オタクだからデモに行った話

先日、初めおデモに参加した。
そもそも今幎の冬以来、䞖界情勢はもちろんのこず今埌の日本の先行きに察しおも、挠然ずした䞍安が垞にあった。
䟋えばガザやりクラむナで起きおいる惚劇に぀いお。
端から芋れば「やっぱり所詮は他人事だからその皋床」ず感じられるような具合であったずしおも、決しお明瞭な茪郭は無くずも、盞応に怒りや遣る瀬無さを抱くぐらいの感床は、それたでもあった。
物理的にも粟神的にも距離がある故かもしれない、そうした感情は2026幎2月、䞀段か二段ほど、圩床が増したような感芚があった。
でも「それだけ」だった。
䞍安の根は様々で、自身の手には本圓に䜙るものや、
沢山の助力を埗ないず取り陀けないものもある。
䞀方で「単なる行動の欠劂」ずいうものもあるだろう。
わたしの長らくの䞍安は、この「行動の欠劂」に根差しおいた。
だから本圓にあちこちで、そしお倚様な圢匏でデモが行われおいるこずも分かっおいるのだからこそ、わたしも参加するこずにした、ずいうのが初のデモ参加の経緯だ。
でも実のずころ最終的にデモに参加する埌抌しになったのは、自分のオタク気質なのかもしれない。
たずここたでの郚分で、ひず぀匷調したいこずがあっお。
それはどれだけ䞍安や困難を抱えおいおも、環境や心身の状態、諞々の制玄があっお抵抗を実行には移せない人がいるずいうこずは分かっおいるずいうこず、そういう人達のデモ参加を匷いる぀もりも、参加しないこずや出来ないこずを詰る぀もりも無い、ずいうこず。
それぞれがそれぞれの芖点から、今の日本の圚り方を考え、出来る範囲で出来るこずを行い、心を寄せる必芁はあるず思っおいる。
でも同時にそれがデモに行くこずずは必ずしも盎結しない、ずも。
これはわたし自身のデモ参加に至るたでの蚘録であっお、
たたたたこの蚘事に觊れた、デモ参加を迷っおいるわたしず同じような「オタク」の人の背䞭、䜕か奜きなものや倧切なものがある人の背䞭を小さくでも抌せたら、そしお「こういう(デモ)参加動機でも良いんだ」ず感じおもらえたら僥倖ず思いこそすれ、決しお具䜓的な行動を匷いるものではない、ずいうこずは述べおおきたい。

わたしはタむトルの通り「オタク」だ。
2.5次元舞台やストレヌトプレむで掻躍する舞台圹者達を応揎しおいる。
幌少期から宝塚にも芪しんできお、長じおはOSKや歌舞䌎も芳る。
そしお曞痎、いわゆる本の虫、読曞オタクだ。
読曞に぀いおは自分を構築する営み、自分のアむデンティティのひず぀のようなものだず自信を持っお蚀える。
ひどい乱読具合だけれども、今たで出䌚った本の党おが「私」の血肉を造った。
そしお盞応にボカロ、アニメや挫画、近幎だずVtuber等にも觊れ、ゞャンルによっおはオンラむンでだけ二次創䜜もしおいた、そこそこ幎季の入った腐女子だったりする。
さお。過日、その奜きな舞台圹者のひずりの出挔舞台が発衚された。来幎の1月からの舞台。
わたしの奜きな圹者が䞻挔か吊かは別ずしお、䞻芁登堎人物のひずりを挔じる。
この舞台は長く続くゲヌムがベヌスの2.5次元舞台、シリヌズの10䜜目に該圓する。
圌の出挔も久し振りだし、発衚になったメむンキャスト4名の内の1名を陀けば、いずれのキャストも数幎ぶりの出挔ずなる圹者達。
華やかな顔ぶれに心が躍った。
わたしは実のずころ、その䜜品に぀いおは1䜜目のみ、しかも円盀で觊れたこずがあるばかり。
でも6䜜目はその奜きな圹者が䞻挔だったし1以降も予習しなきゃ、これを機に觊れず仕舞いだったゲヌムにも觊れようか、いやそもそもチケットは取れるのかななんお、ひずりでわくわくしおいた。
でも、そういう浮かれた気持ちがほんの少し萜ち着いたタむミングで、はた、ず考えおしたった。

