【家づくりノウハウ】アトリエ建築家が導き出した「窓の選び方」とディテールの作法
現代の家づくりにおいて、切っても切り離せない問題。それは「サッシ(窓)の素材」をめぐる論争です。
「アルミサッシは時代遅れだ」 「樹脂サッシのトリプルガラスを採用すべきだ」 「窓の断熱性能(UA値)が家の価値を決める」
こうした樹脂サッシを推奨する極端な情報がネット上に溢れ、多くのお施主様が「数値」に縛られているように感じます。確かに、家を一つの魔法瓶として見れば、その意見は一部正しいのかもしれません。
しかし、私たち建築家は、家をただの魔法瓶だとは考えていません。 家とは、四季の移ろいを眺め、光を取り込み、美しい風景を切り取るための「額縁」を内包した空間です。そして、断熱性だけでなく、耐久性や意匠性など様々な要素を総合的に考慮して部材を決定しています。
カタログの数値をコンマ1上げるために、窓枠が太くなり、視界が遮られ、外観のプロポーションが崩れてしまう。あるいは、素材の選定によって建物の長期的な耐久性を下げてしまう……それは本末転倒ではないでしょうか。
本稿では、アトリエ設計事務所を主宰する建築士の視点から、ネットの情報だけでは見えにくい「サッシ素材ごとのフラットなメリット・デメリット」、空間を整える「窓の形状と適材適所」、さらには「網戸の現実的な扱い方」まで、実務に基づく設計の裏側を解説します。
第1章:素材の真実。なぜ「樹脂オンリー」に慎重になるのか
現在、住宅用のサッシは大きく分けて「アルミ」「樹脂」「アルミ樹脂複合」、そして「木製」が存在します。それぞれの特性を、現場の視点から紐解いていきます。
1-1. 【アルミサッシ】高い耐久性と、結露という明確な弱点
ひと昔前まで日本の住宅のスタンダードだったのが、総アルミサッシです。 アルミの最大のメリットは「耐久性」と「強度の高さ」です。金属のため、雨風や紫外線に長期間晒されても、劣化してボロボロになることはほぼありません。また、強度があるため窓の枠(フレーム)を細くシャープに作ることができ、建築家が好む「美しい意匠性」を持っています。
しかし、現代の住宅事情においては明確な弱点があります。それは「熱伝導率の高さ」です。 アルミは熱を伝えやすいため、冬場は外の冷気を室内に引き込み、窓枠に結露を発生させます。この結露によるカビやダニが、家の寿命と健康に影響を及ぼします。そのため、現在の新築において居住空間に総アルミサッシを採用することは、特別な意図がない限り現実的ではありません。
※マンションリノベにおける注意点 実際、私が手がけた古いマンションのリノベーションで、当初「費用削減のためにアルミサッシのままでよい」というご要望があり、そのまま引き渡したケースがありました。しかし、やはり冬場の結露が問題となり、数ヶ月後に二重サッシ(内窓)を追加する工事を行いました。 マンションの窓は基本的に「共有部」と認定されるため、サッシ自体の取り換えができません。そのため、マンションリノベをする方は、今は二重サッシを計画していなかったとしても、「将来、追加したくなった時に対応できる『ふところ(寸法的な余白)』を設けて計画すること」をお勧めします(私が設計する場合は、必ず後付けできるよう計画します)。
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