散歩
なんとなく、
頭の中が落ち着かない日があった。
やることが多いわけでもない。
それなのに、
いろんな情報や考えごとが
頭の中を行ったり来たりしている。
小さなことが、
いくつも重なっていた。
こういうとき、
運動をすると気持ちが軽くなることがある。
でも、
そんなに頑張って体を動かす気分でもない。
そんなとき、ふと思った。
少し、外に出てみようかな。
特に目的はない。
ただ、15分だけ歩いてみる。
玄関のドアを開けて、
外に出た。
外の空気を吸った瞬間、
少しだけ気分が軽くなった気がした。
風が頬に触れる。
どこかから、草の匂いがする。
深く息を吸う。
そして、
いつもの道を歩く。
一歩、また一歩。
最初の数分は、
まだ頭の中でいろんなことを考えていた。
けれど、
歩いているうちに、
さっきまで頭の中を行ったり来たりしていたものが、
少しずつ離れていった。
目に入る景色も、
歩いているとゆっくり変わっていく。
木々が揺れる。
遠くから車の音が聞こえる。
鳥の声がする。
ふと空を見上げる。
いつも通り過ぎていた道なのに、
歩くペースで見ると、
いろんなものが目に留まる。
「こんなところに花が咲いていたんだ」
そんな小さな発見もあった。
ただ歩いているだけなのに、
歩き終わるころには
頭の中が少し整っていた。
何かを変えようとしなくてもいい。
何かを達成する必要もない。
ただ歩く。
それくらいの運動が、
ちょうどいい日もある。
帰るころには、
歩く前よりも
少しだけ呼吸が深くなっていた。
頭の中が落ち着かない日は、
また歩けばいい。
15分だけでも。
