ASDの基本から最新情報!実はコミュ力高い?ダブルエンパシー問題、擬態、バーンアウトについて
たくさんのフォローありがとうございます。
フォロワーの中には発達障害にあまり詳しくない人もいるため、三回に分けて基本から最新情報をまとめたガイド記事を書きます。
一回目はASDについて記事にします。
そもそも発達障害ってなに?
発達障害とは、生まれつきの脳の働き方の違いによって、コミュニケーション、注意の向け方、読み書き、感覚の受け取り方などに特徴が出る状態です。
子どものころから特性はありますが、必ず幼少期に診断されるとは限りません。
発達障害には、ASD、ADHD、SLD(限局性学習症/LD)、DCDなどがあります。複数の特性をあわせ持つ人も少なくありません。
今回はASDについて、基本的な特徴を整理します。
また、カモフラージュや自閉症バーンアウト、ダブルエンパシー問題など、近年注目されている考え方も紹介します。
※発達障害は「神経発達症」という表記もありますが、医学的文脈で使われます。専門的・配慮的に見せたい場合によく使われます。
「発達障害」は法律名や行政文書などで使われており、それ自体が差別的な表現というわけではありません。
※積極奇異型ASDの曲です。固定記事に載せてるやつの別バージョンです。
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ASD(自閉スペクトラム症) ってなに?
ASDとは、「社会的コミュニケーションの困難さ」 や「特定のパターンへの強いこだわり」「感覚のかたより(過敏や鈍麻) 」 などを特徴とする発達障害の一つです。
ASDによる対人トラブルは、本人の性格の悪さや努力不足、親の育て方だけで説明できるものではありません。
環境や経験によって困りごとの出方は変わりますが、背景には生まれつきの特性があります。
統計上、ASDは男性が多い
日本における調査では、ASD特性を持つ子どもは100人中およそ3人と報告されています。男女比は、女性1人に対して男性が2〜4人ほどとされ、男性に多い傾向があります。
女性のASDは見逃されやすいことがある
近年では、女性のASD当事者が周囲に適応しようと特性を隠す「カモフラージュ(マスキング) 」 を行う傾向が指摘されています。(後述)
大人になってからうつ状態や不安、摂食障害といった二次障害を抱えて初めてASDが発覚するケースがあります。
女性のASDでは、アイドル、ファッション、読書、創作活動、人間関係の観察などに強い関心を持つ場合があります。
こうしたこだわりは周囲から「普通の趣味」と見られやすく、ASDの特性として気づかれにくいことがあります
ASDは、長いあいだ男児・男性の事例を中心に研究されてきました。そのため、「ASDらしさ」のイメージが男性寄りになり、女性のASDが見逃されやすい問題があります。
Q.二次障害ってなに?
二次障害とは、発達障害そのものではなく、周囲に理解されない経験や無理な適応が重なって起こる、うつ、不安、不眠などの二次的な不調を指す言葉です。
厳密な診断分類ではありませんが、支援の場では、これらを二次障害と呼び、発達障害は一次障害として分けて考えます。

ASDの原因
ASDの原因を考えるうえで、研究されているテーマの一つに「シナプス刈り込み」があります。
これは、成長の過程で必要な神経のつながりを残し、あまり使われないつながりを整理する仕組みです。
ただし、ASDの原因をこの仕組みだけで説明できるわけではありません。遺伝的な要因を含め、さまざまな要因が複雑に絡み合った生まれつきの脳機能の特性であることがわかっています。
