リアタイ祭り『侍タイムスリッパ―』
昨晩は侍タイムスリッパ―地上波初放送のリアタイ祭りでした!
いやあ、熱かった!!
安田淳一監督はじめ、若かりし山形彦九郎を演じた庄野崎謙さんがタイムリーなコメントや楽しいツッコミをされ、もちろん視聴者もシーンごとに熱いコメントを呟かれていました。
福島観光物産交流協会や、相馬野馬追執行委員会も郷土愛に満ちたコメントを呟き、そして金曜ロードショー公式Xは胸熱なバックストーリーを次から次へとアップしていました。
そして新さんに「磐梯山の雪のような」塩むすびや、「日の本は良い国になったのですな」と号泣させたイチゴのショートケーキや毎日の美味しいごはん、ビールをふるまい、異邦人の新さんに最初に居場所を作ってあげた節子さん(住職の妻:紅萬子さん)が、膨大なリアタイコメントに朝までイイネ!をして「人差し指がまがらん!」と呟かれていました。愛おしすぎます!
一人で観ていたけど、この映画に携わった監督、役者さん、そしてこの映画を愛する視聴者の方々と一緒に観ていたみたいでした。
Xを始めて良かった…
いやあ、塩むすび、三食だんご、コーラ、そしてショートケーキを用意して視聴されていた方のなんと多いこと!(笑)
なんと安田淳一監督ご自身も、おぼんに載ったコーラ、ケーキ、塩むすび、そして三食だんごの写真をアップされ、誰よりもワクワクしながら放映を待っておられたようです。
今回の金曜ロードショーでの放映は、35分拡大枠だったそうです。
それでも時間枠に収めるためにカットせざるを得なかったそうですが、
今回放映はディレクターズカット版、と言えばいいかな?監督ご自身がカットする場所を決め再編集をした、金曜ロードショー特別版たそうです。
愛していた故郷や懐かしい人々の過酷な運命を知り、守るべきものをとうに失い、何もできず帰ることもできない新さんの苦悩。
そして最後の侍としてケジメをつけるために本物の刀を使った勝負に挑むことを決め、敬愛する殺陣の師匠に破門して欲しいと申し出るシーン、など、クライマックスに至るこまやかなストーリーがカットされていたのは残念ですが、しかし、あれはなかなかに苦しいシーンなので、さらりと流したのは良かったのかもしれません。
より広く、それこそ子供たちにも観てもらえる内容にしたのだろう、と思いました。
ノーカット版とあえてトーンを変えることで、確かにどちらも楽しめるな、と思います。しかも金曜ロードショー特別版であると知った後は、録画していてよかったなあ、と思いました。
しかし!ノーカット版の見どころといえば、安田無双エンドロールです!
「スタッフ」の後に、出てくる出てくる「安田淳一」のオンパレード!
原作/脚本、撮影、照明、編集/VFX、整音、現代衣装、車両、制作、ポスター/チラシ・デザインそして特報/予告編/テレビCM編集!
安田淳一監督のお名前が出てくる出てくる(笑)
助監督役の美しき「ゆうこ殿」を演じられた沙倉ゆうのさんは、映画さながら、俳優さんたちのスケジュール調整、お弁当発注、手ずから小道具制作など、現場で裏方として奮闘されていたそうです。
エンドロールでは、小道具、制作の後にお名前が!
もうね、ノーカット版も見るしかないですね。そしてエンドロール必見です。なんなら、映画館で最初から観たいですね。
バックストーリーに泣く
Xで流れてきて初めて知ったバックストーリー的エピソードが、そりゃもう胸熱でした。
金曜ロードショー公式Xアカウントのキャラクター、アンクくんが、映画と同時進行で、宝石みたいなエピソードをあふれるように語ってくれるのです。アンクくん、マル秘ストーリーの引き出しがすごいぞ!
