【美容室での絶対的服従】「痒いところ」を巡る、後頭部と謎の遠慮
こんばんは、船長のrinrinです。
皆様、今日もそれぞれの海での過酷な航海、本当にお疲れ様です。
海賊の船長たるもの、いかなる嵐や敵船に遭遇しようとも、常に堂々と自分の意志を貫かねばなりません。しかし、そんな私でさえ、陸(おか)に上がり、とある場所に足を踏み入れると、たちまちその意志をへし折られ、完全なる服従を誓ってしまう空間があります。
それは「美容室のシャンプー台」です。
本日は、あの極楽でありながら究極の心理戦が繰り広げられる場所での、私の静かで無様な敗北について語らせてください。
視界を奪われた無防備な海域

美容室でのシャンプー。それは日常における至福の時間です。 椅子がゆっくりと倒れ、首元に温かいお湯が触れた瞬間、私は日々の荒波を忘れ、プロの有能な航海士(美容師さん)にすべてを委ねます。顔には薄い布やフェイスガーゼがかけられ、視界は完全に奪われた状態。丸腰もいいところです。
心地よい泡の音と絶妙な指のタッチに、「ああ、このまま眠りの海へ沈んでいきたい……」と意識が遠のきかけたその時、嵐は唐突にやってきます。
「痒いところ、気持ち悪いところはありませんか?」
この、一見すると乗客を気遣う優しい問いかけこそが、私を極限の心理状態へと追い込む悪魔の呪文なのです。
後頭部の反乱と、秒速の白旗

「痒いところはないか?」と問われたその瞬間。 実は、右斜め後ろ、耳の裏から少し後頭部に向かったあたりが、微妙に、しかし確実に痒いのです。「そこ! もうちょっと右! そこを強く!」と叫びたい衝動が駆け巡ります。
しかし、私の口から飛び出すのは、思考を介さない自動音声です。
「あ、大丈夫です」
秒速での白旗。完全なる降伏です。 なぜ、言えないのか。 「ここで『右の後ろが…』と指定する手間の申し訳なさ」「もし上手く伝わらずに変なところをゴシゴシされたらという恐怖」「そもそもプロの完璧なシャンプーにケチをつけるようで烏滸がましいのではないか」という、海賊らしからぬ小市民的な遠慮が、私の喉をキュッと締め付けるのです。
孤独な耐久戦と、洗い流されるプライド

「大丈夫です」と宣言してしまった手前、もはや後戻りはできません。 シャンプーは最終段階のすすぎに入り、美容師さんは「それでは流していきますね〜」と優しく声をかけてくれます。
私の右斜め後ろの痒みは、洗い流されるどころか、その存在感を増して私に語りかけてきます。「おい、嘘ついただろ。痒いじゃないか」と。
私はタオルで顔を覆われた暗闇の中で、ひたすら己の選択を呪いながら、痒みを無の境地でやり過ごす孤独な耐久戦を強いられます。 やがてシャンプーが終わり、椅子が起こされ、「お疲れ様でした」とタオルを取られた時の私の顔は、スッキリとした爽快感と、己の意志の弱さに対する敗北感が入り混じった、なんとも言えない表情になっているはずです。
誰の目も気にせず脳内では大暴れできるのに、シャンプー台という密室では「大丈夫です」ロボットになってしまうこの理不尽なシステム。
今夜も、強がってしまった己の不甲斐なさと、少しだけ痒みが残ったような気がする頭皮を慰めるため、拠点でゆったりとグラスを傾けたいと思います。
皆様も、シャンプー台での孤独な戦いにはお気をつけください。
それでは、今夜も良い風が吹きますように….乾杯!🥃✨
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