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ネコと俳句「夏のおわり」




小説「ムーミンパパ海へいく」に
登場する 「うみうま」は、
灰色に花模様のビロードのコートと、
首に花飾りをつけている馬のこと。

小説の舞台、灯台の島でムーミンが
出会った二頭の 美しい うみうま は、
月の光に照らされ、
浜辺を跳ねたり駆けたりしながら、
海へと姿を消してしまう。


夏の終わり、浜辺の松陰に
夜半の月あかり、
遠くには島影が揺れて、
かなかなかな と蜩の声が聞こえる。

ムーミントロールの住む世界に、
かなかな はいるのか どうか、
いるのかもしれないし、
いないのかもしれない。


不確かな世界のことは、
漢字では、ちょっと…と思い、
ひらがなで五七五に。
ムーミンが見た夏の終わりの海辺と、
蜩の声だけを書き出してみた。

それで十分、それだけで、
夏の終わりが感じられる。


1965年に出版された
小説「ムーミンパパ海へいく」は、
ムーミン作品の最後から2番目に
書かれたものだった。

作者トーベ・ヤンソンにとって、
幼い頃からの習慣は、島暮らし。

船着き場すらない、
フィンランドのクルーヴ島に
自分で小屋を建て、
毎年、夏を過ごしたことは有名だ。


物語で、ムーミンパパは、
家族を連れて夏の終わりに、
ムーミン谷をあとに海へと向かう。

そこで、自然の脅威を、
ただ受け入れることしかできない、
無力さを知るのだった。

タイトルからは、無邪気な、
ムーミントロールの暮らしが浮かぶが、
ストーリーは、
トーベ・ヤンソンにとっての、
島暮らしの終わりと重なるようで、
切なく深いものだった。


おとなになると、たまに、
環境を変えてみたくなるもので、
それが暮らしに馴染んだら、
また、慣れてしまう。

ムーミンパパのように、
冒険をすることで手狭な今を抜け出し、
あらたな何かをつかみ、
また、その続きを望むが…。

おとなが、さらに、おとな になると、
見つけるものばかりでなく、
失くしてゆくものも多い。
それは、夏の終わりの浜辺のようだ。

さみしいのではなくて、
人によっては心地良く、
どこか、すっきりとしている。

嫌いじゃないな、そういう感じ。


#おとな季語

#ネコと秋の俳句

#ネコの季よせ2026年秋

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