なぜ橋本に宿とカフェをつくるのか
「どうして橋本で宿とカフェを始めるのですか?」
そんな質問をいただくことがあります。
実は、最初から橋本で宿をしたいと考えていたわけではありません。
私がずっと思い描いていたのは、宿ではなく、一軒のカフェでした。
季節のごはんを味わい、温かいお茶を飲みながら、心に少し余白が生まれる。
一人でも、誰かとでも、気負わずに過ごせる。
「また来たい」と自然に思える。
そんなカフェをつくることが、私の長年の夢でした。
私は隣町の五條市で育ち、小さい頃から橋本には買い物や食事によく訪れていました。
橋本は、暮らしの延長線上にある、身近で親しみのあるまちです。
だからこそ、この橋本駅前とのご縁をいただいたとき、「ここで挑戦してみたい」という気持ちが自然と湧いてきました。
橋本駅は、大阪から高野山へ向かう玄関口。
高野街道と大和街道が交わり、紀の川の舟運でも栄え、多くの旅人が行き交った宿場町です。
人が出会い、食事をし、休み、また旅立っていく。
橋本は、そんな交流の拠点として栄えてきました。
その歴史を知ったとき、
今の時代にもそんな場所があったら良いなと思ったのです。
もちろん、昔と同じ宿場町ではありません。
旅人だけでなく、地域の方もふらりと立ち寄れるカフェがあり、
一人でゆっくり過ごす人もいれば、誰かと食卓を囲む人もいる。
味噌作り柿の葉寿司や、梅・柿など地域の手仕事、
伝統工芸の組子やヨガなどを気軽に体験できる場所がある。
旅の疲れを癒したり、高野山参りの前夜に心を整えたり、時にはひとりの時間を味わえる宿がある。
そんな場所を、この橋本駅前につくれたらと思うようになりました。
「昔のように駅前がまた賑わったらいいのに。」
そんな声を、何度も耳にしてきました。
ふらりと季節のごはんを楽しみに来る人。
旅の途中で一泊し、この土地をゆっくり味わう人。
地域の方と旅人が、自然に同じ空間で時間を過ごしている。
そんな日常が、この橋本駅前に少しずつ増えていったら嬉しい。
そしていつか、
橋本が、かつて宿場町として人が行き交ったように、
「現代版の宿場町」として、人が集い、新しい出会いや文化が育まれるまちになってほしい。
ことほぐは、その景色をつくる一つの存在になれたらと思っているのです。
おわり
