。


推し活としてのインディアンジュエリー|アーティストを追いかける楽しみ

好みのデザインを作るアーティストを見つけて、その作家の作品を揃えていくのも楽しい遊び方だと思います。これも立派な推し活です。トム・ホークやブルース・モーガンのように、自分の「好き」を体現してくれる作家を見つけたら、その人の手仕事を追いかけてみる。インディアンジュエリーの楽しみ方は、案外そういうところにもあります。


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