ドラム生活 EP.12 DIY防音スタジオ計画
実家の古家に放置していた愛機「ヤマハ YD-9000 レコーディング・カスタム」を我が家に引き取ってきて、分解清掃、再生を試みている訳だが、同時並行で取り組んでおくべきことがある。「防音対策」だ。
妻の実家は農家風情で周囲は畑だったし、音漏れをあまり気にする必要はなかった。近隣の農家の方々は「今日も叩いているね!」とよく言っていたので、ちょっとは「うるせーな。」と思っていたのかもしれないけど。(すいません…。)
まぁ、ドラムの音は結構遠方まで届くということ。
音量レベルで言うと、以下のイメージらしい。(db = デシベル)
30-40 db 囁き声、鉛筆の音
50-60 db 普通の生活レベル
70-80 db パチンコ店、ボーリング場、新幹線車内
100 db 地下鉄、滝の近く
100-110 db ドラム、電車通過時のガード下
110-130 db ジェット機、コンクリート工事
電車通過時のガード下並みかー。住宅街にある我が家で叩いたらすぐご近所から苦情が来るな…。
無事に愛機を再生しても、今のままでは叩けない。
ということで、愛機の再生プロジェクトと同時に「DIY防音スタジオ計画」も始動させることにした。ここ数日は、色々な防音業者のウェブサイトを読み込み、AI の力も借りながら「防音」の検討を行ってみた。
「防音」を理解するには、以下3つの視点が必要となる。
1. 遮音
2. 吸音
3. 振動(ないし振動音)
「遮音」は、音が外部に突き抜けて行かないように遮断、あるいは跳ね返すこと。
「吸音」は、室内で響き渡らないように吸収すること。お風呂で楽器を演奏することを想像すれば分かりやすい。響き渡ってエコーを掛けた状態になる。
つまり、「遮音」だけを徹底しても、室内ではエコー状態となってとても演奏出来る状態にはならない。遮音が室外対策、吸音が室内対策となる。
加えて、「振動」でも音は伝わる。時折、ビルなどの大きな建物にいても「ドスン!!」といった地響きのような振動音を感じて「いま、どこかで凄い大きな音がしたねー。」なんて経験があると思うが、建物自体が振動する音は体感レベルが大きい。ドラムはドスン!ドスン!と手や足で太鼓を鳴り響かせる楽器であるので、ダンス・スタジオやスポーツ・ジムに似た対策が必要となる。
半地下のコンクリート部屋がアドバンテージか
幸いにも、僕のドラム部屋はコンクリート製の半地下となっている。
気密性が高いコンクリートは「遮音」の素材として申し分ない。加えて、半地下なので外部に漏れる音はある程度減少している筈。
「振動音」に関しても、半地下なので懸念の中心となる下層の部屋への騒音といったことは心配する必要がない。
基礎的なアドバンテージとは言えそうだ。少なくとも部屋全体を作り変えるレベルの対策ではなく、部分的な取り組みで何とか出来るといいのだが。
現状は、以下の通り。
これまでは電子ドラムであったので、最低限の対応しかしていなかった。

室外に漏れる音のルートは、主に以下の通りだろう。
1. 屋外に面する窓(二重サッシ窓はベターだが)
2. 家内に通じる木製ドア
3. 床からの振動
取り敢えず、コンクリート壁に対して「遮音」の施工負担が基本的にないのはありがたい。
木造家屋だったら、壁の表か裏の一面に遮音材を敷き詰める施工が必要になってくる。
DIY防音スタジオ計画の方針まとめ
色々な防音製品業者が販売する製品スペックを検討するのに、AI はとても役立つ。製品名を伝えると、スペックや効果を瞬時に比較検討してくれるほか、総重量やコストの計算もしてくれるので、DIY にはとても助かる。正しいのかどうかは分からないけど。(苦笑)
まぁ、製品スペック情報などを基に出発点を提示してくれるのは、自分で試行錯誤して迷宮入りするよりは遥かに助けになる。
AI と長々議論した結果、以下を取組もうと思う。一部の発注を始めた。