カリオストロの城の時も熱かったけど、今回の侍タイムスリッパ―はさらにぐっとくる話ばかり。以下、いくつかここに紹介させて下さい。
福本清三さんへの愛
殺陣師の関本先生、カッコよかったですね。
ピンと伸びた背筋。剣筋がみえるような大きくきれいな動き。
新さんに対する殺陣の指導では、切られ役なのに思わず先生を切ってしまう新さんに、「ぐあー」やられたー、とか「な、なんでやねん」とかいってバタリ、と倒れて見せたり。
切られ役魂とはこういうものである!と見せつつ、コントのようなキュートなやりとりが最高でした。
安田監督は、関本先生役を、数々のドラマや映画に出演されてきた伝説の切られ役、福本清三さんにお願いするつもりだったようです。
しかし願いむなしく福本清三さんは2021年に他界された。
福本清三さんに代わり、殺陣師役として白羽の矢が立ったのは、福本さんの後輩の峰 蘭太郎さん。芸能生活60周年を迎えた俳優であり、伝説の殺陣師です。
「福本先生の代役なら、どんな役でも引き受けます」と、出演を快諾した後、福本さんの墓前にて「先生の代役をつとめさせて頂きます」と報告されたそうです。
今回の撮影では、太秦撮影所の衣装部が、新さんが切られ役として演じるシーンで、福本清三さんの衣装を、用意してくれたそうです。
そして、その衣装を着て、福本さんが考案されたという、時代劇切られ役の定番、「エビ反り」を新さんが演じていました。
福本清三さん、そして時代劇への愛がつまったシーンです。
太秦撮影所の心意気もぐっときますね。
安本監督がXでコメントされていましたが、関本先生を演ずる峰 蘭太郎さんが着用されていた袴にも、福本さんの名前があったそうです(もう、泣く)
白いおにぎり
故郷に帰れず彷徨い、切腹しようとして死ねず、木の下で倒れていた新さんを助けた寺の住職と奥さんの節子さん。
差し出しされた真っ白いおにぎりを大切そうに持ち上げる新さん。
「まるで磐梯山に積もる雪のような美しさでござる。食べるのがもったいのうございます」そしてパクリ。
「食べるんかいな」の節子さんのツッコミまで含め、名シーンです。
そして、この時のおにぎりは、安田淳一監督が、ご実家でお父様と一緒に作ったお米から作られたそうです。
それを知った山口馬木也さんが、アドリブであのセリフを加えました。
そりゃあ、ぐっときますよね。
真剣の決闘シーン
睨みあい、なかなか刀を抜かない最後の侍2人。
このシーンは、黒沢明監督の「椿三十郎」へのオマージュだそうです。
あの緊張感。
触れれば死ぬだろうと思わせる、本物の刀の真剣勝負。
観ている方も息ができないくらい緊張します。
時代劇の見せ場、「殺陣」を、命がけの勝負として見せ切った演出、そして演技がすごかった。
「椿三十郎」を観て見たくなりました。
侍タイムスリッパ―でプロの殺陣師として剣劇の演技をつけたのは、鬼平犯科帳など多数の時代劇の名作で殺陣師として活躍する清家一斗さんだそうです。お父様は京都撮影所の至宝と言われた殺陣師の清家三彦さん。
安田監督とともに、本作で父上を超えようと誓い合ったのだそう。
ああ、なるほど、だからか・・・本当にすごい剣劇だった。
もし目の前に本物の侍がいたら、こうだろう、と思いました。
「ほんものの侍がいる…」映画の中で、心配無用ノ助がつぶやくセリフ、観ているみんなが思ったはずです。
撮影所の心意気と監督の覚悟
侍タイムスリッパ―という映画は、東映京都撮影所の全面協力があって初めて実現しました。
東映京都撮影所が提示してくれた破格の予算を見て、安田監督は貯金を崩し、愛車も売って制作費を捻出したそうです。支払いが終わった時、口座残高が7000円だったそうです。
まさに全人生を掛けた安田監督。
劇場公開も定かでない自主制作の映画に、何本かの仕事を断ってまで専念された山口馬木也さん。
そして時代劇を愛するあまたの人々や関係者によって実現した奇跡の映画、侍タイムスリッパ―は、単館上映から、観た人の口コミを通じてあっというまに人気に火が付き、全国380館以上の映画館で上映されました。
そして、今年3月の日本アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞しました。
物語の面白さに笑い、そして泣いた観客の、このえいがを愛する輪はいまや海外まで広がっています。
まさに奇跡の映画。時代劇への愛がつまった、最高の映画です。
この映画を最初に単館上映したのは池袋シネマ・ロサ。
伝説の始まりのこの映画館では、現在「侍タイムスリッパー」を上映中だそうです。
そういえば、最初にこの映画について教えてくれた相棒も、シネマ•ロサで観たんじゃなかったかな?

侍タイムスリッパーをリアタイするために準備したイチゴのショートケーキは、結局映画に夢中になりすぎて食べそびれました。
あのシーンを思いだしながら、今朝のおめざに食べました。
「日の本は良い国になったのですね…」
誰もが、気軽に美味しいものを食べて笑い、努力をしている人を応援し、夢に熱くなれる。
新さんは、涙を流してイチゴのショートケーキを食べながら、そんな国を思い描いたのかもしれません。
