未来の人のために考えたい40本目 空のゴールデンタイム

毎日、夕焼けを見ている。

仕事柄、その時間に空を見ることが多い。

不思議なことに、どれだけ疲れていても、夕焼けが目に入ると数分だけ気持ちが変わる。

頭の中にあった考え事が少し遠くなる。

明日の予定がなくなるわけではない。

悩みが解決するわけでもない。

それでも、心だけがふっとリセットされる。



夏の空には、入道雲が現れる。

青空の中に大きく伸びていく白い雲を見ると、子どもの頃の夏休みを思い出す。

冬の空は違う。

冷たい空気の中で、雲の表情も変わる。

季節によって、空は毎日違う顔を見せてくれる。



そして、一日の中で特別な時間がある。

夕焼けだ。

太陽が沈む前の、ほんの数分。

僕はその時間を「空のゴールデンタイム」と呼びたい。



考えてみれば、不思議なことだ。

空は何も与えてくれない。

便利な道具でもない。

お金になるものでもない。

ただ、そこにあるだけだ。

それなのに、人は昔から空を見上げてきた。

星を見て、月を見て、朝日を待ち、夕焼けに心を動かされてきた。



現代では、何かを手に入れることが幸せにつながると思われがちだ。

新しいもの。
便利なもの。
速いもの。

もちろん、それらは生活を豊かにしてくれる。

でも、人間には何も持たない時間も必要なのかもしれない。

ただ感じる時間。

ただ立ち止まる時間。



未来の人たちにも残っていてほしいものがある。

大きな建物だけではない。

新しい技術だけでもない。

夕焼けを見て、少しだけ立ち止まる習慣。

朝の空気を感じて、一日を始める時間。



空を見ることは、昔から人間が持っていた小さな贅沢なのかもしれない。

誰でもできる。

何歳でもできる。

特別な資格も必要ない。



今日も空には、誰かがまだ見ていない景色が広がっている。

そして、その瞬間は二度と同じ形では戻ってこない。

だからこそ、人は空を見上げるのだと思う。

未来の人にも、この数分間を残したい。

何もいらない。

ただ見て、感じるだけの時間を。

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