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もう一度咲くサクラ 〜声に導かれて〜 掌編小説📚️恋の予感🌸🦜🌸💕

タイトル

もう一度咲くサクラ

 〜声に導かれて〜


都会に夢を砕かれたサクラは、

すべてを置いて帰ってきた。

便利さに満たされたはずの世界は、

いつの間にか

四季の気配を感じにくくしていた。

春は来ているのに、

誰も空を見上げない。

花粉を嫌がり、

季節さえ遠ざけてしまう時代。

だけど——

サクラの中には、

消えていない春があった。

幼いころ、

何もなくても満たされていた日々。

風のぬくもり、

光のやわらかさ、

そして——あの声。

うぐいすの鳴き声とともに、

胸の奥に眠っていた想い出が、

静かにほどけていく。

忘れていた“ときめき”が、

ゆっくりと息を吹き返す。

これは、

失ったものを取り戻す物語ではない。

もう一度、

自分の中に春を咲かせる——

サクラの再生の物語です。



もう一度咲くサクラ
〜声に導かれて〜

さっと消えてしまうものほど、

人は忘れられない。

サクラにとってのそれは——

あの頃の光だった。

高度成長期の余韻と、

バブルの熱に包まれた時代。

ネオンに照らされた夜の街で、

ワンレンにボディコン。

肩パットで強さをまといながら、

ディスコの熱気の中、

音に身を委ね、朝まで踊り明かした。

お立ち台の上、

ミニスカートが風を切るたび、

自分が世界の中心にいる気がした。

——あの頃は、怖いものなんてなかった。

けれど、

バブルが弾ける音は、

思ったよりも静かだった。

気づけばすべてが

ゆっくりと、でも確実に消えていた。

結婚も、夢も、

そして——愛も、、、


離婚。


サクラは、

静かな田舎へ帰った。


朝。

まだ少し冷たい空気の中、

山の奥から一筋の音が届く。

「ホー……ホケ……」

どこか頼りない、

震えるような声。

サクラは思わず笑った。

「そんな怯えた鳴き声じゃ、

メスはときめかないぞ」

けれどその言葉とは裏腹に、

胸の奥が、きゅっと締めつけられた。

——あぁ、この音。

幼いころ、

何も持っていなかったのに

すべてを感じていたあの頃。

朝の光、

土の匂い、

母の声。

そして、

うぐいすの鳴き声。

気づけば涙がこぼれていた。

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