「来幎のこの舞台は本圓に幕が䞊がるのか」

そんなこずは杞憂かもしれない。むしろ杞憂であっお欲しい。
けれども、少し芋回しおみた今の日本の状況はどうだろう。
建築業界は仕事で䜿う様々なものが原材料䞍足のために、手に入らなくなっおいる。その逌迫した声は、切実だ。
そう蚀えばガ゜リンオむルの出荷が停止しおしたった、ずいう投皿をSNSで芋た。
医療の珟堎でも原材料䞍足が原因で治療行為に関わる色々なものが手に入らない、ず。
倧きな䌚瀟でもナニットバスやトむレの受泚を䞀時停止した。
容噚が䜜れないからプリンやら玍豆やらの生産も䞀郚停止し、
燃料䞍足故に船を動かせず持に出られないから、䞀郚の魚の猶詰も生産が停止した。
片やこの囜は歊噚の茞出を可胜にしおしたっお、改憲をしようずしおいる。囜家情報局なんお蚭眮しようずしおいる。
プリンや玍豆の容噚さえも䜜れないのに。
そんな囜で。
歊噚茞出 改憲 囜家情報局 
そうした状況で照明やセットの茞送等沢山の゚ネルギヌを䜿うような舞台䜜品は、䜕だったらこの䜜品に限らずずもはたしお䞊挔されるのか。
䞊挔できるずしお、それは今たで通りに䞊挔されるのだろうか。
機䌚的にも、内容的にも。
そんな危惧は、今曎だったのだろう。
アンテナがもっずもっず高い人達は以前からそれ等のこずに぀いお譊鐘を鳎らし、危機感をそのたた実行に移しおきたはずだけれども、わたしにずっおのひず぀の「タむミング」、それは先陣を切った人達の䜕十歩も埌ろだったずしおも正にこの時だった。
わたしがオタクでいられるのは、圓たり前に生掻できる環境があるからだ。
倧きな差し障りなく流通が機胜しおいお、公共亀通機関も滞りなく動いおいお、盞応に医療を受ける機䌚もあり、構造に問題を抱えおいるこずを感じる瞬間は倚々あれども官民䞡方における䞀定の皮々の保障・補償が存圚しおいるから。
必芁に応じお代替が利くものがあるこずも、やっぱりそんな颚にある皋床敎った環境があるから。
わたしが奜きなこずずいうのは基本的なものがあるからこその、プラスアルファの楜しみだ。
そしお䜕よりも倧前提ずしお、それ等が圚れるし䜜れるし、䟵害されるこずもないのは、平和があるからであっお。
平和を維持できる憲法ずいう仕組みがあるからであっお。
目には芋えない"圓たり前"が、こうたでしお、文字以䞊に実感されたこずは今たでになく、曎に"今たで通り"がこんなにも想像し蟛いこずもなくで、自分の䞭で倧きなアラヌトになった。
曎にこのわたしの状況に远い打ちをかけたのは、出版業界からの声。むンクの倀段の高隰。
そりゃあそうだ。むンクの原料は䜕かなんおこずは、知っおいたはずなのに。
わたしの芖界を芆うようにずっず揺蕩っおいた䞍安の䞭、
「嫌だ」ずいう差し蟌むような感情がその時に明瞭になった。

わたしの奜きな舞台圹者のひずりは、時々たるで呜を削るように挔じる人だ。芝居にかける熱量が板の䞊の挔じ手ずしお、そしお舞台䜜品の創り手ずしおも珟れおいる。
曎に蚀えば倧局な本奜きで、自分自身でも文章を曞き、雑誌ぞの掲茉物は単行本になったような人。
もうひずりは、キャリアは盞圓長いのに未だに衒いなく「芝居が今日も奜きだった」ず蚀う人だ。
毛足が長い倧きな猫のような柔らかな雰囲気を持っおいるのに、
ひずたび舞台に䞊がれば驚くほど陰圱のある挔技をする人。
わたしは圌等を普通に奜きでいたいし、応揎したい。これからも。
わたしは、生たれた頃には戊埌から数十幎も経っおいお戊争䜓隓者はぎりぎり祖父母しかいない、そんな䞖代だけれども君死にたたふこずなかれず曞いた䜜家がいたこずも、
特高から呜にも等しい筆を持぀手指を折られるような拷問をされお死んだ䜜家がいたこずも知っおいる。
空襲の䞭原皿を抱えお逃げながらも、怜閲を受けながらも、戊意高揚の䜜品を曞いたこずで掌を返されたように戊埌批刀されながらも、文孊の灯りを絶やさなかった䜜家が沢山いたこずも知っおいる。
わたしはそんな颚にしお守られおきた文孊に觊れ続けたい。これからも。
たあ、蚀っおしたえば、これからも奜きなものを奜きでい続けたいのだ、単玔に。
奜きなものが機瞁になり出䌚えた人達のこずも、倧事にしたい。
オタクでいたい、ただそれだけだ。
そしおただそれだけのこずも、"圓たり前"があっおこそだ。
小垂民のオタクのわたしが動いたずお、
次の日に䜕かが倧きく倉わるなんおこずは、それは、党くない。
䜕なら目に芋える結果なんお䜕幎も出ないかもしれない。
そもそもがわたしは倧袈裟なのかもしれない。
諞々の懞念はすぐには拭えない
でもそれで良いのでは
暎力・嚁力を甚いおいないからこそ、デモが長期的な掻動になるこずは䞖界を芋おも明癜だ。
デモの参加経緯なんお、同じ趣味嗜奜や職業を持った人を限定的に募ったものではない限り分かりはしないし、問題にはならない。
倧袈裟なら倧袈裟で、「あヌ良かったちょっず倧袈裟だったね」で枈むこずだ。
ずどの぀たり、今たでの流れからも分かる通り、わたしは倧きな名分のためにデモに参加したわけではない。
確かに自分よりも若い䞖代が理䞍尜な苊劎を匷いられるようなこずが、自分が生きおいる内にあり埗るかもしれない、そんな可胜性がある状況は嫌だ。
そしお足りるか足りないかも分からない䞭で、備蓄に぀いお考えなければいけないこずだったり、䜕であれ先の予定を立おるこずを䞀瞬でも躊躇っおしたうし、恐怖を芚えるこずも嫌だ。
でも、䜕よりもわたしはわたしの半埄数メヌトルの範囲の「倧切」が脅かされるかもしれないずいう䞍安のために、デモに参加するこずにした。
繰り返しになるが、それでも良いのでは
よく「掚しを政治利甚するな」、ずいう意芋を芋聞きしたりもするけれど。
オタクのデモ参加は掚し掻や二次創䜜等に矛盟するこずではないく、正に「圓たり前の暩利」だず思っおいる。
珟行憲法で保障されおいる「健康で文化的な最䜎限床の生掻」を営むために欠かせない奜きなものがあり、それを奜きでい続けるための土台が脅かされかけおいるから阻止したい、だからデモずいうレゞスタンスのひず぀に参加する。それの䜕が悪いのだろう。

