昼花火
ドーン
それはいつも突然に
夕立で駆け込んだ軒下
先客はすでに居て
元気よく飛び込んだ私に
隙間をくれる
「いきなりでしたね」
「本当びっくりです」
交わした会話はその程度
一瞬の夕立
軒下から出ようと
振り返った先に映ったものは
びしょ濡れの右肩
お礼を言おうと話す前に
「じゃあ」と
彼は去って行った
ドーン
もう一度会いたい
もう一度会いたい
ただそれだけで私は
帰り道を変え
帰る時間を変え
そして
夏はもう一度だけ
私に微笑んだ
出会った先に見えたのは
首輪のついた犬
その隣で笑う
知らない女性
夏のイジワル
夕立のイタズラ
誰も知らない
私だけが見た
恋花火
