背中が仕事につながった日
みなさんこんにちは、浮雲です。
今日は広告ポスターの撮影でした。
私の役割は、「背中モデル」でした。
私の背中越しにメインのモデルさんが見える、という構図です。
見る側に視点の共有や没入感を与える演出テクニックなのだそうです。
手のパーツモデル、いわゆる「手タレ」は知っていましたが、背中バージョンがあるとは思いませんでした。
キャスティング担当の方から聞いたのですが、最終候補に2人残っていて、どちらにするか最後まで迷ったそうです。
そして最終的に、「えいやっ」と私の背中を選んでくれたとのことでした。
事務所登録の時には、正面、横、後ろ姿の写真を撮ります。
後ろ姿の写真なんて何に使うんだろうと思っていましたが、まさかこういう形で生きてくるとは。
「どうせ背中しか映らないし、楽だろう」と思っていました。
ところが、これが意外と難しかったのです。
どうやら私の背中が緊張で固まっていたらしく、監督から、
「背中で演技して」
と言われました。
最初は冗談かと思いましたが、本気でした。
演出の方から、
「思いっきり肩を上げて、一気に力を抜いて下げて、そのままキープしてみてください」
とアドバイスをいただき、その通りにやったところ、だいぶ自然になったようです。
対面にはメインの女性モデルさんがいるのですが、その方が自然にいい表情を出せるように、こちらも話しかけたりリアクションしたりする必要があります。
以前、死体役をやった時も、「死体役って奥が深いな」と思いましたが、背中で演技する世界も奥深いです。検索してみたら、背中で演技は、演技の中でも最高難度だそうです。
ちなみに今回は、背中出演とはいえ「キャスト扱い」でした。
撮影現場では、エキストラとキャストの扱いは段違い違いです。
控室は他のキャストさんと一緒で、ロケ弁も一緒に食べられました。
撮影現場に入る時には、
「浮雲さん、入りまーす!」
と迎えられます。
帰る時も、
「浮雲さん、お帰りです!」
と声がかかり、監督やスタッフの方々が見送ってくれます。
私は好きでやっているので扱いが雑でも気になりませんが、この扱いの差に屈辱を感じて、趣味として一度やってみたものの二度とやらないという方もいましたし、エキストラはやらないと決めている俳優志望の方もいました。
メインのモデルさんは、独身時代は俳優をされていたそうです。
ただ、お子さんが生まれた後は、ドラマや映画の長期間拘束が難しくなり、現在は数日で終わる広告系の仕事を中心に復帰しているとのことでした。
それぞれの人生や事情があるのだなと思いました。
それにしても、背中が仕事につながる日が来るとはびっくりな1日でした。
※作品や人物の特定を避けるため一部設定や描写を変更している箇所があります。
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