ASDは情報の受け取り方や処理の仕方に、定型発達とは異なる特徴が見られる状態です。
Q. なぜ「健常者」じゃなくて「定型発達」という言葉を使うの?
A. 「健常者」という言葉は、日常的にも行政的にも使われます。
ただ、発達障害の文脈では、次のような印象を与える場合があります。
健常者 = 正常な人
発達障害のある人 = 健常ではない人
この対比になると、発達障害を異常、欠陥のように受け取らせるおそれがあります。
成人の当事者や支援者の間では、「定型発達」のほうが脳や発達のパターンの違いを説明しやすく、中立的な表現です。
「スペクトラム」 という考え方
ASDの「S」は「スペクトラム(Spectrum)」を意味します。
スペクトラムとは、虹の色のようにはっきりした境目なく連続している状態のことです。
ASDの特性も、「ここからが障害、ここからが健常」と明確に線を引けるものではありません。実際の診断では、生活上の困難や支援の必要性も含めて判断されます。
同じASDの診断を受けていても、 言葉の遅れや知的障害を伴う人から、 知能が非常に高く専門分野で活躍する人まで、特性の現れ方は千差万別です。
必要な支援内容は個人差があります。
以前は、自閉症、アスペルガー症候群、特定不能の広汎性発達障害などに分けて診断されていました。
現在は、これらをはっきり分けるのではなく、ASDに統一されました。
社会的コミュニケーションの特性
ASDには、視線が合いにくい、暗黙の了解を読み取りにくい、言葉を文字通りに受け取りやすいといった特徴があります。
ただし、外から見える行動だけでは、本人の中で起きている負担はわかりません。たとえば、次のように感じる人もいます。
「空気が読めないというより、表情、声のトーン、身振り、文脈など、読み取る情報が多すぎて処理が追いつかない」
「適当にやっておいて」と言われると、正解の範囲が広すぎて、どう動けばよいのかわからなくなる」
ASDの人にとって、定型発達者との会話は「ルールが見えないゲーム」のように感じられることがあります。
限定的‧反復的な行動パターン(こだわり)
「特定の物事に強い執着を示す」「手順や道順にこだわる」「予定の変更に激しく動揺する」。
これらは「こだわり」という言葉で片付けられがちです。
強いこだわりは生活や人間関係に支障が出る場合があります。
ただし当事者にとっては、見通しの立たない状況への不安を減らすための行動でもあります。
ASDのある人は、予測できない変化に対応するのが苦手な場合があるため、決まった手順やルーティンによって安心感を保とうとします。
感覚の特異性(過敏‧ 鈍麻)
個人差はありますが、感覚過敏の例は次の通りです。
・聴覚
冷蔵庫のモーター音や隣の人のタイピング音が、同じ大きさで耳に入ってくる。雑踏では、目の前の人の声だけを聞き取れない。
・視覚
蛍光灯のちらつきが気になって目が痛くなる。スーパーの陳列棚の色や情報量が多すぎて、疲れてしまう。
・触覚
服のタグや縫い目が強い刺激に感じられる。突然肩を叩かれると、強い驚きや不快感につながる。
・嗅覚
柔軟剤や香水の匂いを強く感じ、吐き気や頭痛につながる場合がある。
ASDでは、感覚過敏と感覚鈍麻が同時に見られることがあります。これは、単に「感覚が強い・弱い」という話ではありません。
音には敏感でも、痛みや空腹には気づきにくいなど、感覚の種類によって反応の出方が変わる場合があります。
普段は平気な音でも、疲れている日はつらく感じる。
空腹に気づきにくいのに、特定の匂いには強く反応する。
痛みに鈍い一方で、服の肌触りには耐えられない。
「感じすぎる」と「感じにくい」が一人の中に同居する場合があります。これが、ASDで見られる感覚特性の一つです。
カモフラージュ(マスキング) の正体

カモフラージュとは、ASD当事者が周囲に合わせるために、自分の特性を抑えたり、定型発達者に近い振る舞いを意識したりすることです。
「相手の目を見るように意識して会話する」「興味のない雑談にあいづちを打つ」「感覚過敏を我慢して笑顔を作る」 などが該当します。
周囲に合わせ続けることで強い疲労感、不安、抑うつ、「本当の自分を見失う感覚」が生じる人もいます。
場合によっては、希死念慮などの深刻なメンタル不調につながると指摘されています。
カモフラージュは、周囲に合わせて自分を演じ続けるような行為です。
外では何とか振る舞えていても、帰宅した途端に動けなくなるほど消耗してしまう人もいます。
自閉症バーンアウト
長期間のカモフラージュや、合わない環境での感覚的・認知的ストレスが続くと、限界を超えることがあります。
その結果、「自閉症バーンアウト」と呼ばれる状態に陥る場合があります。
自閉症バーンアウトは正式な診断名ではありませんが、当事者や研究者の間で使われている概念です。
一般的な「燃え尽き」に近い面がありますが、ASD特有の感覚刺激やカモフラージュの負担が関係する点に特徴があります。
◆自閉症バーンアウト|チェックリスト
☑ 慢性的な疲労感(睡眠を十分とっても回復しない)
☑ 今までできていたこと(家事、仕事、会話)が急にできなく なる(スキルの喪失)
☑ 言葉が出てこない、 または言葉を理解するのに時間がかかる。
☑ 感情のコントロールがきかなくなり、 些細なことでメルトダウン(強い混乱や爆発的な反応)を起こす
☑ 他人との接触を極端に避けたくなる(社会的引きこもり)
☑ これまで楽しめた趣味やこだわりへの興味を失う
☑ 身支度や入浴など、基本的なセルフケアが困難になる
☑ 身体症状(頭痛、胃痛、めまい) が頻発する
☑ 自分が誰なのかわからない
自閉症バーンアウトは、うつ病と似た症状が見られる場合があります。
また、うつ病を併発することもあるため、自己判断だけで区別するのは難しいです。
自閉症バーンアウトから回復するには、刺激や人間関係の負担を調整し、無理に周囲へ合わせ続けない時間を確保することが大切です。
回復には時間がかかる場合もあるため、「早く元に戻る」よりも、安心して過ごせる環境を整える視点が必要です。
Q.メルトダウンってなに?