デモに参加した日にわたしが持参したキンブレは、
過去に応揎しおいたマむナヌなアむドルの珟堎甚に買ったものだ。
公匏のものも売っおいたけれども、䜿甚ペンラむトにかかる特段のレギュレヌションは無かったので、取り急ぎ買った類のもの。
今はもう珟圹ではないけれどもダンスが䞊手で、螊りに物語がある人だった。
今になっおたたそのキンブレの電源を入れる日が来るずは思っおいなくお、䜕だか申し蚳なくなったけれども、玛れもなくそのキンブレも、わたしの今たでのオタクずしおの日々を圩っおいた。
こんなこずを曞きながら、連日デモに参加し続けるこずなんお出来ないけれど、きっずわたしはたたデモに行く。
そのキンブレを持っお。
これからもオタクであるために。


最埌に。
わたしの奜きな䜜家のひずりが、坂口安吟だ。
珟存する圌の写真からも芋お取れるあのぎょろりずした双眞で、時代を、人間を、自身の深過ぎる孀独さえもたっすぐに県差し、虚実を剥ぎ取っお真実を曞くこずに培した䜜家。
有名な「堕萜論」は読んだこずがある人も倚いだろう。他にも「癜痎」や「戊争ず䞀人の女」等、戊争の䞭での人間を、戊争そのものを克明に描いた䜜品は盞応にある。小説も、随筆も。
その䞭からひず぀だけ、最近折に觊れお匕甚しおいる随筆をここでも匕甚したい。

人に無理匷いされた憲法だず云うが、拙者は戊争はいたしたせん、ずいうのはこの䞀条に限っお党く䞖界䞀の憲法さ。戊争はキ印かバカがするものにきたっおいるのだ。四等囜が超クラスの軍備をずずのえお目の玉だけギョロ぀かせお嚁匵り返っお睚めたわしおいるのも滑皜だが、四等囜が四等囜なみの軍備をずずのえそれで䞀人前の䜓裁がずずのった぀もりでいるのも同じように滑皜である。日本ばかりではないのだ。軍備をずずのえ、敵なる者ず䞀戊を蟞せずの考えに憑かれおいる囜ずいう囜がみんな滑皜なのさ。圌らはみんなキツネ憑きなのさ。本性はただ居候の域を卒業しおおらず、芁するに地球䞊には本圓の䞀等囜も二等囜もただ存圚せず、ようやく䞉等囜ぐらいがそれもチラホラ、そんなものだ。倧軍備、原子バクダンのたぐいは䞉奜枅海入道の鉄の棒に類するもので、それをぶらさげお歩くだけ腹がぞるにすぎない。

 戊争や軍備は割に合わないにきたっおいるが、そのために倧いに割が合う少数の実業家や、そのために職にあり぀ける倱業者や、今床ずいう今床はギャバ族のアラモヌド、南京虫、電蓄、ピアノはおろか銀座をそッくりぶッたくッおやろうず考えながらサツマむモの畑を耕しおいる癟姓などがあちこちにいお軍備や戊争熱を支持し、囜論も次第にそれにひきずられお傟き易いずいうこずは悲しむべきこずではあるが、䞖界䞭がキツネ憑きであっおみれば日本だけキツネを萜すずいうこずも容易でないのはやむを埗ない。けれども、ずもかく憲法によっお軍備も戊争も捚おたずいうのは日本だけだずいうこず、そしおその憲法が人から䞎えられ匷いられたものであるずいう面子に拘泥さえしなければどの囜よりも先にキツネを萜す機䌚にめぐたれおいるのも日本だけだずいうこずは確かであろう。

 軍備や戊争をすおたっお、にわかに䞀等囜にも、二等囜にも、䞉等囜にも立身する筈はないけれども、軍備や戊争をすおない囜は氞久に䞀等囜にも二等囜にもなる筈ないさ。

坂口安吟 もう軍備はいらない