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mike_oribe
一文文学:役不足
上司が彼に大きな仕事を任せた。
だが彼は、辞退しますと言った。
「私には、その仕事は少し役不足ですので。」
会議室の空気が、ほんのわずか止まった。
上司は眉をわずかに上げたが、何も言わなかった。
彼は知らなかった。
その言葉が、本当は
少しだけ別の意味を持っていることを。
「役不足」というのは、本来、
その役目が自分には軽すぎる、という意味だ。
つまりそれは、
謙遜ではなく、むしろ——
自分の力には物足りない、という響きを含んでいる。
日本語は、ときどき面白い。
人が遠慮して選んだ言葉が、
辞書の中では、
まるで違う顔をしていることがある。
役不足
力量に対して役目が軽すぎること。
出典
Kotobank
役不足(ヤクブソク)とは? 意味や使い方 - コトバンク
※このシリーズでは、日本語の語彙や言い回しの中にある
**「意味の機微」や「文化的な面白さ」**を、
短い物語の形で紹介していきます。
辞書で見れば一行の言葉でも、
人の会話の中では、少し違う顔をすることがあります。
そんな日本語の不思議を、
一分ほどで読める小さな小説として書いていきます。
もしよければ、次の言葉の物語も読んでみてください。