A.メルトダウンとは、自閉症バーンアウトとは別に、強いストレスや感覚刺激によって処理能力の限界を超え、感情や行動のコントロールが難しくなる状態です。
怒っているように見えることもありますが、本人がわざと怒っているわけではありません。
周囲からは些細なきっかけに見えても、本人の中では不安や刺激が積み重なり、限界を超えている場合があります。
子どもで目立ちやすいものの、大人にも起こります。外では何とか我慢していても、安心できる家に帰った途端、感情があふれてしまう人もいます。
反対に、話せなくなる、動けなくなる、反応できなくなるなど、内側に閉じこもるような反応は「シャットダウン」と呼ばれます。
どちらも本人のわがままではなく、過負荷に対する反応として理解することが大切です。
ダブルエンパシー問題
ダブルエンパシー問題とは、ASDの人と定型発達者のコミュニケーションの難しさを、双方の感じ方・考え方の違いから生じる「すれ違い」として捉える考え方です。
従来は、「ASDの人は他者の気持ちを考える共感性が弱い」と見られることがありました。
しかしASD当事者から見ると、定型発達者のコミュニケーションも、表情、声のトーン、場の空気など、言葉以外の情報に大きく頼っていて読み取りにくい場合があります。
研究では、ASDの人同士のほうが、定型発達者とのやり取りよりもスムーズに意思疎通できるケースも示されています。
つまり、問題はASDの人だけにあるのではなく、異なるタイプの人同士が出会ったときに起こる相互理解のズレとして見直されているのです。
ダブルエンパシー問題の考え方は、ASDの人だけに努力を求める支援を見直すきっかけになりました。
ASDに一方的に適応を求めるのではなく、周囲も伝え方を改善する
暗黙の了解に頼らず、言語化する
感覚過敏や疲労を理解する
「空気を読む」より見える化する
ダブルエンパシー問題が画期的だった理由は、「人は違えば誤解が生じる」という当たり前を、ASD研究と支援の中心に持ち込んだことです。
しかし正確に言えば、ASDの困難をすべて社会側の誤解だけで説明するのは不十分です。
ASDの人の中には、実際に言外の意図の理解、感情の読み取り、会話の切り替え、相手視点の推測に困難を感じる人もいます。
以下の理解がより正確です。
ASDの人には、社会的コミュニケーションの困難が見られる場合があります。ただし、その困難は本人の欠陥だけで起こるものではありません。
ASDの人と定型発達者の感じ方・考え方・伝え方の違いによって、相互理解のズレが大きくなる場合があります。
※久しぶりにYouTube動画を作りました。今回のnoteの内容をキャラに好き勝手喋らせてます!微妙に内容が違います。よかったら見て下さい。
まとめ
ASDの人は、多数派向けに設計された社会の中で、少数派のOSを持って生活しているようなものです。
当事者にとって本当に必要なのは、 無理に定型発達者にカモフラージュすることではなく、自分の取扱説明書 を作り、環境を調整していく ことです。
ダブルエンパシー問題が示すように、コミュニケーションのすれ違いはあなただけの責任ではありません。
※ASDの可能性や強い不調が気になる場合は、精神科、心療内科、発達障害者支援センターなどに相談してください。
参考文献‧ 出典
・アメリカ精神医学会 (2013). DSM-5 精神疾患の診断‧ 統計マニュアル
・Centers for Disease Control and Prevention (CDC). "Autism Spectrum Disorder (ASD)"
・Hull, L., et al. (2020). "Development and Validation of the Camouflaging Autistic Traits Questionnaire (CAT-Q)"
・Milton, D. (2012). "On the ontological status of autism: the 'double empathy problem'"
・Raymaker, D. M., et al. (2020). ""Having All of Your Internal Resources Exhausted Beyond Measure and Being Left with No Clean-Up Crew": Defining Autistic Burnout