(1)まず床の「防振」。家中への振動を防ぐ。
元々のフローリングの上に、以下を敷き詰める。
1. 防湿シート(以下のゴム・マットがカビの温床とならないために)
2. ゴム・マット(振動の吸収)
3. 針葉樹合板(ゴム・マット上の床の安定化)
4. 防音対応のジョイント・マットかカーペット
ゴム・マットは防振に欠かせない。
ただ、半地下のデメリットとして強い湿気があるので、ゴムはいかにも湿気を吸収してカビの温床になりそう。なので、まず防湿シートを敷く。
次のゴム・マットは密度の高いもの。やはりバス・ドラムなどの振動を伴う重低音に対しては軽い素材では防げない。工事現場や重機械の防振にも使われるような結構重量があるものになる。
その上に、ドラムの安定化のために木板を敷くのだが、強度と湿気に対する耐性から針葉樹合板を採用。
AI は最初にMDF合板を提案してきたが、半地下の部屋は湿気が強いことを指摘すると、一転して湿気に弱いMDF合板の提案を取り下げてきた。危ないなー。半地下だと言ってあるのに、湿気の問題を分かっていなかったようだ。
念のため除湿機器を導入しろと言ってきた。(笑) 導入済みだけどね。
木板の上に仕上げのマットかカーペット。これも防音対策が施されたもの。
全ての素材を出来るだけ厚いものにすると防振、防音効果は高まるが、ドア枠の敷居などの高さ制限もある。その高さ制限もAI に伝えて、最も効果が上がりそうな製品の組み合わせを検討した。

(2)次に木製ドア。
鉄製の防音ドアへの交換が理想的だが、高コストだし、なにより施工が大掛かり過ぎる。
木製ドアの考えられる事象としては以下の通りかと。
■ 単純に音が透過する
■ ドアの木板が振動してスピーカーのようになってしまう
■ ドアとドア枠の隙間から音が漏れる
以下の対策とした。

カルムーンシートは積水化学工業が開発したもので、音や振動を「微小な熱エネルギー」に変換するというもの。厚さ1.3mm と薄く、比較的軽量なのがメリット。振動が激しいドアの中心部分に貼付する。ドアの面積の6割程度。
その上からドア全面に遮音シート(樹脂製。厚み1.5mm。結構重量があるもの。)を貼付。
また、ドアとドア枠の間に隙間が出来ないようゴム・テープを貼る(現状、導入済み。)
さらに、ドア全体を防音カーテンで覆う(現状、導入済み。)
ドアに貼付する防音素材も厚みがあって重量があるものほど効果が高まるが、ドアの「ちょうつがい」に重量制限がある。ドア自体が既に20kg 前後はあると言われるので、追加重量としては5-6kg が限度だろう。
従って、重量のある樹脂製遮音シートの厚みを抑え、軽量なカルムーンシートを合わせて活用するアイデアとした。
(1)(2)の推定効果
AI の推定によると、(1)(2)の合わせ技で、上層1F に伝わる音は60db 程度(テレビの音程度)になる筈とのこと。
そうなるといいなー。
(3-1)窓
屋外への音漏れルートはここがメインだ。既に二重サッシの窓であることはありがたい。これだけで音が20db ほど減衰するそうだ。

コンクリート壁の厚みが30cm あり、窓は部屋内の壁から5cm ほど引っ込んでいる。このスペースに厚さ5cm の遮音ボードをはめ込む。遮音ボードは遮音材をグラスウールでサンドイッチにした製品。取り外し可能だ。
(3-2)重低音の追加対策
ただ、こうした後付けの防音材は総じて高音域には効果が高いが、バス・ドラムのような重低音への効果は低下する。
出来るだけ重低音が屋外に漏れないようにするためにはどうするか。
バス・ドラムをコンクリート壁に向けて設置し、その直前の壁に樹脂製防音シートと吸音材を貼付することにした。
バス・ドラムからの強烈な音圧を直前のコンクリート壁が思いっきり跳ね返すであろうから、そこにピンポイントに遮音材と吸音材を貼付することで窓に向かう音量や音圧が少しでも減衰させられれば良いかと。
(3-1)(3-2)の推定効果
AI の推定によると、(3-1)(3-2)の効果に加え、半地下で屋外へ漏れる音源が減衰している筈なので、屋外への音漏れは50-60db になっている筈とのこと。
本当かな? そうなるといいなー。
屋内対策よりは、近所迷惑を予防する屋外対策の方が遥かに気になる。
半地下による音量減衰効果がAI の推定の通りだといいな。
(因みに、室内から屋外への音漏れルートは窓だけでなく、エアコンのダクト穴もある。我が家の部屋のエアコンはコンクリート壁に設置されているので、ダクトがない。エアコン本体の裏で屋外と直接繋がっているようだ。音漏れルートになっていないといいのだが。)
上記の施策を終えたら、室内の反響対策はウレタンスポンジの吸音材をべたべた貼っていくだけ。遮音素材と違って柔らかく、軽く、安価な素材が多いので、これは最後の対応。
まずはやってみるしかない。
全部で数十万円はかかるか。本格的な防音スタジオを施工したら数百万円の話なので、これで成功したら安いもの。
これで不十分だったら、ドラム自体にミュートを付けるしかない。せっかくの愛機を存分に鳴らしてあげたいけど。
自分で音量を計測出来るようにデジタル騒音計を買おうと思う。アマゾンで見てみたら、3,000-4,000円ぐらい。
忙しい夏になりそう。
